2月12日、東京都内の「第一生命ホール」にて人気RPG『ドラゴンクエスト(以下、ドラクエ)』シリーズのコンサート「金管五重奏によるドラゴンクエストコンサート」が行われた。
この「金管五重奏ドラクエコンサート」は、『ドラクエ』シリーズの楽曲を作曲しているすぎやまこういち氏が主催する、金管五重奏団によるクラシックコンサート。演奏は、東京メトロポリタン・ブラス・クインテットが担当し、すぎやま氏は楽曲の合間のトークを担当した。
コンサート開演前、すぎやま氏にコンサートへの意気込みや心境をうかがったので、以下に紹介する。
まず、本日のコンサートについて、「東京メトロポリタン・ブラス・クインテットによる演奏会も回を重ねてきました。『ドラクエ』の音楽を取り上げてくれ、クラシック音楽も楽しめるということで、クラシック音楽と『ドラクエ』音楽のいいコラボレーションができていると思います。また今回は、これまで演奏されていない新しい編曲や、金管五重奏では初めてのタイトルとなる楽曲が演奏されるので、僕自身もとても楽しみにしています」と笑顔で語ったすぎやま氏。「金管五重奏のメンバーが、どんどん曲を編曲してくれて、『ドラクエ』本編の曲だけでなく、『ドラゴンクエストモンスターズ』や『ドラゴンクエスト 少年ヤンガスと不思議のダンジョン』などの曲もやってくれています。これによって金管五重奏による『ドラクエ』の世界もさらに広がっていき、ますます楽しみですね」と、今後の展開に期待を寄せていた。
また『ドラクエ』シリーズについては、「DS『ドラクエV 天空の花嫁』の制作が順調に進んでいます」とコメントし、「先日発売された『ドラクエIV 導かれし者たち』をやりつくしちゃったので、発売が楽しみでね」とゲーマーな一面ものぞかせた。すぎやま氏は、『ドラクエIV 導かれし者たち』について「効率的なレベルアップの方法を開発しました。言っとくけどね、キャラクターは全員レベル99ですよ(笑)。これを自慢できるのも、こういう場だけだから。普通の人に話しても通じないからね」と茶目っ気たっぷりに話していた。
最後に、すぎやま氏が「僕自身、『ドラクエ』自体が、「終わりなき旅」のような感じがしています。僕の命のある限り、続けていくと思う。『ドラクエ』自体、本編だけではなくていろいろな関連ゲームがあって広がっていって、本編も今回のDS版のように移植タイトルが発売されていき、初めてプレイしたという人によって、お客さんの層が広がっていく。それと同時に『ドラクエ』の音楽の世界もどんどん広がっていく。今年、『ドラゴンクエスト』のコンサートだけで何回関わるのか、今は数えられませんが結構な数があると思います。ぜひ楽しみにしていてください」と述べ、インタビューは終了。コンサートへと移行する。
この日のコンサートで演奏された楽曲は、「序曲」にはじまり、『ドラクエII 悪霊の神々』のフィールドシーンの楽曲「遥かなる旅路~果てしなき世界」や、『ドラクエVIII 空と海と大地と呪われし姫君』から“ヤンガス”が過去を振り返るシーンで流れた「そうだあの時は」など、多種多様なタイトルから選曲されていた。また第2部では、『ドラクエモンスターズ』の曲が披露されるなど、これまで演奏されなかったシリーズの曲も楽しめた。楽曲の合間には、すぎやま氏が軽妙なトークで、参加者を楽しませていたのでその一部を紹介する。
・僕は、「音楽は心のタイムマシーン」と思っています。曲を聞くと気持ちが過去に戻るんです。今は、「世界をまわる(街~ジパング~ピラミッド~村)」を聞いたから、世界中を旅したような気持ちかな。
・今演奏した「序曲のマーチ」の編曲には、意表をつかれたでしょ? こんな風になるとは思わなかったが、できあがったのを聞いたら、かっこよくて楽しかった。
最後に、すぎやま氏が着信音として使用しているという「対話」が演奏され、すべてのプログラムが終了。そしてアンコールへ。「予想できないと思います」というすぎやま氏の言葉とともに、ザ・ビートルズの「Yesterday」が流れた。続いて、すぎやま氏が「勢いに乗って、もう1曲! この曲も予想がつかなかったと思います」と、ザ・ピーナッツの「ローマの雨」を紹介。会場から惜しみない拍手が、演奏した東京メトロポリタン・ブラス・クインテットとすぎやま氏に贈られ、コンサートは幕を下ろした。
なお、以前にすぎやま氏が作曲した歌を、東京都交響楽団によるオーケストラサウンドとして収録したCD「君だけに愛を」が3月19日に発売される。他にも、CD「金管五重奏による『ドラゴンクエスト』Part III」の発売も決定しており、この収録が明後日から行なわれるとのことだ。
コンサート関連情報としては、九州の「福岡サンパレスホール」で「九響スペシャル~ドラゴンクエストの世界~ ファミリークラシックコンサート in 福岡」が3月2日に開催される予定。この他、8月9日には「東京芸術劇場大ホール」で「第22回ファミリークラシックコンサート~ドラゴンクエストの世界~」が、8月30日には「京都コンサートホール」で「トーセ・プレゼンツ ドラゴンクエスト・スペシャルコンサート」が開催されるという。残念ながら今回参加できなかったという人は、チェックしておこう。
取材陣を前に、現在の心境や今後の展望を語ったすぎやま氏。『ドラゴンクエスト』のコンサートは、3月に2カ所、8月に2カ所で開催されることが決定している。
リハーサル中の東京メトロポリタン・ブラス・クインテットの面々。写真左から、トランペット・高橋敦氏、同じくトランペット・中山隆崇氏、パーカッション・安藤芳広氏、ホルン・西條貴人氏、トロンボーン・小田桐寛之氏、テューバ・佐藤潔氏。なおパーカッションの安藤氏は助っ人で、東京メトロポリタン・ブラス・クインテットのメンバーではないとのことだ。
すぎやま氏と一緒に記念撮影も行われた。本番前とは思えないほどリラックスしている様子のすぎやま氏。2枚目は、モンスターやおばけをイメージしたポーズで撮影させてもらった。
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データ
■「金管五重奏によるドラゴンクエストコンサート」プログラム
<第一部>
01.「序曲」(『ドラゴンクエスト』)
02.「遥かなる旅路~果てしなき世界」(『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』)
03.「世界をまわる(街~ジパング~ピラミッド~村)」(『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』)
04.「そうだあの時は」(『ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君』)
05.「レクイエム」(『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』)
06.「冒険の旅」(『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』)
<第二部>
01.「序曲のマーチ」
02.「LoveSong探して」(『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』)
03.「戦いのとき」(『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』)
04.「高貴なるレクイエム~聖」(『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』)
05.「星降りの夜」(『ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド』)
06.「対話」(『ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君』)
<アンコール>
01.「Yesterday」(ザ・ビートルズ)
02.「ローマの雨」(ザ・ピーナッツ)
■関連サイト
・「すぎやまこういちの世界」
・スクウェア・エニックス