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2008年3月17日(月)

新しいカジュアルエンターテインメントを提供―― スクエニ・ニフティ合同記者発表会

文:電撃オンライン

 スクウェア・エニックスとニフティは、両社のカジュアルエンターテインメント・ポータル事業における業務提携についての共同記者発表会を、本日3月17日に開催した。

 両社によると、スクウェア・エニックスの全額出資による完全子会社「スマイルラボ」を2月29日に設立し、今夏のサービスインを目処に、PC向けカジュアルエンターテインメント・ポータルのサービスを開始するという。スクウェア・エニックスは、コンテンツ・サービスの開発や事業展開において、ニフティは、サービス展開に必要なサーバなどの設備や、課金、決済などのシステム、ならびにコミュニティ運営ノウハウにおいて、スマイルラボの行う新サービスの支援を行っていくとのこと。提供するカジュアルゲームはFlashでプレイできるものを開発し、現在開発中の新サービスの基礎ベースをベータバージョンとして今夏サービスインする予定。カジュアルゲームの他にも、コミュニティと連動を図ったサービスや、カジュアルユーザーに向けたコンテンツの提供を行っていくとのことだ。

 発表会には、スクウェア・エニックス代表取締役社長・和田洋一氏、ニフティ代表取締役社長・和田一也氏、スマイルラボ代表取締役社長・伊藤隆博氏が登壇し、業務提携と戦略について語った。

 最初に登壇したスクウェア・エニックス和田氏は、カジュアルゲームには以前から参入したいと考えていたが、最良のスタッフとパートナーを得るまでは事業参入するべきでないと判断し、今という時期に事業参入することになったと説明。ニフティとの業務提携に至った理由として、スクウェア・エニックスは今まで良質なコンテンツを提供する企業スタイルにあり、ユーザーの参加を積極的に図りたい新サービスにおいてそのノウハウがないため、コミュニティサービスなどに実績のあるニフティと業務提携を行ったという。
 またサービスをスクウェア・エニックスが行うのではなく、別会社であるスマイルラボを設立し、同社がサービス・運営を行っていく経緯に関しては、「会社にはブランドというものがあります。お客様の考える会社のブランドと、提供するサービスとの間に大きなギャップが生まれてしまうと、それはお客様に受け入れられないので、スマイルラボを設立し、ニフティと提携しました」と話した。戦略としては、市場の拡大しているカジュアルゲームを1つのジャンルとして捉え、今までスクウェア・エニックスが獲得できていなかったユーザーを獲得していく方針だという。そのために、サービスやコンテンツの開発・運営を、スマイルラボが一から行っていくとのことだ。

 続いて登壇したニフティ和田氏は、今回の業務提携にあたって、「カジュアルで新感覚のコミュニティに参画し、ニフティでは獲得しきれていない10代、20代の若いユーザーを獲得していきたい」と話した。「スクウェア・エニックスは、人を惹きつける魅力的なコンテンツ開発を行っている」とし、ニフティの培ったノウハウを新サービスに提供して、スクウェア・エニックスとニフティの持つコアコンピタンス(競合他社のマネできない能力)を連動していきたい考えを語った。

 最後に、スマイルラボ伊藤氏が同社のビジョンについて説明した。まず同社の活動領域について、「検索やショッピングなどの利便性サービスではなく、ゲーム、コミュニティなどのエンターテインメントサービスをカジュアルユーザー層に向けて一貫して手掛ける」ことを発表した。ターゲットユーザーとなるのはインターネット上のカジュアルユーザーで、日本ではまだ未開発な分野における顧客の獲得を目指していくとしている。
 サービスの概要としては、Flashを利用した2Dの仮想空間が用意され、サービスは低スペックPCでも利用可能な2Dで行われるという。そこでカジュアルゲームをプレイしたり、その中にあるTV局の映像コンテンツを視聴できたり、自身のミュージッククリップを公開できたりするとのこと。同社が提供するコミュニティやカジュアルゲームは、スクウェア・エニックスとニフティの協力を得て、開発・サービス・運営していく旨が語られた。

 なお課金のビジネスモデルに関しては、基本利用料無料のアイテム課金を考えているとのこと。また海外で、カジュアルゲームに広告を挟むスタイルが非常に収益をのばしていることもあり、広告との連動も積極的に図る考えがあることを明らかにしていた。コンテンツ以外にも、コミュニティサービスとしてブログやメールが利用できる。ベースとなるのが仮想空間なので、SNSやメタバースにあるようなコミュニティは無論行えるとのことだ。また、遊んだり、働いたりすることで貯められるポイントを導入。そのポイントを利用すれば、家を建てたり、アバターの服が買ったりできるという。さらに、本サービスの初年度目標は、50万IDであることを発表し、しばらくはPC専用サービスになることを話した。

 さらに新サービスは、まだ具体的ではないが海外も視野に入れているという。ここからは和田洋一氏の言になるが、「スマイルラボが展開していくようなサービスについては、民族や国にかかわらず、世界中で求められているサービスだと考えています。アレンジは必要になりますが、日本でサービスの形を確立できれば、海外にも応用がきくと考えています」とのことだ。

左から和田洋一氏、伊藤隆博氏、和田一也氏。
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「カジュアルゲームは既存ゲームの追加要素ではなく、新しいマーケットと捉えています。まず初年度での50万IDを目標とした初動を、どの程度達成できるかが重要になる」と、新事業への意気込みを見せる和田洋一氏。
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ニフティの和田一也氏は、「ニフティの業績への影響はまだ予測できないが、初年度の目標50万IDを達成すればかなりのインパクトだと思います。ニフティにとっても、このサービスは文化の交流になると考えています」と話していた。
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「スクウェア・エニックスとニフティの両社ともコミュニティサービスを提供しているが、新サービスが競合することはないのか?」という質問に対し、和田洋一氏は「両社のコミュニティのユーザーが求めるものと、新サービスのコミュニティのユーザーが求めるものは違うものになると考えています。今までとは違うコンテンツを提供するのではなく、今まで拾いきれなかったコミュニティのユーザー層を獲得するために新サービスを提供してきます」と回答していた。
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「カジュアルゲームを軸にしたサービスは以前からやってみたかったし、やりたい人も多かったが、日本の作ったものに対する受け皿がなく、海外のローカライズでは越えなければならないハードルが多すぎました。そこで日本がゼロからその受け皿を作ってしまえばやりやすいと考え、基礎ベースやその上に乗るコンテンツは、既存のソースを使わずに1から作り上げています」と語る伊藤隆博氏。
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伊藤氏によると、「PC上の仮想空間というのはさまざまにあるが、目的がないものが多いので、新サービスは遊ぶことを目的に、カジュアルゲームなどを中心にコミュニケーションをとってほしい」とのこと。

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