2008年3月8日(土)
2005年10月にTVアニメが放送され、今年1月31日にはDS用ソフト『蟲師~天降る里~』が発売、さらに3月28日には「蟲師 二十六譚 DVD Complete BOX」が発売となる人気コミック「蟲師」。そのTVアニメで主人公の“ギンコ”を演じた中野裕斗氏が、「蟲師」に携わった人を訪ねて回るコーナー「蟲の居所」が、本日よりスタートした。
題字・漆原友紀 |
「蟲師」は、「月刊アフタヌーン」(講談社刊)で隔月連載中の、漆原友紀先生によるコミック。TVアニメが放送された後、幅広い層の支持を獲得し、文化庁メディア芸術祭「日本のメディア芸術100選」アニメーション部門で6位入賞を果たした。また、DS版『蟲師~天降る里~』では、ゲーム内で「蟲師」の世界が完全に再現され、ゲームオリジナルのストーリーを楽しめることが話題となった。
第1回目となる今回は、語りとして物語の世界観を固めていた声優の土井美加さんに、TVアニメのアフレコ時の話や、DS版『蟲師 ~天降る里~』についてうかがった。
中野氏:“ギンコ”役の中野裕斗です。「蟲師」にかかわる人に“ギンコ”が訪れるという「蟲の居所」のコーナー。第1回目のゲストは、声優の土井美加さんです。
土井さん:どうも土井です。よろしくお願いします。
中野氏:ゲームをプレイされたということですが、遊んでみてどうでしたか?
土井さん:オープニングの前にロゴがでるところで、“ギンコ”が「マーベラスエンターテイメント TENKY」って言うのが渋いですよね (笑)。あとは、絵がすごくキレイで驚きました。まだあんまりやっていないので、よくわからないかもしれないんですが、最近村が不穏な雰囲気に包まれていて「何か起きるんだろうな」ってドキドキしています。
中野氏:それは……結構まだ序盤ですね(笑)。でも、時間が取れないと難しいですからね。
土井さん:それはありますね。話はまったく変わるんですが、小学校の国語の授業で「雨の降らない村」っていう小説を書いたんですよ。タイトルが似ているじゃないですか。だからこのゲームには、すごく親近感を覚えました。そして、このゲームをするためにDSを買ったんですよ! だから気合は入っていますよ。他のソフトでは、何かに使うかなと思い国語辞典を一緒に購入しました。
中野氏:僕も、漢字検定のソフトを買いましたね。……まだ全然やっていないので、中学生レベルですが(笑)。
土井さん:でも驚きましたね。こんな小さなソフトなのに、いい音で絵がキレイで、動きが細かい。それには、本当に感動しました。DSと自分の小さな空間の中で起こることなんですが、広がる気がします。
中野氏:大人のゲームですよね。ちなみに主人公の名前や性別は何にしたんですか?
土井さん:私は少年にしました。少年として生まれ変わるのが昔からの理想なんです。少年は一番清らかじゃないですか。女の子は小さい時からすでに女なんですよね。少年に憧れているんで、「ホシ(星)」とつけました。
中野氏:ヒューマですか?(一同笑) 僕は「中野」にしました。子どもたちに「中野お兄ちゃん」って言われるじゃないですか。現実では絶対に無理な、あれが気持ちよくって(笑)。まだそんなにプレイされていないようですが、出てくるキャラクターで好きなキャラは誰ですか?
土井さん:まだ“ホシお兄ちゃん”的に強烈にアタックしてくるキャラクターはいないんですよ。里の人とも、ちょっと距離がある過ごし方しかしていませんね(笑)。……集落の家の中に、囲炉裏を囲んでいる人がいるんですが、その人たちは気になりますね。いつになったら話せるんだろう?って (笑)。
中野氏:“村長”さんには会いましたか?
土井さん:あの人、いつ行っても「腰痛の薬をくれ」って言うじゃないですか。もう5回くらいあげてるんですが、なかなか治ってくれないんです! 「薬を上げた直後なら違うこと言うのか?」って思ったんですが、また要求されて(一同爆笑)。あれは、そのうちに「じゃがいも」や「さつまいも」よりもすごいものをくれるんですよね?
中野氏:どうでしょうね?(苦笑)。僕は途中で諦めました(※「枝豆」をもらえます)。では、ゲームではなくアニメのキャラクターではどうですか?
土井さん:キャラクターではないですが、「虚繭取り(うろまゆとり)」の話と「錆(さび)鳴く聲(こえ)」の話が私はすごく好きなんです。地味なんですが繭を守り続けている人がいて、姉妹がいる。でもあれ、怖い話ですよね? 布をかぶっただけで、あんなことになっちゃうなんて、子どものころに知らなくてよかったです(笑)。
中野氏:子どもは絶対やりますからね、押し入れなどの暗くて狭いところに隠れるって。僕は道路の横にある汚水の溝で深い場所があったので、ずっと歩いて行ったことがありますね。出れたからよかったんですが(苦笑)。
コーナーの進行を務める中野氏(写真左)と、今回のゲスト・土井さん(写真右) |
中野氏:では、今だから話せるアフレコ時の秘話などあったら、お願いします。
土井さん:覚えてないですねえ(笑)。あっ!! 秘話ではないんですが、私がいつも早く帰してもらっていたのが、申し訳ないなあって思っていました。
中野氏:いやいや、お待たせしても仕方ないですから! 逆に僕なんかは、時間をかけざるを得ないですからね。
土井さん:でも、そういうことの先に、結果が出た作品だと思いますよ。収録にあんなに時間をかけるということは、他の作品では少ないですからね。また、キャストとスタッフが正面から戦うっていうのもめったにない。だからこそでき上がったものも、めったにないものになっているんですよ。中野さんがただ料理されていたんじゃないから、“ギンコ”は素晴らしいんだなって。
中野氏:僕なんかは、まな板の上の鯉でしたよ(笑)。でも「できないなら、もういいよ」という現場ではなかったですね。やるしかないから、戦わざるを得なかったという状況なのかな。あとは、「もう嫌だ~」って言ったら、仕事なくなっちゃいますからね(笑)。決して諦めないぞと思いましたし、スタッフも諦めなかった。
土井さん:お互いが諦めないというのが、いいものにたどりつく最善の方法だと思いますね。でもその成果が出ているのが、素晴らしいですよ。スタジオをエンドレスで使えるなんて、本当に恵まれていたと思いますね。いつも違う仕事がメインの中野さんが声優をやるには、時間も必要だったと思いますし。
中野氏:役者の方は何年もやっていることなんで、「日ごろからやっている仕事なんて、できて当たり前なんだ!」ってうちの社長にも言われますね。実際のところは僕自身、迷惑かけた印象しかないですねえ。僕を起用することを聞いた時は、「長濱監督や田中さんの頭はおかしいんじゃないのかな?」って思いました(苦笑)。
土井さん:以前にも中野さんと一緒に仕事をしていたので、中野さんが“ギンコ”と聞いた時は最初一致しませんでした(笑)。また、こうやってお話ししている感じとも、“ギンコ”は違うじゃないですか。思えば、役者なんだから当たり前ですよね。でもアニメの「蟲師」は、中野さんの“ギンコ”ができ上がって、世界観が完成したんだと思うんですよ。他の人は、そこに乗っかっていく作業をしていくっていう。
中野氏:何にも考えてませんでしたけどね……考えられなかったのかもなあ。何かやろうとすると「違います、違います」って言われていたんで。
土井さん:何にも考えないと、ただ読んでいるだけになってしまう。でも余計なことをしないということが、いかに人に伝わるかは、中野さんの演技から教えてもらいました。きっと最初のうちは、目標という小さい穴に向かって自分の演技を詰めていくような作業をしていたと思うんですが、ゲームの時はスーッとそこの世界に入れた。それってすごいことですし、中野さんが作りあげてきた“ギンコ”が不動のものになったからですよね。
中野氏:(照れながら)これは真剣にライフワークにしていかないといけないなあ。
土井さん:うらやましいですよ、“ギンコ”のようにライフワークと思えるようなキャラクターと、巡り合えるなんて。何年やっていても、出会いたくても出会えない人もたくさんいますからね。
中野氏:“ギンコ”に救われたという一面はありますね。どうやっていくべきか、考えていた時期だったので。あとは結婚さえできれば、幸せなんですけどね(一同笑)。
土井さん:きっとファンは“ギンコ”には独身のままでいてほしいと思っているはずですよ。
中野氏:本当に結婚したいです(一同爆笑)。土井さん、どうですかね? 僕のような男は。
土井さん:何を言っているんですか。本気にして、この後で家に連れて行って母に会わせちゃいますよ。
(一同大爆笑)
中野氏:いや~~、話は変わりますがホントにいろいろ思い出せますね。
土井さん:今回は、1回目なんですよね? だったら、私のことよりも中野さんのことを振り返るでもありなんじゃないですか?
中野氏:言うことが違いますね。しっかりしていますよ。ということで、次回から土井美加の人生相談が始まります。なんちゃって(笑)。では最後に、これをご覧になる人へのメッセージをお願いします。
土井さん:これは友だちとワイワイやるソフトではないかもしれません。でも別にこの世界に引きこもるようなものでもないんです。一見そういう風なところもあるかもしれませんが、“ギンコ”は人間が嫌いで1人でいるわけではないんですよ。だから、自分の世界の中で、目いっぱい自由になることをやってもらえたらいいんじゃないかと思います。閉じこもらず、楽しんでください。
中野氏:きっと気になっている人は、「蟲師」が好きな人ですからね。今日はありがとうございました。
インタビュー中も笑顔が絶えなかったお2人。次回の“ギンコ”は、誰を訪ねるのだろうか? |
インタビュー後には、2人によるイラスト大会が行われた。ゲームで最初に出会う蟲をスケッチする対決であったが、両者どちらも譲らずドローに。なおこのイラストは、後日プレゼントするのでお楽しみに。
中野裕斗氏近況 |
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Wii用『全国デコトラ祭り』のイメージキャラクターを、竹内力さんの弟、RIKIさんが務めています。そして、そのコマーシャルには、中野を含め、我らRIKI PROJECTの俳優陣が出演しています! あと、“狩房淡幽”役の小林愛ちゃんが出演する舞台「赤坂RED/REVOLUTION 第一弾「東京」が、3月13日からスタートするので、興味のある方はぜひどうぞ! |
(C)漆原友紀/講談社・「蟲師」製作委員会
(C)2008 Marvelous Entertainment Inc.