2008年3月15日(土)
2005年10月にTVアニメが放送され、今年1月31日にはDS用ソフト『蟲師~天降る里~』が発売された人気コミック「蟲師」。TVアニメで主人公の“ギンコ”を演じた中野裕斗氏が、「蟲師」に携わった人を訪ねたり、「蟲師」にかかわったことをするコーナー「蟲の居所」の第2回目をお届けする。
題字・漆原友紀
「蟲師」は、「月刊アフタヌーン」(講談社刊)で隔月連載中の、漆原友紀先生によるコミック。TVアニメが放送された後、幅広い層の支持を獲得し、文化庁メディア芸術祭「日本のメディア芸術100選」アニメーション部門で6位入賞を果たした。また、DS版『蟲師~天降る里~』では、ゲーム内で「蟲師」の世界が完全に再現され、ゲームオリジナルのストーリーを楽しめることが話題となった。
今回の「蟲の居所」では、“ギンコ”役の中野裕斗氏が木箱を製作する過程を自らが語っていく。スタッフの気ままな思いつきで、“ギンコ”の背負う木箱を自ら作ることになってしまった中野氏。はたして、無事に木箱を作ることができるのだろうか?
?「多いね……」
中野「うん、そうだね」
唐突に会話なので、これを読んだ読者には、何がなんだかわからないだろうが、これは“ギンコ”の背負う木箱にある引き出しの数のことである。
無謀にも、「ギンコの木箱」を作ることになった俺は、知り合いの職人のケンちゃんに早速相談したのであった。それにしても、結構な数の引き出しがある。さまざまなアイテムが入っているのだろうから、当然ではあるが、いざ再確認すると、改めて驚いてしまう。
ケンちゃん「これを作るの大変だよ! 僕が全部作ろうか?」
中野「いや、待ってくれ! それでは意味がないんだ!! 俺は蟲師だ!」
とは自信タップリ言ったものの、不安を隠せない俺。
その後、「蟲の宴」舞台監督・中村和明氏が書いた特製図面を元に、「ああでもない」、「こうでもない」と話していたらあっという間に2時間が過ぎた。
「よし! とりあえずこれでいこう!!」
と、大方の材料を決めて、近くのホームセンターへと向かった我々。
材料を手に取り、カットしてもらうために加工場に急ぐ2人であったが、時計の針はすでに19:30を回っていた。
加工場についた我々の眼に飛び込んできたのは、トミーリー・ジョーンズ似のオヤジさんが淡々と片付けをしている姿であった。
中野「すみません。これを、今からカットしてもらえませんか!?」
オヤジさん「もう今日は終わりなんだよ。明日また来てよ」
中野「いや、それでは困るんです! これには「蟲師」の未来がかかっているんです!!」
オヤジさん「……わかったよ」
オヤジさんは親指を立てながら、承諾してくれた。
見事な手さばきで、カットしていくオヤジさん。
そんなオヤジさんに、俺はコーヒーを渡した。
「……サンキューな」
いかした笑みを浮かべながら、オヤジさんはこう言った。
こちらこそ! ありがとう、オヤッさん!!
カットを終えて、代金を支払っている俺の横で、ケンちゃんが
「そういえば、さっき買った材料の精算をしていないよね」
とつぶやく。
しまったぁ~!!
加工場に急ぐあまりに、材料の精算を忘れていたのだ。
「おちつけ、おちつけ」
何はともあれ、材料は揃った(はず)。
あとは俺の腕次第(のはず)。
「やってやるぜ!!」
と意気揚々と部屋に引き上げてきた俺だったが、ここであることに気が付いた。
しまったぁ~!!
図面を置いてきちまったぁ!
もうとっくに、事務所の営業時間は終了している。
「おちつけ、おちつけ」
俺はすぐさまメールを送信した。
「和明、すまん! 図面をもう一部送ってくれんかm(_ _)m」
のっけからこの調子だ。本当に大丈夫なのだろうか。
つ・づ・く
中野裕斗氏近況 |
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山下智久君や堀北真希ちゃんが主演の映画「クロサギ」に、ヤクザの役で出演しています。TVドラマに続いて、人気なので、よければ見てください。 |
(C)漆原友紀/講談社・「蟲師」製作委員会
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