2008年3月14日(金)
ブロードバンド推進協議会が主催するオンラインゲームの国際カンファレンス「オンラインゲーム&コミュニティサービスカンファレンス 2008(OGC 2008)」にて、日本オンラインゲーム協会会長・植田修平氏による講演「オンラインゲーム最新市場動向と日本オンラインゲーム協会の活動について」が行われた。
植田氏は、オンラインゲームやモバイルなどのコンテンツを提供するゲームポットの代表取締役社長を務めている。本講演では、2005年~2007年のデータを比較しながら、最新のオンラインゲーム市場の動向についての説明が行われた。
植田氏は、「2007年にオンラインゲームのサービス会社は減少しています。サービスを撤退した会社を見てみると、兼業、または1つの事業部でオンラインのサービスを行っている会社が多いように印象を受けます。またサービスタイトルですが、2007年度にはわずかしか増えていません。これは、供給過多だった市場が正常化へ移行していることが原因だと思われます。オンラインゲーム市場のマーケットは、急速に拡大してきました。小資本で立ち上げた会社でも、ソフトを海外から買ってきて、ローカライズすることによってサービスを提供することは可能なため、参入障壁が低かったため、ソフト数があふれていたと考えております」と、現在の市場について説明した。
続いてサービス終了したタイトル数が増加している件に関して、「2007年は新規サービスのタイトルが減り、終了タイトルが増えています。マーケット全体の規模は成長過程にあり、既存タイトルに関しては伸びているのですが、新規タイトルが入りにくい状況である。韓国でも、人気ランキングに変動が見られにくい。遊ばれているタイトルと、そうでないタイトルがハッキリ二分化しているのが、状況として当てはまるように予想されれます」と植田氏は発言した。植田氏は、私見ですがと断った後で、「オンラインゲームは継続性の高いゲームゆえに、メーカーの運営力が問われます。またソフト数が多い現状では、コミュニティをうまく取れるかが、継続して遊んでもらうポイントと考えます。コンテンツと運営の質がメーカーに求められると考えています」と今後の課題についてコメントした。
続けてオンラインゲームジャンルの推移を説明。最近RPGが増加しているのは、ユーザーの思考がゲーム性の強いものにシフトしているためと語り、スポーツなどプレイ時間が短いジャンルは減少傾向にあると続けた。また、MMOが増加し、カジュアルゲームが減少していることに関しては、「カジュアルゲームは気軽に遊べるが、プレイ時間が短いために、コミュニティができにくい。またビジネス的な観点から補足すると、運営していくだけの収益をMMOに比べると上げにくいため、そちらにシフトしていることが推測されます」と話した。
植田氏は、「オンラインゲームは、競争が激化して、淘汰されつつあります。今後は良質なコンテンツが求められる。現在市場は、成長期から成熟期を迎える時期に入りつつあり、ユーザーの求めるものも上がってきている。そういった意味で、良質なコンテンツと運営を行っていける会社が勝ち残っていけるのではないでしょうか」と、昨年のオンラインゲーム市場の分析をまとめた。
続けて植田氏は、オンラインゲーム協会の活動について説明した。オンラインゲーム協会では現在、いくつかのテーマや問題を設けて、解決に向けて協議を行っているという。 「不正アクセス・RMT分科会」では、不正アクセスやRMTの問題点やセキュリティなどについて協議を行い、業界や企業と情報を共有することで、対策を立て、未然に防ぐ活動をしているようだ。 また、オンラインゲーム業界として、ゲーム内広告を収益モデルとして、確実なものにするために、「ゲーム広告分科会」においてゲームサービス会社、広告代理店が中心となりながら、ルール作りを行っているとのこと。植田氏によると、海外では既にビジネスモデルとして確立しているというので、分科会によるモデル作りの実現に期待が集まる。
続けて、オンラインゲーム業界の人材確保のために、産学連携で教育機関との提携を行うことを明らかにした。今後は、学生などにオンラインゲームビジネスをアピールするような施策を行う予定となっている。 最後に、「オンラインゲーム輸出を推進していきたい」と話した植田氏。実際に、2007年10月にタイで行われたコンテンツ展示会に出展しており、今年も出展を予定しているという。東南アジアやロシアなどにも需要がある他、北米の市場をなるべく迅速に調査を行い、メーカーの手助けをしていきたいと今後の構想を語り、講演は終了となった。