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2008年4月10日(木)

『ECO』開発スタッフにインタビュー! 「SAGA8 戦歌の大地」の秘密に迫る!!

文:電撃オンライン

 ガンホー・オンライン・エンターテイメントが正式サービス中のPC用MMORPG『エミル・クロニクル・オンライン(以下、ECO)』の開発スタッフに、5月1日に実施されるアップデートについてインタビューを行った。

 サービス開始から3年目となるハートフルオンラインRPG『ECO』が、5月1日に実装される大型アップデート「SAGA8 戦歌の大地」で大きな転機を迎える。アップデートでは、「ハートフル」らしさは残しつつも、「攻防戦」や「PvP(Player versus Player)」といった白熱の多人数バトルを導入するなど、路線が変わっている。そのあたりの事情を、ガンホー・オンライン・エンターテイメント オンライン事業部サービス運営本部の水落貴嗣氏と、マーケティング本部の平原智子さんに聞いてみた。(インタビュー中は敬称略)

エミル・クロニクル・オンライン

――「SAGA8 戦歌の大地」で予定しているアップデートの内容やスケジュールについて教えてください。

平原:実装を予定しているのは、「ドミニオン世界のマップ」、「PvP」、「攻防戦」、「次元転生システム」、「背負い魔・ネコマタ(緑)」、そしてジョイントジョブの「庭師(ガーデナー)」となっています。「SAGA8」第1弾となる5月1日の時点では、ドミニオン世界のマップやNPCを中心に実装し、その後、庭師(ガーデナー)や攻防戦などを順次追加していきます。夏までにSAGA8のアップデートを完了し、夏から秋にSAGA9を実装。年末にはSAGA10へ入れるように作業を進めています。SAGA7からSAGA10までは、ストーリーに連続性があるので、なるべく間を置かずに実装したいと思います。

――新マップのドミニオン世界とはどういった場所なのでしょうか?

平原:『ECO』には3つの世界が存在し、エミル世界(人間族)、タイタニア世界(天使族)、ドミニオン世界(悪魔族)と呼ばれています。3つの世界は、それぞれ別々の歴史を歩んできたパラレルワールドになっていて、SAGA8ではドミニオン世界がいよいよ実装となります。ドミニオン世界は第四種族(機械族)の侵略を受けており、2種族の終わりなき戦いが続く闘争の世界なんです。エミル世界やタイタニア世界とパラレルワールドになっているため、同じマップ名も存在しますが、歩んできた歴史が違うので、見た目などが大きく異なっているのが特徴です。

水落:5月1日の実装で、まずはドミニオン世界の「王都ウェストフォート」と、その周辺のマップを追加します。ウェストフォートは外敵の侵入を防ぐために高い城壁で囲まれているなど、今までの街とは雰囲気がまったく異なります。また、ドミニオン世界とエミル世界は「天まで続く塔」でつながっており、この中にある次元転送システムを利用することで2つの世界を行き来することができます。

平原:次元転生システムを使って、初めてドミニオン世界へ移動してきたキャラクターはレベルが1に下がってしまいます。これは、ドミニオン世界におけるキャラクターレベルで、エミルの世界に戻ると元に戻ります。キャラクターの見た目や習得スキル、ジョブ、所持品などに変化はないのでご安心ください。

――ドミニオン世界用にキャラクターレベルを用意したのは、どういった理由からですか?

水落:世界観的な話になりますが、エミル世界から次元を超えてドミニオン世界へ移動する際にキャラクターの肉体が変化する、というイメージです。レベル1から再スタートすることで、これから始める新規さんとベテランさんが一緒に冒険を楽しめるようにしたいという狙いもあります。やはり『ECO』のように長期間にわたってサービスを行っているMMORPGは、ベテランさんと新規さんのプレイ時間にかなりの差が出てしまいますので。ドミニオン世界では初期の最大レベルがそれほど高くなく、多くのユーザーさんがある程度、平等に楽しめると思いますので、この機会に『ECO』未体験の方にもぜひプレイしてほしいですね。

――今回、本格的にPvPシステムを導入するわけですが、ハートフルという『ECO』のイメージからかけ離れているように感じますが?

水落:PvPに関しては、ユーザーさんからも不安げなご意見もいただいています。確かに殺伐としたイメージがあるかもしれませんが、ユーザーさん同士で協力して戦ったり、互いの腕を競い合ったりすることで生まれてくる「友情」や「絆」もあると考えています。また、ゲーム開始時にドミニオン族でキャラクターを作成すると、戦争で混沌としたドミニオン世界を脱出するようにエミル世界へ転送させられますよね。あれは、未熟なドミニオン族が生きていける世界ではないので、エミル界へ逃がしているという設定なんです。そういった物語の背景にもつながっており、ドミニオン族が暮らす世界の緊迫した世界情勢を表現するのにPvPシステムが最適であると考え、導入にいたりました。PvPに緊迫感をもたせる意味で、戦闘で負けるとデスペナルティがあり経験値が減ってしまいます。プレイヤー同士だけでなくモンスターに倒された場合も経験値は減少しますし、もちろん現在の経験値が0%以下になるとレベルダウンします。

――かなり厳しい仕様ですね。

水落:緊迫したドミニオンの世界を表現するために必要だからこそ実装するわけで、中途半端なものを入れたらユーザーさんに納得していただけないと思っています。また『ECO』では、ランキングのような自分の強さを計るシステムも存在しませんでしたから、ランキングを含め新しい遊び方の提案ができないかと考えているところです。多人数戦闘の様子は、すでに実装済みの「騎士団演習」を想像していただくとわかりやすいと思います。

――なるほど。では次に攻防戦について教えてください。

水落:「SAGA8」の最終アップデートで実装を予定している攻防戦は、今年の目玉として考えており、非常に力を入れて開発しています。攻防戦といってもユーザー同士のギルド戦みたいなものではありません。ドミニオン世界を侵略しようとしている第四の種族から街を守るために、3つの種族(ユーザー)が力をあわせて戦うといった内容です。ただし、攻防戦に負けると侵略度によってショップが減って物価が高くなったり、住人がいなくなったりと、街の様子が変化していきます。

――攻防戦となると、戦闘向きのジョブが有利になると思いますが、それ以外のジョブにも活躍の場がありますか?

水落:確かに直接的な戦闘ではファイター系やスペルユーザー系(魔法が使えるジョブ)が活躍しますが、バックパッカー系(採取生産型のジョブ)のジョブも裏方や支援として参加できるようにしたいと考えています。『ECO』のユーザーさんは「みんなで何かをやりとげたい」と思っている方が多いので、ジョブにかかわらず参加したユーザー全員が達成感を得られるようにしたいです。攻防戦とPvPはドミニオン界の特徴を表すという意味合いもありますが、「何かを守りたい」、「みんなでやり遂げたい」といった『ECO』の新しいテーマも表現できるシステムなんです。これを通してフレンド同士の絆が強くなったり、新しいフレンドができたりと、今まで以上にコミュニケーションが活発になることも期待しています。

――ジョイントジョブの庭師(ガーデナー)の特徴や転職条件について教えてください。

平原:特定のアイテムを装備するだけで、誰でも気軽に転職できるジョブがジョイントジョブです。今回実装する庭師(ガーデナー)は、公式サイトの「みんなで作ろうキャンペーン」というコーナーでユーザー投票を行ない、実装が決まったものです。このコーナーに代表されるように、『ECO』ではこれまでにもワールドの名前を投票で決めたり、NPCの名前やセリフを募集してきました。こういった場を用意することで、『ECO』ではユーザーさんのご要望をできるだけ取り入れるようにしています。

水落:庭師(ガーデナー)の特徴は、飛空庭に特化したジョブで、飛空庭でガーデニングができる点です。ガーデニングは、種を植えた後もこまめに水をやるなど、ある程度の時間をかけて植物を栽培します。世話をサボると枯れちゃったりしますが、手間がかかるぶん、よいものを収穫できるかもしれません。他にも、敵に囲まれた際に樹木のふりをして敵をやり過ごすような、ちょっと笑える戦闘用のスキルも考えています(笑)。また、「ファーマー」(採取生産型のジョブ)の栽培スキルを習得済みの人が、ガーデナーに転職することで使用できる便利なスキルもあります。それは「ギャザリング」というスキルで、フィールドの1マスに対して行う通常の栽培スキルを、8マスくらいの広範囲に対して行えます。

平原:他にも、青空に固定されている飛空庭の天候を変更するスキルも使用できる予定です。公式のイベントでSS(スクリーンショット)コンテストを実施しまして、飛空庭でSSを撮られるユーザーさんも多かったのですが、飛空庭の背景は青空の1パターンしかないため「天の川が見える夜空や満月をバックに撮影したい」というご要望が多かったんです。そこで、天候に関するスキルを組み込みました。

――ネコマタ(緑)は、『ECOビギナーズパッケージ ファミマ限定版』の特典アイテムでしたが、今回、ゲーム内に実装することになった経緯とは?

平原:さまざまな色のネコマタがゲーム内に実装されていますが、ユーザーさんから「ネコマタ(緑)だけが入手できないのは悲しい」という声を多くいただきまして。『ECOビギナーズパッケージ ファミマ限定版』の販売が終了したことと、新規の方が増加したことを加味し、今回、ネコマタ(緑)の入手クエストを実装することになりました。特定のイベントをクリアすると入手できるので、ぜひネコマタたちをコンプリートしてほしいですね。この他にSAGA8では新たなBGMも追加されます。今までのハートフルな世界とは雰囲気が違うカッコイイBGMを用意しましたので、そちらもご期待ください!

――それでは夏ごろに予定しているSAGA9、SAGA10のアップデート内容について教えてください。

平原:SAGA9では、タイタニア世界の拡張と、インゲームアトラクション(ゲーム内企画)などを実装していく予定です。これまでにも、ファッションブランドや結婚式のプロデュース会社といった企業さんとのコラボレーション企画を行ってきましたが、ユーザーさんがもっと楽しめて、スポンサーにとっても宣伝になるようなインゲームアトラクションを考えていきたいですね。

水落:街中にインゲーム広告がいきなり入ってくると、引いちゃうユーザーさんが多いと思います。そこで、世界観を壊さないようにゲームを絡めたアトラクションを用意したいと思っています。

平原:弊社では昨年、「攻殻機動隊S.A.C.シリーズ」とコラボレーションしたパッケージを発売しておりまして、これには人気キャラクターの衣装が特典アイテムとして同梱されています。この衣装を着た時に、アニメで有名な背景をバックにしてSSが撮れるとうれしいじゃないですか(笑)。そういった撮影スタジオみたいなアトラクションはぜひ入れたいですね。やはりユーザーさんには、月額料金以上に楽しんでいただきたいと思いますので、ただのインゲーム広告ではなくゲームと絡めていきたいです。

――業界でも注目されているインゲーム広告をさらに一歩進めた形ですね。SAGA10はどういった内容になりますか?

水落:SAGA10ではドミニオン世界をさらに拡張し、引き続きアドバタイズメント(広告物)を拡張したいと考えています。それ以降は、ストーリーの核心に迫るようなアップデートを追加していきたいですね。後は、騎士団演習時の観戦モードを追加したいです。私たち2人が以前担当していた『A3』では、集団戦の観戦モードがあって、すごくユーザーさんの評判がよかったんですよ。また、システムを全面的に作りなおす必要があるかもしれませんが、トーナメントのシステムもやってみたいですね。

平原:そういったシステムが整ってくると、オフラインイベントなどもやりやすくなってくるので積極的に検討したいですね。東京で開催した「ECO祭」だけではなく、地方で開催した「おでかけECO♪」などで、PvP大会ができるとさらに盛り上がると思います! あとは新規ユーザーさんの獲得ですね。オンラインゲーム業界全体で見ても、ユーザー数が頭打ちの時期だと思っています。『ECO』では、SAGA7からProduction I.Gさん(原画:関川成人氏)にイラストを描いていただいてます。その絵を好んで『ECO』を始めた新規ユーザーさんがとても多くいらっしゃいます。そこで、アニメファンとゲームファンの親和性の高さを再認識したので、広告的な展開も含めて、これからもアニメ作品とのコラボを続けていきます。また、毎年、発売しているコラボレーションパッケージですが、今年は2作品を予定しています。まだタイトルはお話できませんが、「アッ!」と驚く内容なので楽しみに待っていてください!

水落:アニメファンとゲームファンの親和性の高さというのは、子どものころからアニメやゲームに親しんできた世代のユーザーさんの特徴ですね。最近はリバイバル作品も多く、我々の世代には懐かしく、子どもたちには新鮮に感じるというものであれば、新規のユーザーさんも興味を持つと思います。また『ECO』の世界はそういったものを許容できるだけの器がありますので、これからもコラボレーションは進めていきたいですね。

――それでは最後に電撃の読者へメッセージをお願いします。

水落:「SAGA8」では、ドミニオン世界が背負っている宿命が明らかになります。そこで、ユーザーの皆さんが体験する出来事を通して、仲間との絆をもう一度確かめあってほしいと思います。期待してお待ちください。

平原:正式サービスが3年目に突入した『ECO』ですが、守りに入ることなく攻めの姿勢でドンドンいろんなことにチャレンジしていきますので、存分に楽しんでくださいね。

――本日はお忙しい中、ありがとうございました。

エミル・クロニクル・オンライン エミル・クロニクル・オンライン
サービス運営本部・水落貴嗣氏。サービス運営本部で制作を担当。インターネットテレビ「あっ!と驚く放送局」で公開している「ECO☆スタジオ」に出演中。マーケティング本部・平原智子氏。宣伝業務を担当をしている他、パッケージなどのマーチャン・ダイジング商品の企画・販売にも携わる。

(C)2008 BROCCOLI/GungHo Online Entertainment,Inc./HEADLOCK Inc.

データ

▼『エミル・クロニクル・オンライン』
■メーカー:ガンホー・オンライン・エンターテイメント
■対応機種:PC(対応OS:Windows 2000/XP)
■ジャンル:RPG(オンライン専用)
■正式サービス開始日:2005年12月9日
■プレイ料金:30日間/1,500ガンホーコイン(1,500円相当)

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