2008年6月25日(水)

【蟲の居所】ギンコが講談社を訪問! 編集の宮崎氏に続いて登場したのは……!!

文:電撃オンライン

 2005年10月にTVアニメが放送され、今年1月31日にDS用ソフト『蟲師 ~天降る里~』が発売された人気コミック「蟲師」。TVアニメで主人公の“ギンコ”を演じた中野裕斗氏が、「蟲師」に携わった人を訪ねたり、「蟲師」にかかわることをしたりするコーナー「蟲の居所」の13回目をお届けする。

「蟲の居所」
題字・漆原友紀

 「蟲師」は、「月刊アフタヌーン」(講談社刊)で隔月連載中のコミック。本作を題材にしたTVアニメは、幅広い層の支持を獲得して、文化庁メディア芸術祭「日本のメディア芸術100選」アニメーション部門で6位入賞を果たした。また、マーベラスエンターテイメントから発売されているDS版『蟲師 ~天降る里~』は、「蟲師」の世界が100%再現されていることに加え、ゲームオリジナルのストーリーを楽しめることでも話題となった。

 今回の「蟲の居所」は、コミック「蟲師」の連載しているアフタヌーン編集部にお邪魔し、作品の編集を担当している宮崎孝士氏に話を聞いた。途中、思わぬ展開を迎えているので、ファンはくまなくチェックしてほしい。

中野氏:今日のゲストは、漫画「蟲師」の編集をしている宮崎孝士氏です。

宮崎氏:よろしくお願いします。

中野氏:早速ですが、ゲームはプレイしましたか?

宮崎氏:……中野さん。僕の悩みを聞いてもらってもいいですか?

中野氏:いきなりですね(笑)。どうしました?

宮崎氏:今回のゲームソフトを作った時のことなんですが、マーベラスさんからできあがったシナリオをいただいて、他にも設定やイベントまで、すべてチェックしたんですよ。

中野氏:そうですね、全部わかっている状態ですね。

宮崎氏:はい。ゲームも製作中の段階で、テストROMをお借りしてチェックしたわけです。そのROMは、シナリオのさまざまな状況に飛べて、それをチェックも兼ねてプレイしていく必要があった。だからまっさらな状況でゲームを楽しめなかったんですよ。「おかしなことはないか」というチェック作業だったので、「こんな展開になるんだ!」という驚きが皆無だったわけです。

中野氏:そうですよね。僕らもシナリオ自体はわかっていますからね。あとは、どんな蟲が出てくるのか、だけでしたね。

宮崎氏:製品版が発売されてプレイしたんですが、「テスト版と同じだ」っていう感じでした。「ああ、大丈夫だな」っていう(笑)。

中野氏:無事発売されたんですから、当たり前ですよね(笑)。

宮崎氏:だから、プレイヤーとしてゼロからの出発点でなかったのが非常に残念ですね。「蟲師」に関することって全部がそうなんですよ。お客さんやファンの立場に立ったことがないんです。

中野氏:宮崎さんは「蟲師」にかかわることは全部チェックしますからね。僕ら、役者も同じですよ。自分が出た映画は、自分の演技のシーンを確認する、そんなイメージですね。

宮崎氏:やっぱりそうですか。そういえば漆原さんと僕は、ニンテンドーDSを持っていなかったんですよ。ハードを開いて驚きましたね! 「画面2つあるんだ!?」って(一同笑)。

中野氏:でも、これを機にハードを購入したっていう人も結構いるみたいですよ。1回目にゲストに登場していただいた土井さんもそうでしたね。

宮崎氏:そうでしたね。というわけで、僕はそれくらいゲームに疎いんですよ。でも、そんな僕でも、やっているうちに自然に入り込めておもしろかったです。

中野氏:雰囲気もいいですからね。あとはBGMも素敵ですし。

宮崎氏:「蟲師」の原作、TVアニメの世界を大事にしてくれていて、すごく落ち着いたゲームじゃないですか。ファンの方で、「ゲームの里にいるのが楽しい」って言っている人もいましたね。

中野氏:静かな夜に、里での生活を楽しむ。大人のゲームですよ。

宮崎氏:でも“ヤクノ”の調書は厳しいですよね。

中野氏:厳しいですね! 作画監督の馬越さんも、1発目は×でしたからね。

宮崎氏:馬越さんが×もらったのを読んだ時は笑いました。……ということは、“ヤクノ”は長濱監督っていうことですね(一同笑)。

中野氏:ですよね。ちなみに主人公の名前は?

宮崎氏:女の子を選びました。名前をつけるのが苦手なんで“蟲子”にしました。

中野氏:“蟲子”ですか(笑)。なら“蟲子”の冒険がゲーム中で展開したわけですね。

宮崎氏:そうですね。いろいろな人に会いましたね。ちょうどプレイしている時、腰が痛かったので、「腰痛の薬」を要求してくる“村長”さんの気持ちはすごいわかりましたね。

中野氏:ワハハハハ。誰もがイラっとする彼の気持ちを逆に理解してしまったんですか?

宮崎氏:「僕も薬が欲しい」って思いましたよ(一同笑)。普通は「薬をいくつ上げればいいんだ?」って思ってイラっとするんでしょうが、腰痛なんて一朝一夕に治るものではないですからね。

中野氏:まあそうなんですけどね。腰悪いのはボクも同じですが、薬飲むほどではないです。……では次の質問です。最初にストーリーを読んだ時は、どのように感じましたか?

宮崎氏:ストーリーはホントによくできていました。「蟲師」の原作のいろいろな話の間にこの話があったとしても、違和感ないくらいに。漆原さん以外の人から出てきたストーリーが、ここまでよく捉えられているのはうれしかったし、おもしろかった。さらには、馬越さんの書くあの絵じゃないですか。文句ないですよ。

中野氏:ストーリーはホント「蟲師」っぽいですよね。スタッフの努力の結晶ですよ。

宮崎氏:そういえば、ゲームのアフレコを行ったじゃないですか? 僕も見に行こうと思ったんですが、その前に仕事があったんです。それでちょっと遅れていったら、すでに土井さんも小林さんもいなくて、残念でしたね。

中野氏:そうなんですよ。ボクも3時間くらいスタジオを抑えてもらっていたんですが、1時間半で録り終えるという奇跡が起きました。

宮崎氏:スタッフも驚いていたでしょうね。

中野氏:1番驚いていたのは、間違いなくボク自身です(笑)。

悩み相談からスタートした今回の「蟲の居所」。その後飛び出したのは、毎回話題になる“村長”だったが、こちらもこれまでにない展開に。

中野氏:他になにかゲームにかかわるエピソードなどありますか?

宮崎氏:ゲームですか? ……ゲームに関しては、漆原さんの方が僕よりやっているんで、いろいろ話せると思うんですよ。今から電話するんで、聞いてみてください。

中野氏:ええええ!!

(ピポパ……「どうも、お疲れ様です。今、目の前に“ギンコ”役の中野さんがいるんで代わりますね」と話す宮崎氏)

宮崎氏:どうぞ。

中野氏:……もしもし。どうも、ご無沙汰しています、中野です。急にこんな展開になってしまい、申し訳ありません。お元気ですか。

漆原さん:お久しぶりです、変わりなく元気です。

中野氏:というわけで、ゲームをプレイされているということですが、いかがでしたか?

漆原さん:普段ゲームをしないので、不安だったのですが、ハマってしまいました。蟲を90匹近く集めましたね。

中野氏:おおおお、コンプリート間近ですね。

漆原さん:そうなんですが、ここからなかなか増えないという状況に陥っています。

中野氏:“ヌシ”や“虹蛇”には、会いましたか?

漆原さん:会いました。すぐに消えてしまったので、「画面をさわったのが、まずかった?」と思ったのですが、ああいうものなんですよね?

中野氏:そういうものだと思います。では主人公は、男の子にしましたか? 女の子にしましたか?

漆原さん:男の子です。名前は、パッと思いついた“百舌(もず)”にしました。鳥の名前ですね。

中野氏:なるほど。“村長”にはお会いしましたか?

漆原さん:会いました、腰痛の薬を要求してきて。でもいくつ渡しても治らなくて、気休めにしかならないんですよね?

(一同笑)

中野氏:治りませんね……。ずっと薬を上げましたが、野菜しかくれませんでした。その他に印象に残った部分はありますか?

漆原さん:薬の調合が好きで、無駄に薬を作って持ち歩いています。あの「ゴリゴリ」という音がいいですね。

中野氏:ホントにすっているようですからね。ああ、先日から木箱を作っているんですよ。それが完成した暁にはですね、宮崎さんがそちらまで飛びますんで、ぜひ観ていただければと思います。

漆原さん:(笑)。中野さんは手先が器用なんですね。

中野氏:そこそこです(照)。でもアバウトなんで、多少曲がっていたり、引き出しの大きさもまちまちです。

漆原さん:手作り感がありますね。私も欲しいです(笑)。

中野氏:漆原さんのためだったら、もう1個作っちゃおうかな(笑)。では、最後に「蟲師」の世界を楽しんでいるファンへ、メッセージをお願いします。

漆原さん:長く遊べるゲームだと思います。意味もなく山をうろついてみたり、「狩房文庫」に足を運んだりして、原作ともども楽しんでいただければ幸いです。

中野氏:今日は突然、お話をお聞きして失礼しました。ありがとうございました。

漆原さん:ありがとうございました。

中野氏:そして連載の方も、9年間お疲れさまでした。

漆原さん:そうですね。意外とあっという間でしたが。あと2話あるので頑張ります。

中野氏:期待しています。また機会があれば、お酒でも飲みましょう。

漆原さん:そうですね。よろしくお願いします。

中野氏:では失礼します。

(ポチッ)

中野氏:フ――――。緊張しました(一同笑)。

宮崎氏:無茶振りでしたか? すみませんでした(笑)。

中野氏:でも、ファンの人たちも漆原さんが出てくれたのは、すごく喜ぶと思いますよ。ということで、今の話にもありましたが、「蟲師」連載が降幕となるということなんですが、それについて宮崎さんの方から教えてもらえますか?

宮崎氏:はい、約9年続いてきた「蟲師」の連載ですが、降幕となります。長かったようで、あっという間でした。僕自身もどういう降幕になるのか、楽しみにしています。皆さんも楽しみにしていてください。

中野氏:では最後にファンの方へひと言。

宮崎氏:DSを初めてさわった僕でもとても楽しめたので、誰にでもオススメな『蟲師 ~天降る里~』。もちろん「蟲師」好きの人には、自信を持ってオススメできます。ぜひ遊んでみてください。

中野氏:今日はありがとうございました。

宮崎氏:ああ、そういえば読者の方へ色紙を書いているじゃないですか。編集部をあさってみたらですね、だいぶ前に作った「蟲師」のテレホンカードが出てきたので、色紙の代わりにプレゼントします。

中野氏:おおお、これは貴重ですね。ありがとうございます!

漆原さんの突然の出演を演出し、一同を驚かせたコミック「蟲師」の担当・宮崎氏。2人の談義は盛り上がりすぎてしまい、止まることを知らなかった。またお土産として貴重なテレホンカードをいただいたので、次回読者プレゼントとして提供する。
・中野裕斗氏近況
「蟲の居所」
 「蟲の居所」もいよいよ残すところわずかということで、講談社さんのアフタヌーン編集部にお邪魔しました。


 編集の宮崎さんとは歳も近く、互いに映画好きということもあってか、途中映画の話で盛り上がりました。「ロッキー」や「エイリアン」、「アウトサイダー」などを話しましたが、懐かしかったです。


 でも、ボクの原点はやはり「ジョーズ」ですね! 最高の作品です。

データ

▼『蟲師 ~天降る里~』
■メーカー:マーベラスエンターテイメント
■対応機種:DS
■ジャンル:SLG
■発売日:発売中(2008年1月31日)
■価格:5,040円(税込)
 
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▼「蟲師 二十六譚 DVD Complete BOX」
■発売元:マーベラスエンターテイメント
■販売元:エイベックス・マーケティング
■発売日:2008年3月28日
■価格:29,400円(税込)
 
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