この「人生」はあまりにも壮大――超大作RPG『Fable II』先行プレイレポート

文：電撃オンライン

　マイクロソフトから12月18日に発売されるXbox 360用ソフト『Fable II』。この大作ファンタジーRPGの序盤部分を、いち早く体験プレイすることができたので、そのレポートをお届けしよう。

　『Fable II』は、過去に『ポピュラス』や『ダンジョンキーパー』など、数々の名作を生み出した個性派ゲームクリエイターのピーター・モリニュー氏が贈るファンタジーRPGだ。2005年に初代Xboxで発売された『Fable』の続編だが、『II』は前作から500年もの時間が経過しているという設定のため、予備知識などは特に必要なく、新鮮な気持ちでプレイを始められる。ちなみに、Xbox LIVEのマーケットプレースから、前作『Fable』をダウンロード購入することもできるので、興味のある人はそちらもチェックしてほしい。

▲前作の500年後という設定のため、舞台となる世界「アルビオン」の文明は、一般的なファンタジーRPGのイメージよりも、やや進歩したものになっている。18～19世紀ごろのヨーロッパを思わせる街並みや人々の生活の様子は、美しいグラフィックと相まってノスタルジックな魅力が感じられる。

■幼少期の行動が、数年後の世界に変化をもたらす

　『Fable II』の物語は、主人公（男女を選択可能）の幼少期から始まる。バウワーストーンの街の片隅で、主人公とその姉の2人は、貧しい暮らしを送っていた。そんなある日、商人の店で、願いを叶えてくれるという魔法のオルゴールを見つけた2人は、今の苦しい生活から抜け出すために、なんとかそのオルゴールを手に入れようとする……というところから、実際のプレイがスタート。

　最初のクエストでは、街の住人からの依頼を解決して、オルゴールを買うのに必要なゴールドを集めることになる。住人からの依頼の内容は、ラブレターを配達したり、風で飛ばされた犯罪者の逮捕令状を回収したりといった、比較的簡単なもの。本作では、主人公の足下から目的地を指し示すガイドラインが表示されるため（設定で非表示も選べる）、特に迷うこともなく、テンポよくプレイを進められる。だが実は、このクエストで主人公が行う選択が、その後の展開に大きな影響を与えることになる。

▲願いが叶うという魔法のオルゴールを買うために、幼年期の主人公は、街の住人の依頼を解決して報酬のゴールドを集めることになる。

　例えば、逮捕令状をすべて回収して番兵に届けようとすると、見るからに悪人ヅラをした男が「オレに令状を渡せばゴールドをやろう」と声を掛けてくる。番兵ではなくこの男に令状を渡すと、数年後に主人公がバウワーストーンの街を再び訪れた時、この地区が……。どうなるのかは実際にプレイして確かめてほしい。

　他にも、幼少期にはいくつかの選択が用意されており、ここでの決断が数年後の街とその住人に、大きな変化をもたらすことになる。このように、ほんの小さな選択1つで、主人公自身はもとより、舞台となる世界の様子まで劇的に変化するのが、『Fable II』の最大の特徴だ。

▲主人公が回収した逮捕令状を番兵に渡すと、数年後の街は左の画像のように、犯罪のない安全な場所へと発展していく。一方、怪しげな男に令状を渡すと、数年後の街は右の画像のようになる。左の画像とはかなり様子が異なるが……。

■頼れる愛犬ととともに、冒険の旅に出発

　途中で1匹の犬と仲よくなりつつ、主人公とその姉は何とか必要なゴールドを集めることができた。オルゴールを手に入れると、さっそく魔法の力が発揮されたのか、2人は街にある大きな城へと招待される。ところがこの城で、衝撃的な事件が発生！　主人公は姉を失い、自身も傷ついて街を去ることになる……。

　それから数年後、立派な青年へと成長した主人公は、今では親友となった犬とともに、冒険の旅へと出発する。いよいよここからが、本格的な冒険のスタートだ。ひとまずの目的地は、かつて暮らしていたバウワーストーンの街。フィールドは広大だが、ガイドラインが指し示す方向に向かって進んでいけば、あいかわらず道に迷う心配はない。

　と、ここで横にいた犬が、急に「ワンワン！」と吠えて駆け出した。後を追っていくと、草むらのかげに宝箱を発見。そこで犬の頭をなでて、ほめてやる。このように、犬には宝箱や地面に埋まったアイテムを探し出す能力があり、ほめたり叱ったりすることで、その能力を成長させることができる。

▲アイテムを発見したり、一緒に戦闘したりといった実用面もさることながら、常に主人公のそばを離れない愛犬の存在は、何とも心が癒されるもの。主人公と一緒に敵と戦い、傷ついて足を引きずる姿(もちろん治療可能)を見ると、その健気さに、思わず胸がキュン！　となってしまう。犬好きの人には、本作は絶対のオススメだ。

■善悪すべての選択が、主人公の未来を形作っていく

　愛犬とともに広大なフィールドを進み、地下に広がるダンジョンにも潜入して、強力な魔法のスペルを入手した。冒険の旅を続けて、バウワーストーンの街まであと少し、というところで、思わぬ情報が飛び込んできた。街へと通じる街道に、盗賊が出没しているというのだ。

　そこで盗賊のアジトへ向かうと、さっそく現れた盗賊一味と戦闘開始！　戦闘は、リアルタイムのアクションで展開される。剣などの近距離攻撃、弓矢などの遠距離攻撃、そしてスペルによる魔法攻撃が、それぞれ1つのボタンに割り振られており、これを押すだけで攻撃できる。ただし、シンプルな操作の一方で、ボタン連打で連続技を繰り出したり、ボタン長押しで魔法がパワーアップしたりといった「攻撃のバリエーション」もしっかりと用意されている。

　盗賊一味を撃退して、改めて周囲を見回すと、檻（おり）に捕らわれた男女を発見。話を聞くと、盗賊に捕まり、奴隷として売られそうになっているという。盗賊のアジトで檻の鍵を見つけ、2人を解放しようとしたところで、1人の男が現れた。その男は奴隷商人で「2人はすでに自分が買い取った」と主張する。そして「鍵を渡せばゴールドを払おう」と持ちかけてきた。

　幼少期と同様に、主人公の選択が要求されるシチュエーションだが、ここでは単純に鍵を渡す/渡さないといった選択以外に、さまざまな行動を取ることが可能だ。例えば、いったん奴隷商人に鍵を渡してゴールドを受け取ってから、相手を倒して鍵を奪い取る、といったこともできる。ちなみに筆者の場合は、奴隷商人を無視して鍵を開け、2人を解放したところ、怒った奴隷商人が攻撃してきたので返り討ちにして、まんまとゴールドをせしめることができた。

　ここで重要なのは、こうした選択のどれが正解なのか？　という問題ではなく、むしろすべてが正解だ、という点だ。善良に見える行動も、邪悪に見える行動も、どちらも主人公が下した決断であり、その行動の結果として、主人公自身が、そして主人公を取り巻く世界が、どんどんと変化していく。そうした変化を楽しむことこそが、『Fable II』の醍醐味なのである。

▲本作の戦闘は、ターゲットとして赤く輝く敵をボタン1つで攻撃できるというシンプルなもの。プレイを通じて入手できる「戦闘スタイル」や「スペル(魔法)」で多彩な攻撃が可能だ。そして戦闘後には、また新たな選択が主人公を待ち受けている……。

■夫婦生活から子育てまで、人間の「人生」を完全再現

　主人公が盗賊を倒して、街道の安全が確保されたため、バウワーストーンの街へ向かうことが可能に。街に到着すると、主人公は英雄として出迎えられる……。

　ということで、今回の体験プレイはここで終了。このプレイでは、巨大なスケールを持つ超大作RPGの、ほんの序盤を体験しただけなので、まだまだ実際には確認できなかった要素も多い。そこでここからは、体験プレイ後に見ることのできたゲーム後半の内容などもふまえて、『Fable II』のさらなる注目ポイントを紹介したい。

　これまで説明してきたように、『Fable II』では主人公が冒険中に無数の選択を繰り返すことで、それに応じた変化を遂げていく。能力はもちろん、外見も善良な行動を取ればより英雄らしく精悍（せいかん）になり、邪悪な行動を取ればいかにも悪人らしい、目つきの悪い人物へと変貌する。さらに極端な悪人を目指すと、もはや人間を超越してしまうのか、頭に角が生えた悪魔のような姿になってしまう。おもしろいのは、極端な善人を目指しても、頭の上に光の輪が浮かぶ、人間離れした姿になってしまうという点だ。やはり何事も、ほどほどが肝心なのだろうか。

▲主人公が極端な成長を遂げると身体が光り輝き、人間離れした姿へと変貌していく。

　また本作では、主人公が街の住人に対してアクションし、コミュニケーションを取ることができる。ただ単に話しかけるだけでなく、ダンスやおならといったユニークな行動も駆使して好感度をアップさせていき、好感度が高ければNPCにプロポーズして結婚することが可能だ。夫婦生活では定期的にベッドインが求められ（ベッドインを拒否すると相手の愛情が冷めて、離婚の危機が待っている）、その際に避妊をしないと、やがて子どもが生まれることになる。

　ちなみに同性同士でも結婚できるが、その場合はもちろん子どもは生まれない。生まれた子どもも主人公同様、その育て方によって、善良にも邪悪にも変化していくことになる。このように、夫婦生活や子育てといった家庭のやりくりも含めた、1人の人間の移り変わりゆく「人生」を描くことが『Fable II』の大きなテーマとなっているのだ。

　この他にも、不動産の購入やギャンブルなど、まだまだ多彩な要素が用意されている『Fable II』。本作の続報を、そして12月18日の発売日を、大いに楽しみにしてほしい。

▲ダンスを披露して人々のハートをゲット。相手の性格によって、同じアクションでも反応は異なる。		▲外の世界では英雄として活躍する主人公だが、自宅に戻れば今度は、親としての責任が待っている。

■スクリーンショット集

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▼『Fable II』

■メーカー：マイクロソフト

■対応機種：Xbox 360

■ジャンル：RPG

■発売日：2008年12月18日

■価格：7,140円(税込)

　

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