2009年1月23日(金)
川島:ダムなどへ取材に行くと、こもった低音で足下がすごい響いたりしているんです。我々がそういったところに行って感じた気持ちや感覚をそのまま伝えるには、環境音でもリアリティを追求して再現しないと、空気感まで伝わらないだろうなと思ってそうしました。
齋藤:環境音に関しては、リアリティを出すという方向性です。私の中では、川島さんがやりたいことは、『1999年の夏休み』という映画にあるような、基本、環境音が流れていて、登場人物のシーンになると印象的に曲が流れるというものだと思っているので。
川島:最初に、だいたいこんな音がするっていうリストがあって、ざっと音をあてていただきました。それから、「ダムの中の機械音をもっと大きくして」などのお願いをして、演出的に変えていく感じですね。
川島:いや、もっと前ですね。一応、みんなで思いついたものを書き出したメモみたいなものって覚えがあります。
川島:それはありました。実際に取材へ行ったら、足音とか、立ってる場所などによって響き方が全然違うので。そのあたりは指示させていただきました。
齋藤:私は担当ではないのですけれども、3Dなのでこの音は低音を響かせて、こっちに行くともっと広がりが出る、といったことを考えながら音を置いていました。トイレの個室にも環境音を入れたりして、かなり入念に作ってあります。
安井:逆に、包み込むような音の配置が困っていたみたいです。例えばダムの水音なんですけど。ダムの放水自体は、放水溝から鳴らせばいいんですが、放水が終わった後のかすかな水音。あれは水の溜まってる方にいくつか音源を置いて、かすかに音が鳴っています。
音源を3Dで音を流す時って、ある1点から音が鳴っていて、プレイヤーのマイクの位置で音の強弱を操作するんです。でも、下手な置き方すると、どこで音が鳴っているのかがプレイヤーにわかってしまうんですよ。水音が全体を覆うように鳴るとしたら、正しくやると、そういう音源をいっぱい置かないといけなくて。でも、そんなにたくさん置けないよと。それでちょっと音配置のツールの作成も頼まれて、ここに置いたらギリギリ配置が大丈夫かな、という試行錯誤をしていました。
齋藤:あとカメラの向きなんかで、勢いよく鳴ったり、音が散ったりするのを、きちんとした具合に音が鳴るようにも調整をしましたね。
原田:ほとんどのイベントに関しては、マップがある程度できてから、どこに置こうかという話が始まりました。場所が決まったら、クオリティアップをデモシーンに準じて行っていく感じで。カメラを付ける人が実際にマップの中を歩いて、どこがカッコいいかを探して、それでキャラクターの配置を決めたりもします。
安井:マップの直しで本当に大変な時は、マップモデル自体を2種類作ってしまって、探索で歩く用と、イベント用に分けて対応しました。イベントが起きた時だけ、一方のマップに飛ばすというのは結構やっています。
原田:ホテルであれば、光が差し込む美しい場所を選んである程度決めたら、あとは作り込んでいただいて戻してもらって、というやりとりをしていきました。本当に一緒に作っていく感じで、マップの方の感性にすごく恵まれましたね。
川島:今回よかったのは、僕は他の会社の方と作るのは初めてなんですけど、内製開発っぽいやり方のままやらせていただいたのが、すごくよかったです。
原田:そうですね。最後までできる限りクオリティアップをしたり、物を増やしたりということを続けていました。
安井:知らない間に全然違うものになってビックリというのは結構ありますね。先ほどの話にあった倉庫も、最初はただ箱がざっと並んでいるだけのわりと殺風景なマップだったんですよ。それで箱の壊れるギミックとか、その状態で試していたのですが。バグ修正などで、もう1回終盤で訪れたら、全然違うマップになっていて(笑)。
最後の方で研究所に修正がたくさん入った時も、中村さんから「安井くん、ごめん。ちょっとテクスチャ増えるんだけどいい?」って(笑)。最後の方になってくると、どこにどのくらいの敵が出て、どのくらいメモリが空いて、というのもわかってくるので、その許す限りずっと修正していましたね。
開発スタッフの廃墟への徹底した作り込みと想いを伝えた中編。ラストの後編では、戦闘について伺った他、キャラクターのシーン、エピソードについても再び聞いていく。
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