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2009年3月5日(木)

全方位にスキのないソフトが完成! 『バイオ5』竹内プロデューサーが心境を語る

文:電撃オンライン

 カプコンから本日3月5日に発売されたPS3/Xbox 360用A・AVG『バイオハザード 5』。このソフトを手がけた竹内潤プロデューサーにインタビューを行った。

 『バイオハザード 5』は、同社の人気アクションAVG『バイオハザード』シリーズ最新作。『バイオハザード 4』後のストーリーが描かれ、プレイヤーは各地で起こるバイオテロに挑むことになる。

 インタビューでは開発に至った経緯や本作のコンセプト、システムのカギとCo-op(協力)モードなどについて聞いている。もうすでにソフトを手に入れている人も、まだ購入していないという人も、ぜひチェックしてほしい。

インタビューを行った竹内プロデューサー。本作以外にも『ロスト プラネット』シリーズや『鬼武者3』のプロデューサーを務めた。

――発売を迎えた現在の心境を教えてください。

 前作『バイオハザード 4』がワールドワイドで高い評価をいただいていました。その続編である『バイオハザード 5』の開発ということで、開発スタッフ一同ものすごいプレッシャーの中で制作してきました。ようやくそのプレッシャーから開放されたという気持ちですね。開放されたというと誤解を与えるかもしれませんが、自信のあるタイトルなので、素直に発売されるのを楽しみにしています。

――『バイオハザード 4』から『バイオハザード 5』を開発するに至った経緯・動機は?

 前作の開発途中から『バイオハザード 5』の構想は動き始めていたんですよ。「次回のストーリーはクリスにしよう」程度にですが。その後、『バイオハザード 4』ではずれていたストーリーをシリーズの流れに戻した上で、今回は「起承転結の転に当たる作品にしよう!」という意気込みで開発が動き始めました。

――ずばり、『バイオハザード 5』のコンセプトはなんでしょうか?

 CGが苦手としている明るい描写とそれが生み出す影に挑戦しています。光と闇を使い、アフリカという世界が生み出すホラーを表現するというのが1つ目のコンセプトです。2つ目は、Co-opプレイの“絆”ですね。これらのコンセプトは、ストーリー面でもグラフィック面でも、いろいろなところに散りばめられているので、ぜひ感じてほしいですね。

――PS3とXbox 360という高スペックマシンでの開発でしたが、苦労した点などは?

 本作はマルチプラットフォームということで、最初にPCベースで開発して、それから両ハードに落としていくという形式をとっています。弊社のゲーム開発エンジン・MTフレームワークを使ったことにより、想像していたよりも簡単に両ハード対応ができました。しかし、どちらのハードにも対応しているが、クオリティが落ちてしまっては意味がない。美麗なグラフィックを保ったままで、PS3とXbox 360両方に対応させることには苦労しましたね。その甲斐もあって、最高峰のグラフィックが完成しました。

――PS3とXbox 360で違いはありますか?

 チップが違いますね……ああ、そういう話ではない!? 実はこのチップが違うというのは重要なポイントで、出力の違いが出てきてしまうんです。なので、比べて見ると若干色味が異なるところはあります。また処理上の都合で若干違うところもありますが、どちらが上ということはありません。とにかく苦労しました!(苦笑)

――本作のキモであるCo-opプレイ。これを導入したきっかけを教えてください。

 開発当初から「次世代機ならではの要素で、『バイオハザード 4』を超える何かを入れる」ということを掲げていました。その結論として、2人で遊ぶ要素を入れようと。どちらかがやられてしまうとゲームオーバーになってしまうので、やや厳しく感じてしまうかもしれませんが、これによって協力という要素がより色濃く出ているかと。……しかし、実際にプレイしてもらうとわかるんですが、無理やり協力を強いるシーンは少ないんです。作り手のほうであまりプレイを制約したくなかったので、遊び場としてのゲームを提供しています。高い自由度によって、新しい遊び、楽しみ方を生み出すのでは? と期待しています。

――Co-opプレイを何度も行うような要素は入っているのでしょうか?

 今回、実績解除など細かいところまで用意しています。そのあたりを抑えにいってもらうのもアリですし、ゲーム中に収集アイテムも存在します。あと武器は、1回のプレイですべてをフル改造にするのを無理な仕様にしてあります。それは繰り返しプレイしてもらうことを前提としているからです。難易度を上げていくと、協力をしないとクリアできないような調整にしているので、繰り返し楽しんでもらえると思っています。

――Co-opプレイに入れたかったけど削ったという要素はありますか?

 最初は、2人によるコンビネーション技を入れようと考えていたんですよ。あとは、2人でフォーメーションを組むとかですね。でも、やってみるとどれもうまくいかなかったんですね。やはり遊び方が固定されてしまうので、よくないのでは? と思うようになりまして。そういった経緯を含め、自由度の高い現在の形に落ち着きました。

発売を迎えた『バイオハザード 5』について話す竹内プロデューサー。構想を含めると開発期間は4年にわたり、社内でかかわった人数は最大で120人にも達したとか。

――日本と海外で発売するにあたって、工夫した点はありますか?

 『ロスト プラネット コロニーズ』の開発にかかわっている時は、海外にアピールするために、意識して作っていました。しかし、『バイオハザード』シリーズは海外でもすでに人気がある。海外ばかり意識してしまうと、シリーズの本質からずれてしまうので、逆に海外を極端に意識しないように心掛けました。ただ、ボイスの部分がしっかり合っていないとプレイヤーが冷めてしまうので、スワヒリ語はネイティブの人にお願いしています。他にも、シェバの英語はスワヒリ語なまりにするなど、細かなポイントには注意を払っています。

――プロデューサーとして、『バイオハザード』らしさとはどこにあると考えていますか?

 ユーザーに、楽しさと同時にストレスを提供することだと思っています。『バイオハザード』は、そのバランスがうまくとれていないとおもしろくないんです。ストレス部分をあえて削らず、プレイヤーにストレスを楽しんでもらうことを心がけて作りました。

――シリーズファンと新規ユーザーの違いなどは意識しましたか?

 両方のユーザーを満足させるためにも、Co-opプレイはいいほうに影響すると思っています。熟練プレイヤーは初心者をけん引してくれ、それによってゲームが持つおもしろさを伝えてくれる。他にも難易度を細かく設定するなどもして、初心者へのフォローをしています。逆に難易度を高くするほど、うまく協力する必要があるので、ベテランプレイヤーも歯ごたえを感じるものに仕上がっているかと。

――何か、まだ公開していない要素があれば教えてください。

 クリア後には、ユーザーからも要望の多かった“ザ・マーセナリーズ”が隠しモードとして登場します。加えて発売日から、ザ・マーセナリーズを2人協力プレイでできるようになるダウンロードコンテンツを、無料で配布します。これによって、今まで以上に遊び込める要素が多くなると思います。ダウンロードコンテンツは他にもあるんですが、発売日ということで今はここまでにします。衣裳とかだけではさみしいので、何か楽しんでもらえるものを考えています。楽しみにしていてください。

――前作ではさまざまな武器が登場し、ユーザーの好みで選択できましたが、今回はどれくらいの銃器が登場するのでしょうか?

 銃の種類は前作以上に出てきます。数十種類用意していますね。同じ系統の武器でも、かなり細かい違いが出てくる武器が存在します。マーセナリーズのみのもありますよ。個人的には、ある隠しっぽい銃が気に入っています。デザインは数年前からあがっていて有名なものなので、ユーザーの反応を見るのが楽しみです。

――これまでシリーズを遊んでこなかった初心者プレイヤーに、アドバイスがあればお願いします。

 シリーズの伝統でもあるんですが、いっぱい死んでください!(笑) ゲームオーバーにデメリットはありません。敵との距離感をつかめるようになると、上達が早いかもしれません。

――ゴア表現(流血や残虐な表現)で苦労した点はありますか?

 開発当初から、首が切れたり、体がバラバラになるのは止めることが決まっていました。怖い描写と残酷な描写は若干違うと思うんですね。プレイヤーがやられても、足がパタっと倒れて、やられた部分は見えない手法を取っています。オープニングのシーンでもそうですが、武器を振り下ろした瞬間にカメラを振って、キャラクターの表情で見せるようにする。このやり方だとユーザーの想像力によって、より怖い方向にイメージが向かうので、その方がいいと個人的に思っています。

――開発中のおもしろいエピソードなどあればお願いします。

 おもしろいエピソードですか(笑)。クリスのパートナーのシェバのグラフィックをかわいくするのには苦労しましたね。一時期はデザイナーも迷走してしまい、某女性芸人に似たこともありました(笑)。最終的には、目力のあるキャラクターとなり、魅力的になったと自負しているんですが、ある時期は「竹内は女にうるさいのでは!?」と言われるくらいに、厳しくチェックしていました。

――なるほど。では最後に、ユーザーの方々にメッセージをお願いします。

 シリーズを遊んでいる人は、クリスとウェスカーという、初代『バイオハザード』からの因縁が何らかの結末を迎えるようなストーリーを楽しんでください。また新たにプレイする人には、絆という重いテーマを堪能していただけれると思います。アクションが苦手ならば難易度を下げてストーリーを追うだけでも楽しいですし、オンラインにつなげなくても画面2分割による協力プレイが可能です。もちろん、シングルでも楽しめます。全方位、スキのなし『バイオハザード 5』になっていると思います。次世代機のゲームを、ぜひ本作で体験してみてください。

 竹内氏がインタビュー中でも語っていた、本編クリア後に登場する隠し要素を公開する。

 “ザ・マーセナリーズ”は、さまざまなキャラクターを操作し、迫り来る敵を倒して得点を競うスコアアタックモード。1人でプレイする“SOLO”と、分割画面を使い2人でプレイする“SPLIT SCREEN”が楽しめる。また本日3月5日より、ダウンロードコンテンツとして、インターネットを介して2人でザ・マーセナリーズをプレイできる“DUOモード”が配信されている。ぜひ入手しておこう。

特定のキャラクターを使い、スコアアタックを狙うザ・マーセナリーズが『バイオハザード 5』にも登場! クリスやシェバ以外にも選択できるキャラクターはいるようなので、見つけ出してみよう。
配信データ“DUOモード”を入手すれば、インターネットを介してザ・マーセナリーズを2人でプレイできるようになる。

(C)CAPCOM CO., LTD. 2009 ALL RIGHTS RESERVED.

データ

▼『バイオハザード 5』
■メーカー:カプコン
■対応機種:PS3/Xbox 360
■ジャンル:A・AVG
■発売日:2009年3月5日
■価格:8,800円(税込)
 
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▼『バイオハザード 5 Deluxe Edition』
■メーカー:カプコン
■対応機種:Xbox 360
■ジャンル:A・AVG
■発売日:2009年3月5日
■価格:8,800円(税込)
※数量限定仕様、サントラCD“セレクショントラック”同梱
 
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▼『バイオハザード 5 LIMITED EDITION』
■メーカー:カプコン
■対応機種:PS3/Xbox 360
■ジャンル:A・AVG
■発売日:2009年3月5日
■価格:12,800円(税込)
※“e-CAPCOM”限定発売
▼『PLAYSTATION3 バイオハザード5 プレミアム リミテッド BOX』
■メーカー:カプコン
■発売日:2009年3月5日
■価格:48,980円(税込)
▼『Xbox 360 バイオハザード5 プレミアムパック』
■メーカー:カプコン、マイクロソフト
■発売日:2009年3月5日
■価格:34,800円(税込)

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