2009年3月25日(水)
エレクトロニック・アーツは、3月24日に配信したWiiウェア『ハチワンダイバーWii』と、3月26日に発売するDS『ハチワンダイバーDS』の発売記念イベントを、東京・秋葉原にあるメイドカフェ・ぽぽぷれで行った。
『ハチワンダイバーWii』と『ハチワンダイバーDS』は、『週刊ヤングジャンプ』(集英社刊)で連載されている将棋バトルマンガ『ハチワンダイバー』を題材にした、エンターテインメント将棋アドベンチャーゲーム。メインとなるストーリーモードでは、主人公の菅田健太郎を操作して、原作と同様に個性あふれる真剣師たちと将棋で戦うことができる。勝利することで“アキバの受け師”こと中静そよの好感度がアップし、これによりエンディングが変化する。
イベントでまず最初に登場したのは、シルバースタージャパンの代表取締役社長・山本成辰氏。シルバースタージャパンは、ゲームソフトの開発を担当しており、将棋ソフトに関しては10年の開発実績を誇っているという。さらに山本社長は、自身も『ハチワンダイバー』の大ファンであることを明かした。ソフトについては、「原作同様に将棋がわからない人でも楽しめ、将棋をわかっている人ならさらに楽しめるソフトになっています」と説明。しっかりと遊べる将棋ソフトになっていることをアピールしていた。
次いで、シルバースタージャパンの棚橋雅憲プロデューサーが登壇。ゲームのコンセプトが、将棋を知らない『ハチワンダイバー』ファンも楽しめる将棋ゲームになっていることを改めて説明した。本作には、将棋初心者でも楽しめる要素が、3つあるという。
1つ目は難易度設定。本作はハード、ノーマル、イージーという3段階の難易度が用意されており、ハードは他の将棋ゲームに負けない強さを誇るが、逆にイージーは将棋ゲーム史上最弱だとか。ここで棚橋プロデューサーは、「自然な弱さにこだわっており、ルールを覚えたばかりの初心者でも楽しく遊べます」とその弱さに太鼓判(?)を押した。
2つ目は“イージーガイド”の存在。これは、次に打つ手をコンピュータが導いてくれるというもの。しかし、ただ導いてくれるのではなく、良手と悪手の2つが提示されるので、その中から正しいほうを選択することになる。これによって、駒の動かし方さえ覚えれば将棋を指すことができる。
そして3つ目は起死回生を狙える“ダイブ”だ。原作マンガでも印象深いダイブを使うことで、菅田が最善の差し手を示す。しかし、ダイブには使用制限とリスクがあるので、使いどころが重要となる。
ソフトについて説明したシルバースタージャパンの山本代表取締役社長(写真左)と、棚橋プロデューサー(写真右)。 |
ストーリーは、プレイによって変化するという。プレイ中の選択肢や勝敗などの結果によって、原作とは異なる展開も!? 対局は原作と同じ盤面の状態からスタートするが、その後どう指すかはプレイヤーなりに楽しめるようだ。 |
他にも、マンガと同じ戦法を使うキャラクターと対局できるVS対局や、メイド“みるく”となった中静そよが将棋のルールを基礎から説明する将棋教室も搭載されている。 |
『ハチワンダイバーDS』では、上記の他にも2P対局や二こ神が出題する詰将棋をプレイする修行や、原作の対局の棋譜が確認できる名局鑑賞、作中に登場するなるぞうくんとハチワンくんが闘う“なるぞうくん はさみ将棋”が楽しめる。『ハチワンダイバーWii』は、これらのモードは未収録だが、思考時間が1/10以下とかなり短いとのことだ。 |
ここでスペシャルゲストとして『ハチワンダイバー』の原作者である柴田ヨクサルさん、原作監修を務める鈴木大介八段、『ハチワンダイバー』の大ファンであるという藤田綾女流初段が登場した。
左から、柴田さん、鈴木八段、藤田初段、棚橋プロデューサー。ちなみに藤田初段は、秋葉原メイド掃除クラブに所属しているみるくちゃんをイメージしたメイド姿で登場した。 |
柴田さんは『ハチワンダイバー』を描く以前、小学校のころにプロ棋士を目指したほど将棋ファンだとか。しかし挫折してしまったため、マンガ家を目指したという。マンガ家になり、将棋を題材にした作品を描こうとしたが、将棋を知らない人も楽しめるものを描く自信がなかったと語る柴田さんは、「10年以上マンガを描き続け、温めていた熱意が実って、ようやくこの作品ができた」と、『ハチワンダイバー』制作秘話を披露した。
続いて鈴木八段の口から、原作マンガを監修することになった経緯が説明された。知り合いから柴田さんを紹介してもらった鈴木八段だったが、やはり最初は戸惑うこともあったのだとか。鈴木八段は、作中に登場する棋譜を考えているが、キャラクターの棋風に合わせた打ち筋を生み出すのは、相当苦労しているとのこと。ちなみに一番苦労したのは、二こ神 対 菅田の1戦だという。
作品のファンだという藤田初段は、「(『ハチワンダイバー』は)内容が濃くて、将棋を知らない人でも楽しめます。私の友だちでも、将棋を知らないけど読んでいる人がたくさんいます」と作品の人気を語った。その後、メイド姿であることについて聞かれた藤田初段は、「……ちょっと恥ずかしいです」と照れながらコメントしていたた。
柴田さんは、ゲームをプレイした感想を「マンガではテンポをとにかく大事にしているのですが、ゲームもテンポが非常によくて、引きこまれてしまうのでは? と思っています」とコメント。藤田初段は、「原作に忠実で、マンガを読んでいるようなおもしろさを味わえました。あとは、なんといってもダイブシステムがいいです」と笑顔で語った。 |
お子さんが実際にプレイしてみたという鈴木八段は、「駒の動かし方くらいしか知らない子どもが、イージーモードで簡単に勝ち進んでおり、「将棋ってこんなに簡単なんだ」って話していました(笑)。こんなに易しくできている将棋ソフトはないんじゃないでしょうか?」と笑いを交えつつ語っていた。 |
ここでスペシャル企画として、アマチュア5段の実力を持つ柴田さんと、現役女流棋士である藤田初段がハンデなしの10分切れ負けルールで対局を行うことに。序盤から、ワザと歩を取らせて他の駒を動かすという戦法を有効に活用した柴田さんが、序盤を有利に進める。解説を担当していた鈴木八段も、「柴田さんはすごいうまく指しています。信じられません」というほど、有利な展開に。しかし、鈴木八段によれば、プロとアマで差が出るのは中盤以降。実際に藤田初段の歩がと金に成ったあたりで盛り返し始める。ところが、柴田さんが積極的に仕掛け、あまりの苦しさに藤田初段が苦笑いする場面も。
解説の鈴木八段が「見事な指し方ですね」とほめるほど、見事な腕前を披露した柴田さん。ちなみにモニター上では、柴田さんが上、藤田初段が下。 |
受け師として柴田さんの攻めを受けていた藤田初段であったが、王手の連続で反撃を行う。これまでの差を詰めようとさまざまな手を駆使するが、それを予期していたのか、柴田さんは見事にかわす。相手の攻めを防ぎきった柴田さんは、入手した銀をうまく打ち、藤田初段に攻め返す。「大チャンスです!」と鈴木八段も興奮して見守る中、飛車を取られこそしたが、見事に金を打ち、柴田さんが勝利を収めた。
103手で詰みとなった発売記念対局。柴田さんの実力がわからず、序盤やや様子を見ていた藤田初段が敗北した。 |
対局を終えた2人と、解説を行った鈴木八段。「藤田くんはメイド服を着ているからか、強烈な攻めが出なかったのかな?」とコメントし、会場を笑わせた。 |
対戦を終えた柴田さんは言葉にならないほどの興奮ぷり。一方の藤田初段は、「急所急所に的確に指してきて、困る手ばかりでした。どうにかごまかそうとしたが、無理でした(苦笑)」とコメントしていた。鈴木八段は「実際の盤駒を使うよりもスムーズでしたね。これから柴田さんと打ち合わせする時は、盤面を持ってくるのではなく、DSを持ってくることになるかもしれませんね」と語り、イベントを締めくくった。
イベントに登場した、柴田さんと藤田初段、鈴木八段。エンターテインメント将棋アドベンチャー『ハチワンダイバーDS』は明日3月26日に店頭に並ぶことになる。これまで将棋を指したことがないという『ハチワンダイバー』ファンは、このソフトを入り口に将棋をプレイしてみては? |
(C)SilverStarJapan
(C)柴田ヨクサル/集英社