2009年6月2日(火)
「この場面、自分が監督ならこんな指示を出す!」 プロ野球中継を見ているとき、そう思うことはないだろうか? 『お茶の間プロ野球DS』は、そんなプロ野球ファンの願いをかなえてくれる本格SLG。その素晴らしさのとりこになったアスキー・メディアワークス(以下、AMW)きっての野球狂たちが、トーナメントで大激突! No.1の座を勝ち取るのはいったい誰だ!?
■空気を読まず会議室の中心で野球愛を叫ぶ
5月某日。西新宿のはずれにあるAMW社内では、新入社員の面接試験が行われていた。この不況のさなか、就職できるかが決まる重大な面接を前に、緊張の色を隠せない応募者たち。だが、そんな彼らが待機している控え室のすぐ横は、緊張とはほど遠い歓声と怒号に包まれていた。そこにいたのは、AMWでも名の知れた6人の野球狂たち。そう、彼らは場違いにも面接控え室の隣にある会議室で、『お茶の間プロ野球DS』に興じていたのだった!
▲応募者たちのことなどまるで考慮せず、プレイに一喜一憂するフリーダムな野球狂たち。当日は申し訳ありませんでした。でも、それくらい楽しかったんですよ、ホントに! |
『お茶の間プロ野球DS』は、攻撃時はミート打ちやバント、盗塁などを指示、守備時なら球種やコースを指示して試合に挑む本格野球SLG。普段から自分の采配こそ最高と信じて疑わない野球狂たちは、たちまちその魅力のとりことなった。だが……。
「純血打線こそ究極にして至高!」
「せっかくだから、私は東北の球団を選ぶぜ!」
「大阪の底力を見せつけたる!」
「生え抜きだけでも戦力は十分!」
「これがまったく新しいブルーサンダー打線だ!」
「昨年日本一の実力は伊達じゃない!」
このように、それぞれひいきのチームが違えば、采配もまるで違う野球狂たち。そんな自己主張の強い6人が集まったのなら、No.1の座をめぐる戦いが始まるのは当然、いや必然だった。話し合いの結果、勝負は一発勝負のトーナメント戦。イニングはあえて3回(延長戦はあり)に設定し、短期決戦での采配のウマさを競うことになった!
▲組み合わせは、とりあえずジャンケンで決定。参加人数が6人のため、1回戦は3試合行われ、2回戦は第1・第2試合の勝者同士で対決。その勝者と1回戦第3試合(シード)の勝者で決勝を行う。 |
■森西武vs阿南広島の代理戦争が勃発!
1回戦第1試合は、電撃オンライン副編集長“YK3”の埼玉西武ライオンズ(先攻)と、“カープ山添”の広島東洋カープ(後攻)が激突。埼玉生まれの西武ファンであるYK3は、80~90年代のペナントレースを席巻した森西武の野球を踏襲。攻撃時は足や犠打を絡めてクリーンナップで得点を狙い、守備時はベテランを中心とした鉄壁の守備で失点を最小限に抑えるという、堅実な野球を目指す。対するカープ山添は、王貞治選手の本塁打世界記録達成の場面を生で目撃したという、筋金入りの野球狂。広島ファン歴も20年以上で、なかでも阿南監督時代に成立した、日本人選手のみの“純血打線”にロマンを感じるという。今大会でもそれを意識して、遊撃手にシーボルの代わりに石井琢朗を起用するなど、日本人選手のみのスタメンを編成してきた。
そんな両者の戦いは、西武が涌井、広島が大竹の両先発でスタート。1回表、涌井はテンポのいい投球で1番東出、2番赤松をあっさり打ち取る。このまま好調な滑り出しとなるかと思いきや、3番梵にまさかのデッドボール。「うちの梵になんてことするんじゃー!」と怒り狂うカープ山添。「ま、野球は何が起こるかわからないし……」と冷静に対処するYK3だったが、ゲーム中の涌井はカープ山添の迫力に動揺したのか、続く4番栗原のときにワイルドピッチで梵をセカンドに送ってしまう。このチャンスに「ここは大事にいくか……」などと口では言いながら、カープ山添は積極的にエンドランを指示。栗原の打球はセンター前にポトリと落ち、待望の先制点をあげる。なんとか同点に追いつきたいYK3だったが、頼みの西武打線は150Km/hを超える大竹の剛速球に押され、凡退を繰り返すばかり。一方、広島打線も2回以降は涌井の前に沈黙。
▲大切な選手にデッドボールを当てられ、思わず立ち上がるカープ山添。しかし、YK3も簡単には動じない。 |
そして迎えた最終回、カープ山添は「ここはコイツしかないでしょ」と、リリーフエースの永川を満を持して投入する。だが、それを後ろから見ていた参加者の1人“G.G.”が「あれ? 永川、ブルペンに入れてないんですか?」と指摘。そう、本作のリリーフ投手は、起用前にブルペンに入れておくと一時的にコントロールがよくなるのだ。「……そうなの?」 初めて知った事実に驚きを隠せないカープ山添。彼の動揺が影響を与えたのか四球を連発し、2アウトは取ったもののランナー1、2塁のピンチを招いてしまう。ここでYK3が「代打、江藤!」と宣言すると、カープ山添の表情が曇る。なぜなら江藤は、元は広島の4番だった強打者。生え抜き戦力の放出というトラウマが、カープ山添を襲ったのだった。だが、そこは20年来のカープファン。「そんなトラウマ、1回や2回ではない(血涙)!」と開き直り、内角を大胆に攻める強気のピッチングで江藤を攻める。その勢いのまま江藤を平凡な内野ゴロに打ち取り、カープ山添がYK3を破って2回戦進出を決めた!
▲梵のデッドボールに思わず立ち上がるカープ山添(笑)。YK3は終始冷静に指示を出していたが、得点チャンスを生かせず涙を飲んだ。 |
■今こそ雌雄を決するとき! 関西勢同士のシーソーゲーム!!
1回戦第2試合は、電撃DS&Wii副編集長“G.G.”のオリックス・バファローズ(先攻)と、ナカコウジの阪神タイガース(後攻)という、関西球団同士の対決に。G.G.は、西本監督時代からの阪急ブレーブスファンで、度重なる球団の身売り&合併にもめげず、その系譜を継ぐオリックスを応援し続けている。選手が本気でぶつかり合う真剣勝負を何よりも好み、実力のある選手は日本人・外国人問わず重用していく。対するナカコウジは、関西生まれの関西育ちという生粋の阪神ファン。勝利こそが最優先事項というスタンスで、そのためにはどんな戦法も用い、戦力のすべてを投入する覚悟だという。そんな両極端な2人の対決は、G.G.が1番ローズ、2番カブレラ、3番フェルナンデスという超重量打線を組んだかと思えば、ナカコウジが守護神・藤川を先発に投入するという、スタメン発表の段階からサプライズだらけのものとなった。
▲実力重視のG.G.と、ノリとはいえ、何が何でも勝つことを狙ったスタメンのナカコウジ。これが後々あんなことになろうとは。 |
注目の試合は、1回表に先頭打者のローズがいきなりのツーベース。これに3番フェルナンデスが続き、オリックスが先制点をあげる。「打てる打者から並べて得点をあげる。これぞ仰木マジックですよ!」と勝ち誇るG.G.。「藤川が打たれるとは……なんでやねん」と、出鼻をくじかれたナカコウジだったが、藤川→ウィリアムス→久保田というJFKの継投でオリックス打線を抑え、反撃のチャンスをうかがう。だが肝心の打線は、オリックス先発・金子の前に抑えられたままだった。そんな中、3回表に久保田がつかまり2アウト2塁のピンチに。ここでG.G.は「ここで一気にたたみかける!」とばかりに代打ラロッカを送ると、ナカコウジは「ピッチャー下柳!」と先発の一角であるベテランを起用。「うわぁ……本物の阪神の起用法みたい」と、後ろから見ていたカープ山添も絶句する。「戦力は惜しまず投入しますよ!」と勢いよく答えたナカコウジに指名された下柳は、彼の期待どおりにオリックス打線を抑え、G.G.に追加点を許さない。そして迎えた3回裏、G.G.は外国人勢を交代させて守備を固め、投手も守護神の加藤大に交代、逃げ切り態勢に入る。対するナカコウジは、「その油断が命取りですわ!」と、1アウトから矢野がヒットで出塁すると、すかさず代走の藤本に走らせ、みごとに盗塁成功! さらに攻めるナカコウジが代打の切り札である檜山を出すと、G.G.も黙ってはいられない。「ここは左対左で……ピッチャー吉野!」と投手交代で対抗する。ここで勝ちへの執念を燃やすナカコウジが取った対応は「代打、今岡!」 「!!??(全員)」という、右の代打の起用だった。なんという勝利への執念ッ……!! これが選手たちにも伝わったのか、今岡が凡打に終わった後、続く赤星、関本の連打でついに阪神が同点に追いつく!
▲湯水のごとく控え選手を投入するナカコウジだが、意外とG.G.への効果的なプレッシャーになっている!? |
こうして第2戦は大会初の延長戦に突入した。状況を見るに、オリックスは守備固めで打線が弱体化し、G.G.が圧倒的に不利かと思われた。しかし、勝利の女神は気まぐれなもの。4回表、1アウト2塁でリリーフの江草からオリックスの大村がレフトへ大飛球を放つ。「おぉ!? これはもしや……」とざわめくG.G.。その期待どおりに、打球はレフトスタンドへ飛び込むまさかまさかの勝ち越しツーランホームランに! 「……え、何この展開?」と、この失点でナカコウジは一気にテンションダウン。そんな彼に反撃の気力は残っておらず、そのままG.G.が2回戦進出を決めた!!
▲マイタッチペンを持参して試合に臨んだG.G.。彼も大村の勝ち越しホームランは予想外だった様子だが、勝ちは勝ち。一球に泣いたナカコウジは「江草、明日のスポーツ新聞でめっちゃ叩かれるわ~」、「金本と新井、見逃し三振とかないわ~」と、1人ゲームということをすっかり忘れてグチっていた。 |
■エース対エース! 白熱の投手戦を制するのはどっちだ!?
勝てばそのまま決勝進出という1回戦第3試合は、ライター“アツゴロウ”の読売ジャイアンツ(先攻)と、オッシー押野の東北楽天ゴールデンイーグルス(後攻)という組み合わせに。アツゴロウは、埼玉西武ライオンズの本拠地・所沢近辺の出身にも関わらず、小学生のときは巨人帽をかぶって登校しては西武ファンの友人と乱闘騒ぎを起こしていたというほどの巨人ファン。そんな彼でも、他球団のスター選手の引き抜きについては「これは正直、ないな」とヘキエキしており、今回は高橋由や坂本といった巨人生え抜きの選手中心のスタメンで試合に臨む。対するオッシー押野は、野球のゲームや漫画をこよなく愛する東北出身の営業マン。東北地方待望の新球団である楽天と野村監督を崇拝しており、「野村采配にすべてをたくします!」と、試合ではあえてそのままのスタメンで勝利を目指す。
この両者による試合は、巨人が内海、楽天が岩隈の先発でスタートし、序盤から投手戦が展開。岩隈は、先頭打者の坂本に出会い頭のヒットを打たれたものの、それ以降は得意のスライダーや150km/hを超える剛速球が冴えわたり、3回までを1安打に抑える。「うは、岩隈は正直ムリ」と、アツゴロウの口からも弱気な発言が出る始末だ。対する内海もランナーは出すものの、要所要所を抑えるピッチングで、楽天に得点を許さない。「いい球投げるじゃないですか。本物は今年不調なのに!」と、アンチ巨人の一面を見せつつ皮肉を言うオッシー押野だったが、実際は内海の制球力に舌を巻いていた。だが3回になると、そんな両投手の投げ合いの均衡が徐々に崩れ始める。抜群のスタミナを誇る岩隈に対し、少々スタミナ不足の感がある内海は、突如制球を乱したのだ。結局内海は、ランナーを2人出したところでリリーフの山口に交代。後続は山口が抑えたものの、エース対決は岩隈に軍配が上がったようだ。岩隈の勢いは延長突入後も衰えず、巨人打線は4回5回と完全に沈黙。「岩隈、マジぱねぇ……」とは、アツゴロウの言葉か、それとも野球狂たち全員の共通認識だろうか。アツゴロウも鈴木のセーフティバントなど、いろいろ小技を指示するが、突け入るスキはまったく見当たらなかった。
▲どうしても打ち崩せない岩隈に、アツゴロウはお手上げ状態。そんなアツゴロウを横目に、オッシー押野は余裕の表情、というか、若干むかつく笑みをこぼす。 |
岩隈が投げる限り失点の心配がほとんどないオッシー押野は、あくまで野村監督采配と選手を信頼。「すべてを選手にゆだねます」と、特に指示は出さないままで、山口や越智といった巨人のリリーフ陣を徐々に窮地に追い込んでいく。このピンチを脱出するのに、クルーンやM.中村などの強力なリリーフ投手を投入したいところだが、「生え抜きだけで! 生え抜きだけで勝負したい!」とこだわるアツゴロウはそれを行えずにいた。このこだわりが完全に裏目に出て、延長の5回裏にヒットで出塁した高須が盗塁で2塁に。続く中島がライト前にはじき返し、楽天があっさりとサヨナラ勝ち。「野村采配はやっぱ最高!!」と高らかに宣言するオッシー押野が決勝進出を決めた!
▲勝利の喜びを爆発させるオッシー押野。野村采配を信じると言えば聞こえはいいが、別段何もせずに見ているだけで勝利を飾ったのはご愛嬌。見ているだけでも楽しめるのも、本作の魅力の1つだということを証明してくれた形だ。 |
こうして1回戦が終了し、残る参加者はカープ山添、G.G.、オッシー押野の3人に絞られた。東北、関西、中国地方と、見事に本拠地が分かれた3チームのなかでNo.1の座を勝ち取るのはいったい!? と、いうところで次回のレポートへ続く。乞うご期待!
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