2009年5月26日(火)
マーベラスエンターテイメントから6月4日に発売されるPSP用ソフト『西村京太郎トラベルミステリー 悪逆の季節 東京~南紀白浜連続殺人事件』の発売記念カンファレンスが、神奈川県・湯河原にある西村京太郎記念館で開催された。
湯河原にある西村京太郎記念館の1F・喫茶にしむらで行われた発売記念カンファレンス。入り口では殺人事件が起きたようで、なまなましい(?)跡が見られた。 |
2Fにある展示室には、これまで出版された400点近い作品が発行順に並べられている他、トラベルミステリーの第一人者である西村京太郎さんならではの鉄道ジオラマが展示されている。これは西村さんのアイデアで、子どもたちからも好評だという。 |
同社のチーフクリエイティブオフィサーの和田康宏さんは、「普通の発表会はビルのホールで行われますが、今回は(登壇者と記者の)距離がとても近いイベントです」と話し始めた。今回の発表会を西村京太郎記念館で行うことは、西村さんからの提案だったという。最初はイメージが湧かなかったようだが、エンターテインメントを発信するメーカーとして、ちょっと変わった発表会にしたいと考えたこと、そして西村さんの人柄が現れるイベントにしたいと考え、ここでの開催に踏み切ったとのこと。和田さんは「湯河原に来ることで、普段とは違う空気を感じてもらえたのではないでしょうか?」と集った報道陣に笑顔でコメントしていた。
今回の発表会は、普段以上に近い距離で行われた。「カンファレンス前から、メディアの方々のすぐ横にいたので多少とまどいました(笑)」と和田さん。 |
本作は、人気ミステリー作家・西村京太郎さんがストーリーを書き下ろした本格推理アドベンチャーゲーム。プレイヤーは十津川警部となって、真夏の深夜に起こった“ボウガン殺人事件”をきっかけに起こる連続殺人事件の謎を解いていくことになる。実はこのソフト、松下電器(現パナソニック)から発売されたゲームハード・3DO用ソフトとして10年以上前に発売された同名タイトルを移植した作品。ゲームを遊んだ人にはその内容が高く評価されており、『ドラゴンクエスト』シリーズを制作しているクリエイター・堀井雄二さんも絶賛していたほどだとか。「前回は多くの人に遊んでもらえなかったが、今回はぜひ多くの人に楽しんでもらいたい」と和田さんは説明した。
続いて姿を見せたのは、本作のプロデューサーである中野魅さん。中野プロデューサーは、「小説やTVドラマとはまた違ったトラベルミステリーですが、ユーザーには本を読むかのようにゲームを楽しんでもらえるよう、制作している」と制作にあたっての注意点を説明。「ゲームをプレイして原作小説へ、西村先生のファンがゲームへ。そんな展開になることを願っています」と今の心境を語った。
人気推理作家・西村京太郎さんが初めてゲームのために書き下ろしたストーリーを楽しめる本作。時刻表のトリックはもちろん、聞き込みや張り込み、尾行など、複数の捜査を体験できる。マルチエンディングを採用しているので、1度だけでなく何度も遊べるのが特徴だ。 |
『トラベルミステリー』シリーズやゲーム制作秘話についてトークする西村さん(左)と中野プロデューサー(右)。中野プロデューサーは「人気の十津川警部が、ゲームの中でどんな風に捜査していくかを堪能してほしい」とコメントしていた。 |
ここで原作・監修を行った西村さんが登場し、中野プロデューサーとのトークショーがスタート。ゲームだけでなく、さまざまなメディアで扱われていることについて、「自分では思い付かなかったキャラの一面が見られるから、映像化されるのはうれしい」とコメントした。映像化されたキャラから、逆にインスパイアされることもあるようだ。ところがゲームの十津川警部に関しては、「ちょっとカッコよすぎる」と辛口の評価を。どうやらこれに関してはTVドラマの時にも感じていたようで、西村さんは最初はもっと泥臭いイメージで書いていたのだとか。しかし、時代の変化やTVドラマで演じた役者さんのイメージが強くなってきたので、設定を少しずつ変えていることを明らかにした。
中野プロデューサーは「自分で捜査・推理するおもしろさを味わってほしい。自分なりに考えながら捜査していくのが楽しい」と本作の魅力について力説。ゲームをプレイするか、西村さんに聞いてみたところ、「サスペンスがあるゲームはプレイする」という返答が。しかし「飛んだり、跳ねたりするゲームは頭が追いつかないからやれないねえ(笑)」と続け、会場を笑わせた。自分の書いたゲームについて質問されると「難しすぎる」と苦笑い。テキストは1カ月近くかけて書いているが、それを短い時間で追いかけるのが大変なのだという。
PCではなく、サインペンを使って原稿を書いているという西村さん。西村さんの本は、年に12冊近く発刊されており、1日に原稿用紙20枚ほど書いているとか。 |
トラベルミステリーといえば、時刻表のトリックが有名。西村さんは時刻表を毎日見ているのだという。時刻表を見ていた時に「1分もあれば、殺人だってできるだろう」と考えたことが、このシリーズが始まったきっかけだという。そして文章を書く際には、必ず電車を自分でチェックしてから書くのだとか。車両の大きさやドア・窓の場所などを見ながら中を歩き、「トイレがないので死体を隠せない」とか「寝台列車の座席にあるケースに死体が隠れないか」などと考えていることを公開した。
西村さんは、今後の展望について「500冊を目標にしていて、あと3年くらいで達成する予定。500冊に届いたら、少し休もうかな」とコメント。さらに「ゲームが売れないと困るので、ぜひお願いします(笑)。ゲームを買ってもらい、そのついでに原作を買ってください」と続け、発売記念カンファレンスは終了となった。
発売記念カンファレンスに登場した3名。西村さんは十津川警部について「最初は自分に似ている設定だったんだけど、TVドラマで演じた人がスマートで困ったね(笑)。身長が165cmだったのが173cmにしたのは、役者さんの影響と、平均身長が上がったから」と制作秘話を明かした。 |
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