2009年6月25日(木)
――『逆転検事』に登場するキャラクターで誰が一番好きですか?
江城:シーナが一番好きです。もろに好みの女性です(笑)。
岩元:白い肌の女性が好きみたいですよ。
江城:(笑)。山﨑の机に決定していない状態のイラストがあって、誰なのかも知らない状況で、「このキャラクターいいじゃん!」って叫んでいました。その後「この子、誰?」って聞いたら、山﨑が「ロウ(狼 士龍)の相棒のキャラです」って答えたので、それに対して「いいじゃん! これいいじゃん!」って(一同笑)。
山﨑:その後もずっと「ロウ、いいなあ。うらやましいなあ」って言っていましたね。僕もパッと見ていいなと思ったんですが、それを聞いてすぐに岩元さんへ電話して伝えました。
岩元:江城さんが大興奮していたと聞いて、すごくうれしかったですね。絵描き名利につきます。
山﨑:僕はいつも美雲(一条美雲)が好きと言っています。最初に岩元さんがデザインしたキャラということで思い入れもあります。あとは、元気な女の子というのが僕の好みなのかもしれません。
山崎ディレクターが気に入っているキャラは、大ドロボウを自称する少女・一条美雲。 |
岩元:結局好みかい!(笑) この流れで男キャラを挙げたらやばいですね。……でも、ロウですかねぇ。彼には思い入れがすごくあります。グラサンも温め続けたデザインだったりしますし、キャラ的にもいいキャラだなと。いつか狼のグッズや衣裳が発売されることを願っています。
江城:ロウのジャケットを一点もので作ったら、大変な値段になりますよ! ファーもついていて、皮ジャンなんで。
岩元:それなら、黒いパーカーで(笑)。
――ロウの突っ込まれたときのポーズは、どのような経緯であのポーズになったのですか?
岩元:あれは、中国武術的なものを使うキャラというイメージがあったので、ガードからの構えになるでしょうと。
山﨑:実際に武術をたしなんでいて強いんじゃないかなと思います。
岩元:彼は、『逆転』シリーズのキャラの中でも、かなり強い位置にいると思いますよ。“逆転トーナメント”を開催したら、虎狼死家左々右エ門(ころしや さざえもん)との決勝戦で、殴りあった瞬間にホワイトアウトして終わるくらいに!(一同爆笑) 以前から最強のキャラを作りたいと思っていたので、そういう願望もロウには入っていますね。
キャラクターデザイナーの岩元さんは、ロウへの熱い思いを激白。 |
――それでは、お気に入りのシーンは?
岩元:では今度は僕から。ロウが初めて登場するシーンです(山﨑:取られたぁ~!)。大勢の黒服を引き連れているシーンがいいですね。
江城:『逆転検事』のミニキャラがいるからこそ実現できたシーンですし、ビジュアル的にもかなりうまくいったと思います。BGMもいいですしね。
――あの曲はインパクトありますね。山﨑さんは?
山﨑:僕は、1話で優木検事がファイルを投げるシーンですね。バスケットボールが趣味というのを生かした、ミニキャラならではの演出なんですよ。あとは、鑑識との熱い握手も大好きです。
こちらが話題のファイルを投げるシーン。糸鋸刑事もビックリ!? |
岩元:腕の角度がいいよね。無駄に熱い感じで。
江城:僕は3話の冒頭で、あるキャラクターに御剣が殴られるシーンがあるのですが、かなり怖くて印象深いです。3パターンのイラストで演出しているんですが、軽くトラウマになりますよ(苦笑)。
岩元:1回でき上がったのをみて「こうじゃないんだ。怖がらせる絵にしてはダメなんだ!普通に描けば怖くなるんだ!」って指示していましたね。前後の流れもあって、かなり怖くなりました。
江城:ちょっとやりすぎたかなとも思います(笑)。
――江城プロデューサーをモチーフにしたキャラクターが登場しますが、これはどういう経緯で?
江城:シンプルな理由です。現場から「ぶっ殺してやりたい」っていう声が(一同笑)。
山﨑:被害者のデザインを詰めている段階で“東京ゲームショウ2008”を迎えまして。ステージの裏で打ち合わせしているくらい、現場はものすごい忙しかったんですね。
岩元:他にもいろいろ詳細に詰める作業もあったんですが、ゲームショウのステージ裏でやることではない。でも被害者くらいなら決められるかなと思っていたところに、江城さんが横にいたのでイラストをさらさらって。
江城:ゲームショウのカプコンブースで配布された小冊子に3人のイラストが書かれていたんですが、僕のイラストが凶悪で。それがあって「このまま使えるんじゃない?」っていう流れになりました。「出していいですか?」って聞かれたので、「ええんちゃう」って答えて髪型だけアレンジしました。
岩元:それくらいの遊びはアリなんではないかと。誰かに似せるとか他にない特徴の薄いキャラにするとか、被害者を気軽に作るのが好きなんです。
――なるほど。ちなみに江城プロデューサー以外に、誰かをモデルにしたキャラクターはいますか?
山﨑:……実は、僕も出ているんですよ。優木検事のパートナーである仲間戸真治のイラストを見てもらうと、ちょっと似ているという。
岩元:本当はもっと似ていたんですが、本人から「出たがりみたいだから、やめてほしい」と言われたので、アレンジしました。個人的には「出たがりくらいでもいいじゃん!」って思うんですけどね。
山﨑:いやいやいや(苦笑)。どうして僕のデザインが出ることになったかというと、優木検事のモデルになっているのが公式ブログにも出ている古川というチームの人間なんです。バスケットもしていましたし、さわやかなキャラクターで、しかもいい人という。
岩元:“いい人”っていうのが気にいらないよね。だから犯人にしちゃえばいい! ついでに山﨑も殺しちゃえばいい! ってね(一同爆笑)。
江城:すっごい仲の悪いチームみたいだよね(笑)。
山﨑:実を言うと、優木検事は“最初の犯人”という重要な役どころということもあり、なかなかイメージが固まらなかったキャラなんですね。先ほど話した、“ロジック”などを入れてゲーム全体を作り直した過程で、それまで1話だった“逆転エアライン”を2話にして、チュートリアルのような1話を入れることになりました。ですから、シナリオを考えつつデザインも同時進行というくらいにスケジュールもきつかったんです。
岩元:打ち合わせの帰りに、何か少しでもいいからヒントがほしいなあと思っていた時に横にいた彼を見て、ちょっとモチーフにしてみようかと。彼のことは、「男前すぎてちょっとムカツク」ということでちょくちょくいじっていたんですよ。そのいじりを煮詰めていけば、1キャラできるかなって。ビジュアルがすべて似ているわけではないんですが、ふとした表情やしぐさが似ているくらいです。
重要なキャラ・優木検事も、開発スタッフがモデルであったという。これからプレイする際には、ふとした表情にも注目してみては? |
山﨑:それで、僕も出ることになったんですが、「あまり似せないでください」とお願いしました。最初は死体のイラストとか、思いっきり似ていたんですよ。それで、「それはさすがに止めてください!」って。
――先日、パセラで“逆転検事 in パセラ ~華麗なるミステリー~”を体験してきたんですが、予想以上に本格的という印象を受けました。難しかったですよね、あのクイズ……。
江城:実は、あれでもかなり難易度を調整したんですが、ヒントを集めて解くというスタイルになっているのに、問題だけで解けてしまったら意味がない。なので、労力はかかるけど、ヒントを3つ集めると謎が見えてくるという形式にはこだわりました。
――そもそもコラボレーションはどういったきっかけでやることになったのですか?
江城:発売記念にイベントをやりたいと考えている時、『モンスターハンター』シリーズとパセラさんとのコラボで“狩人達の宴”をやっていたんですよ。そこでパセラさんに、『逆転検事』ならではの企画でコラボレーションしませんかと、お願いをさせていただきました。カラオケなら『大江戸戦士トノサマンの唄』を配信できるんじゃないかと思いました。先方に確認したところ可能とのことだったので、カプコン側で映像制作スタッフがカラオケ用のPVを作りました。静止画しかないんですが、それを駆使して映像にして、せっかくなのでそこにヒントを入れて。そして山﨑に、「カラオケボックスを舞台にした問題を作ろうよ」と無茶ぶりして(笑)。あとはバーがあるので、単にコラボレーションするのではなく、レシピをお客さんに当ててもらおうということで、この3つが行われることになりました。後半のコラボレーションメニューは世界観を使って、食べ物で楽しんでもらえないかなと思ったのがきっかけです。『逆転裁判』では、あまりやってこなかったような変化球的なことですが、挑戦してみました。
山﨑:パセラさんとのコラボレーションは意外でしたね。何度も利用していますし、「トレジャーカードに、僕の書いたヒントが出るんだ」と思ったら、すごくうれしかったですね。せっかくカラオケで出す問題なので、『大江戸戦士トノサマンの唄』を歌っている時に殺されるような話にするとか、考えているのは楽しかったんですが、問題に落とし込むのは苦労しました。ヒントを3つに分けなくてはいけないとか、制約もついたので。
岩元:まだ行ってないので、行きたいですね。……解けるといいなあ(一同笑)。
――反響もあった本作ですが、続編の予定は?
江城:これはまた、いきなりきましたね(苦笑)。今作を多くのユーザーに遊んでいただき、次を熱望される声が大きくなってきたとき、開発スタッフ中にのアイデアが生まれてと、そういったいろいろな要素がマッチしたタイミングで制作するというのが理想的だと思うんですね。大勢の方に希望してもらえば、スタッフはそれに応えたいと思うかと。
岩元:ユーザーの声がモチベーションになって、開発が動くということも多いですしね。
山﨑:どちらにしても、今はネタがないですね(苦笑)。思いついたことは、今回全て入れてしまいましたので(笑)。
――わかりました。では最後に『逆転』シリーズのファンと、まだ遊んでいないユーザーへメッセージをお願いします。
江城:『逆転検事』を発売後、おかげさまで好評をいただきまして、本当にありがとうございます。これからも『逆転』シリーズとしていろいろとおもしろいことを考えたいと思っています。シリーズを愛している皆さんへ、いろいろな形で何か提案をしていければと。
山﨑:やってくださった方々には「プレイしていただき、ありがとうございます!」と伝えたいです。今回はかなり細かいところまで練って作っています。1回のプレイでは取りこぼしているところもあると思うので、何度も遊んでいただければ幸いです。まだ遊んでいない方々へ向けては……。『逆転』シリーズは、ミステリーのゲームとしてこだわって作っています。ドラマや小説では味わえない、ゲームならではのミステリーの楽しみが詰まっていますので、ぜひ体験していただければ幸いです。
岩元:グラフィックももちろんそうですし、いかに気持ちよく遊んでいただけるか、逆にストレスを与えて思いっきり開放するということを考えて、作りました。自分の『逆転』シリーズ9年目の集大成になっていると思います。今しか楽しめない味をぜひご賞味ください。
「苦労した分、いい作品になった」と話していた3人。これまでのシリーズのよさと、新たな楽しみを融合させた『逆転検事』は、絶賛発売中。 |
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■“逆転検事 in パセラ ~華麗なるミステリー~”第2弾概要