至高のロボット対戦ゲームがさらに進化！ 『バーチャロン オラタン』プレイレポ

文：kbj

「PRESENTED BY SEGA」

　スピーカーから、AIの無気質な音声が流れると同時に、筆者・kbjの心は10年前に飛んでいた。友だちと待ち合わせている時に夢中になってこのゲームをプレイし、1時間遅れで来た友だちに逆に怒られたこと。自分が通っていたアミューズメント施設は、真後ろに設置された某格闘ゲームとの距離が狭く、もめたこと。そしてこのゲームを通じて仲間ができ、一緒に楽しんだこと。すべてがまるで昨日のことのように脳内をよぎり、そして消えていった。

　10年前……そう、もう10年前になる。オープニングで2機のロボットがスピーディに戦い合い、そしてその攻撃によって装甲が剥離していくのを見てゾクゾクしたのは。今回、Xbox 360用に移植されたことで、ハイスピーディなバトルが当時のまま、いや、現在の技術でより進化した『電脳戦機バーチャロン オラトリオ・タングラム Ver.5.66（以下、オラタン 5.66）』を体験できるようになった。

　ここで、『オラタン 5.66』を知らない人に、この作品がどんなゲームか簡単に説明しておこう。『オラタン 5.66』は、Xbox 360用ソフトとして配信されているアクションゲームで、同名のアーケードゲームを移植したもの。バーチャロイドと呼ばれるロボットを操作して、プレイヤー同士が戦い合うゲームだ。アーケードで出た時は、初代『電脳戦機バーチャロン』に続いて2本の操縦桿を握るという操作性、他に類を見ないスピード感のあるアクション、機体の豊富からくる奥深いバランス、カトキハジメさんのデザインしたメカのカッコよさなどから、一世を風靡（ふうび）した。対戦バランスの秀逸さから、次のタイトル『電脳戦機バーチャロン フォース』がリリースされても根強い人気を誇っていた。

　基本操作は、2本のスティックと2つのトリガー、そして2つのターボボタンを使用する。スティックを動かした方に機体は進み、左右のトリガーを組み合わせて引くことで3タイプの攻撃が発動。そして、移動と攻撃はターボボタンとセットにして使用することで、移動はダッシュ移動に、攻撃はターボ攻撃へと変化する。さらに近接攻撃やダッシュ近接、ジャンプにジャンプダッシュなどを駆使して、3Dの空間を移動しながら敵機を攻撃し、撃破を目指す。

　Xbox 360用に配信されるにあたり、ユーザーが気になったのは、やはり専用スティックについてだろう。「コントローラのみであの操作を再現できるのか？」という理由で、プレイを控えている人もいるのでは？　配信から3カ月が経過した今、そんなユーザーももう少ないとは思うが、今一度記載しておきたい。その心配は杞憂だったと。2本のアナログスティックと、LB、RB、そしてLTとRTの操作は、ツインスティックの操作感と感覚的に近く、すぐに馴染むことができる。もちろん、一部の操作は慣れるまでしばらく時間が必要かもしれないが、そんなユーザーのために、ボタンのカスタマイズも用意されている。これが非常にありがたい機能で、暴発しやすいコマンドも設定しておけば確実に入力できる。

　なお、ゲーム周辺機器メーカーのホリさんからは『ツインスティックEX』が11月下旬～12月上旬に発売となる。こちらは、ユーザーの熱い声に応えて製品化が決定したもので完全受注生産となっている。すでに締め切られているので、これから手に入れることはできないが、ユーザーの本作への意気込み、熱意を感じられる例の1つではないだろうか。

また、ユーザーが自由に機体のカラーをアレンジできるカスタマイズも、細かく色を変更できるのが素晴らしい。パーツごとに色を設定するのが、わずらわしい人も、大まかに色を設定すればこれまでとは違う機体の雰囲気を味わえる。

　もう1つ気になるのがネットワーク対戦時のラグだ。本作を極めたというには到底およばない筆者の言うことなので、あてにならないという人もいるだろうが、コントローラを握っている限り、ラグというラグはほとんど感じない。マッチング時に回線状況を確認できるので、精神的にもいい。ドリームキャストでリリースされた時は、回線状況が今とは段違いだったため、機体がワープするような描写もしばしば見られたが、それも昔のこと。自宅にいながら快適な環境で対戦を楽しめるのには「いい時代になった」とつぶやいたほどだ。

　タイトルアップデートにより、オンライン対戦の観戦や、グラフィックアレンジなどが追加され、ますます進化を続ける『オラタン 5.66』。10年前の作品にもかかわらず、まったく色あせていない、むしろ輝き続ける名作を1,200マイクロソフトポイントという安価で満喫できる。さわったことがない人は「配信から時間が経っているけど、大丈夫？」という不安もあるかもしれないが、稼働からこれだけ時間が経っているのだ。今さら半年遅れても問題はない。初心者のためにチュートリアルも用意されている。そして、そのステップを乗り越えたならば、電脳世界で無数のプレイヤーがキミのアクセスを待っているはずだ！（S.L.C.ダイバー・kbj）。

(C)SEGA CHARACTERS (C)SEGA/AUTOMUSS
CHARACTER DESIGN：KATOKI HAJIME

▼『電脳戦機バーチャロン オラトリオ・タングラム Ver.5.66』

■メーカー：セガ

■対応機種：Xbox 360（ダウンロード専用）

■ジャンル：ACT

■発売日：2009年4月29日

■価格：1,200マイクロソフトポイント

• 『電脳戦機バーチャロン オラトリオ・タングラム Ver.5.66』公式サイト