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2009年10月28日(水)

ビートまりお率いるCOOL&CREATEのツアー終了! 同人音楽ライブをレポート

文:電撃オンライン

 10月11日、神奈川・CLUB CITTA’川崎で同人音楽ライブ“COOL&CREATE LIVE PARTY 2009 ウルトラあまねりお”が行われた。

 同人音楽は、2次創作の音楽版としてコミックマーケットなどのイベントで大きな盛り上がりを見せているジャンル。近年ではアレンジ中心の2次創作楽曲だけでなく、オリジナルの音源を発表するサークルも増加している。商業音楽級の販売数を記録するCDも登場するなど、その規模は急激に成長している。

 そんな同人音楽サークルの中で、今もっとも注目を集めているのが“COOL&CREATE(以下C&C)”だ。“C&C”は、ボーカルのビートまりおさん主催の同人音楽サークルで、その活動は同人にとどまらず電撃キャラクターフェスティバル2009や“Animelo Summer Live 2009”に出演するなど、活動の場を広げている。

 名古屋、大阪、仙台、川崎の4カ所で行われたライブツアーには、ビートまりおさんの他、ボーカルのあまねさん、ギターのジュクチョーさん、ドラムのまこっちゃんさん、ベースのぺーすけさん、キーボードの狐夢想さん、マニピュレーターのmyu314さん、VJのcodaさんがメンバーとして参加。9月13日の名古屋・CLUB QUATTROを皮切りに各地で熱い盛り上がりを見せ、10月11日のCLUB CITTA’川崎で最終日を迎えた。CLUB CITTA’川崎は1,300人を収容する大型ライブハウスだが、チケットは予約開始後に即完売。改めて“C&C”の人気を裏付ける結果となった。

“COOL&CREATE LIVE PARTY 2009 ウルトラあまねりお” “COOL&CREATE LIVE PARTY 2009 ウルトラあまねりお”
▲ライブポスターは『電撃マ王』で連載中のコミック『グリードパケット∞』の作者である榎宮祐先生によるイラスト。ビートまりおさん、あまねさんの似顔絵だ。▲開場を待つファンたち。列に並ぶ人たちの熱気が伝わってくるだろうか?

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 ライブのオープニングでは、ステージを覆う白い幕に各地のツアー風景が映し出される。カウントダウンの合図でこの幕が落ち、まりおさんがメインボーカルの『Help me, ERINNNNNN!!』からライブがスタート。“Animelo Summer Live 2009”でも披露した大人気の曲ということもあり、1曲目から会場がヒートアップ。まりおさんが腕を振り下ろし「えーりん! えーりん!」とコールすれば、会場が一体となって「えーりん!! えーりん!! たすけて、えーりん!!」とレスポンス。「どこで練習してきたのか!?」と思わせてくれるような息のあったコール&レスポンスが楽しめるのも、ライブの魅力の1つだろう。

 テンションMAXとなった1曲目に続いて、コール&レスポンスが熱い『drizzly rain』がスタート。メインボーカルのあまねさんが、カワイらしい甘い声で「う~、ぱちゅり~!」と飛び跳ねてコールすれば、会場中がジャンプし「オイ! オイ!」と返す。こちらも完ペキなコール&レスポンスを見せてくれた。

 この後『レザマリでもつらくないっ!』、あいさつのMC、『ALL-A』と続き、ライブはメンバー紹介のパートへ。このパートで注目を集めたのは、ボーカロイド・鏡音レンのコスプレ衣装に身を包み、レンカラーである黄色いキーボードを携えた狐夢想さん。いつものライブではほとんどしゃべらないという彼が、レンと同じ14歳当時の思い出を語り、最後はYMOのカバー曲で締めくくった。この“スーパー狐夢想タイム”とも呼べる濃密な時間に、まりおさんは「狐夢想ファン、ぬれぬれだね。もう!」と得意の下ネタを投下! しかし、あまねさんに激怒されて「汗で汗で」と言い訳をする場面も。

“COOL&CREATE LIVE PARTY 2009 ウルトラあまねりお” “COOL&CREATE LIVE PARTY 2009 ウルトラあまねりお”
▲ビートまりおさん(右)と、虹色のかわいい衣装に身を包んだあまねさん(左)。まりおさんもこの日のためにピンクのかわいい服を選んだとか。▲熱唱するまりおさん。その男前っぷりに、会場に集った男性陣もメロメロ。

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 “C&C”のライブにおいて、観客を楽しませる工夫は曲やMCだけにとどまらない。『ねこみんぐ』の歌の前には、スクリーンにかわいいクレヨン画が映し出され、ネコ耳をつけたあまねさんが童話風の物語『あまねさんとねこのくに』を朗読。猫の国を探すかわいらしい物語に、まりおさん似の人物が登場し「持っている服のほとんどがユ●クロ」、「下ネタを連呼して冷たい視線を浴びたがる」などのくだりが入り、会場の笑いを誘う。映像と音とが一体化した、ライブならではの演出となっていた。

 ライブは新曲披露、熱いコール&レスポンス、大爆笑のMCをはさみながら、天井知らずの盛り上がり具合で進行していった。『あまらぶっ!』では、指を使った「L・O・V・E」の振り付けを会場一体となって披露。先に紹介した「えーりん! えーりん!」のコール&レスポンスもそうだが、こういった会場の一体感を味わえる振り、コールが多いのが“C&C”のライブの特徴でもある。「ノリづらいのでは?」と感じるかもしれないが、周囲の盛り上がりを見ていれば自然とコールも身につき、振りを練習するMCが用意されているなど、初ライブでも一体感を十分に堪能できるはずだ。

 ライブ終盤、アップテンポの『拝啓ラブサマー』の後に、まりおさんは「このツアーのコンセプトは“太陽と虹”です」と発表。あまねさんも“虹”をイメージした白地に7色のラインの入ったドレスにお色直しした。あまねさんが虹なら、まりおさんはみんなを照らす太陽そのもの! そう会場の誰もが思ったところで、まりおさんが「“にじ”は2次元の“2次”だけどね」とコメントし、会場を爆笑させた。

 この後、あまねさんから「1週間前何してた?」の問いかけが。ライブの1週間前には、“電撃キャラクターフェスティバル2009”でコミック『グリードパケット∞』(アスキー・メディアワークス刊)のステージが行われていた。その『グリードパケット∞』の榎宮先生が“C&C”のCDジャケットを描いているという縁で作られた、『グリードパケット∞』のキャラクターソング『約束プロトコル』を披露。「『グリードパケット∞』がアニメ化されるんですよー。ウソですけど(笑)」との紹介を挟むと、大いに盛り上がった。

“COOL&CREATE LIVE PARTY 2009 ウルトラあまねりお” “COOL&CREATE LIVE PARTY 2009 ウルトラあまねりお”
▲ねこ耳をつけて『ねこみんぐ』をかわいく歌うあまねさん。全部で7着の衣装が、この日のライブのために用意されていた。▲観客もノリノリ! ステージとフロアが一体となり、イベントを満喫していた。

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 ライブはエンディングへと向かっていく。人気曲『シアワセうさぎ』がラストの1曲かと思いきや、観客の大きなアンコールに呼ばれる形で再びメンバーがステージに。ここでまりおさんが「今日一番緊張してる!」と苦笑しながら、ギターの弾き語りで『虹』を初披露。無事に演奏(実は途中から後ろでジュクチョーさんが演奏していた)を終えたまりおさんは、「自分が同人というものに初めてふれたのは10年ほど前。こんなにも自由な世界があるんだと感動しました。CD制作やライブで同人音楽の活動を続けてきて、そして今こういうステージに立てているのは、本当にありがたいことだと思います」と、自分の胸中を静かに、しかし熱く語った。

 アンコールの続きとして、人気曲『ぎりぎり☆ばれんたいん』、『最終鬼畜川崎で声』を演奏し、再びステージの袖へと消えるメンバーたち。……だが、ドラムのまこっちゃんさんが残り、1人で演奏を行う。その後、メンバーが1人ずつステージに上がり演奏に加わっていく。そして全員がそろい、あまねさんとまりおさんの「最後もう1回声出していくぞー!!」のかけ声で、本当のエンディング曲『Help me, ERINNNNNN!!』がスタート! 思わぬサプライズに観客はどよめき、残ったすべての力をつぎ込むかのように「えーりん!! えーりん!!」と叫び、腕を大きく振り下ろしていた。

 アンコールを含め全28曲、約3時間の熱いステージとなった今回のライブ。全4都市でのライブツアーを終えた“C&C”は、また1つ大きなステップアップを果たしたと言えるだろう。商業での活躍も増えてきた彼らだが、こうした同人シーンでの活躍、ファンの支えこそが、彼らの次なるステップへの活力となっているはず。このライブツアーで得た活力を、次はどこで爆発させるのか。今後の“C&C”の活動に注目したい!

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