2010年2月21日(日)
――まずは内山さんに質問します。今回出演するにあたって、どんなことを考えましたか?
内山さん:最初に役が決まったと言われた時は、まったく実感がわきませんでした。まさか自分が『ガンダム』にかかわることになるとは考えてもいなかったので、どうしようかな、と思いました。
――長い歴史を持つ『ガンダム』シリーズにかかわるプレッシャーはありますか?
内山さん:実は僕、あまり『ガンダム』を知らなかったんです。決まってから調べていくうちに『ガンダムUC』は、アムロやシャアが出てくる宇宙世紀の流れをくむものだと知って、いよいよ大変なことになったぞと、知るにつれて緊張していきました。
――アフレコのご感想は?
内山さん:無我夢中でしたね。収録中は、この作品の世界観にずっと入り込んでいた気がします。
――ご自身が演じているバナージの印象は?
内山さん:ファーストインプレッションは、ナイーブな、内気な青年といったものでした。それに加えて社会や友だちと付き合っている自分に“ずれ”を感じているような印象でした。
――内山さん自身と似ているところなどありますか?
内山さん:そういった“ずれ”を感じる部分や、悶々とした日々を送っているところは親近感を覚えるというか、ピッタリきましたね。
――完成した作品をご覧になっての感想は?
内山さん:感動しましたね!! こういう作品に携わることができて、心の底からうれしくなりました。素直に「やった!!」と感じましたね。
――続いて藤村さんに質問します。『ガンダム』という作品はご存じでしたか?
藤村さん:私も内山君と同じく、知りませんでした。大きい作品ということで、名前だけは知っていたのですが……。この作品に出演することになって、まずは『機動戦士ガンダム』の劇場版3部作を見させていただいたんですが、本当にすぐに引き込まれてしまいました。最初はオードリーを演じるにあたって見ておこうという意気込みだったんですが、いつの間にか単なるファンになってしまって。
――出演が決まった時の感想は?
藤村さん:すごいことなんだ! ということはわかっていたんですが、そこから先の具体的なものがまったく想像つかなくて。今この場に立っていることにも戸惑っている感じですね。
――戸惑っていらっしゃる、とのことですが、そんな中で今日を迎えた感想は?
藤村さん:朝早くから行列ができていたと教えていただいて、本当に多くのファンに『ガンダム』は愛されているんだなぁと感じました。まだシリーズも始まったばかりですので、オードリーというキャラクターをこれからもっと魅力的にしていかなければいけないな、とひしひしと感じました。
――オードリーのどの部分に注目してもらいたいですか?
藤村さん:一番注意しているポイントは、彼女が“バナージを引きつけていくキャラクター”だということですね。そういったカリスマ性というか、魅力を持っているので、そういうものがにじみ出るように演じていければと思います。
――ありがとうございます。続いて福井先生に質問します。『ガンダム』という作品を小説にして、さらにそれがアニメーションになったことについてどう思いますか?
▲こちらがフル・フロンタル。 |
福井さん:視野の中に仮面の人(※客席に座っていたフル・フロンタルのコスプレをしたファン)がいるのがとても気になってしょうがないんですが(笑)、このように熱いファンの多いコンテンツですから、やるにあたってはとてもプレッシャーを感じていました。今回「やろうよ」と言い出したのが自分で、甘言をろうして皆さんを誘導して進めてきたという経緯がありましたが、こうしてこんなに多くのファンが集まってくれて、そしてBlu-ray Discの販売も好調と聞かされてひと安心といったところですね。
――内山さんと藤村さんの演技を聞いての感想は?
福井さん:2人とも『ガンダム』を知らなかったという、初日にいらしてくれたお客さんの空気を読め! って感じのコメントでしたが(会場笑)、今では2人とも勉強をしてくれているようですし、何よりもセンスがいいんです! ニュータイプ声優ですね。安心してお任せしている感じなので、我々を踏み台にして上り詰めていってもらいたいですね。
――古橋監督は、今回初の『ガンダム』作品とのことですが、このお話を聞いたときの感想を教えてもらえますか?
古橋監督:『ガンダム』って、自分が上京した時にスタートした作品なんですよ。その時から30年が過ぎ、自分自身が親の代になってしまい、なんだか「ひとめぐりしたんだなぁ……」という感慨深いものを感じました。
――本作のテーマはどういったものになるのでしょうか?
古橋監督:ご覧いただいた人はわかると思うのですが、全編を通して“父と子”というテーマを幾重にも重ねていくことになります。自分自身もいい年齢なのですが、こうして(内山さんたちを見つつ)若い世代……ニュータイプと仕事をしていくことも含めて、親と子というものをなぞらえつつやっていこうかと。血がつながっている人間やそうでない人間もあわせて、次世代につなげていくということを描いていきたいなと。ニュータイプというもの自体は、『機動戦士ガンダム めぐりあい宇宙』で語りつくされています。その語りつくされた部分にどのようにして生きている実感を付与するかというのが、個人的に一番重要なポイントだと思っています。
――内山さんと藤村さんには、これからどのように演じてもらいたいと思っていますか?
古橋監督:2人とも若くてうらやましい限りですが(笑)、その若い力をそのまま吹き込んでもらいたいというのが望みですので、自由にやっていただければと思います。
内山さん:がんばります! ニュータイプ声優だったんですね、僕らは。
藤村さん:(笑)好きにと言っていただいたのですが、深い背景を持つキャラクターたちですから、自分なりに試行錯誤しながら演じていこうと思います。
――今度は澤野さんにうかがいます。『ガンダム』シリーズに楽曲を提供することになった感想は?
澤野さん:「まさか!」といった感じでしたね。僕が映像音楽を志し始めたのが高校生のころで、当時たまたまTVで劇場版3部作をやっていたんですよ。それを見てハマってしまったんです。ですから、うれしいというより驚きのほうが強かったですね。
古橋監督:楽曲の若々しさと力強さ、音色の豊富さに魅力を感じてオファーしました。個人的にはファーストのイメージもあったのですが、新しい部分を担っていただきたいと思ってお願いしました。
――澤野さんには、今回特に思い入れのある曲があったとのことですが?
澤野さん:どの曲も力を入れて作ったんですが、メインテーマと同じくらい力を入れているのがバナージのテーマとして作った曲ですね。第1話ではちょっとしか流れていませんでしたが、今後きっと流れると思います。僕が映像音楽の仕事を本格的にする前に、自分だったら『ガンダム』にどんな曲を付けるだろうと妄想しながら作った曲があったんです。どこかで使いたいと思っていた曲なんですが、このお話をいただいたので、使わないわけにはいかないだろう! と。今回フルオーケストラでレコーディングできて個人的に気に入っています。
▲5人がコメントしたところで、栗山千明さんが舞台に登場。古橋監督に花束を手渡し、お祝いの言葉を述べていた。ちなみにこの日の衣装は、オードリーを意識したものとのこと。 |
――栗山さんのデビュー曲でもある『流星のナミダ』が本作の主題歌となっていますが、その感想は?
栗山さん:『ガンダム』は、小さいころに兄と見ていた作品なので、そのシリーズ作品に自分がこうしてかかわることができて本当にビックリしています。
――『流星のナミダ』は、栗山さんにとってはどういう曲ですか?
栗山さん:『ガンダム』の主題歌にさせていただいたという記念すべき曲でもありますし、私自身にとっては歌手デビューを飾った大切な曲です。これから歌手として活動するにあたって、この曲を掲げていきたいと思っています。歌詞もとても共感できて、気持ちよく歌えましたので、ぜひ聞いてもらいたいです。
――それでは最後に、ファンの皆さんにコメントをお願いします。
福井さん:皆さんどうだったでしょうか? というのが一番聞きたいところなんですが、今までの反応などを聞かせていただいていると、合格点はもらえているのではないかと思っています。あと5回も繰り返すと考えただけでめまいがしますが、古橋監督はじめスタッフ一同でがんばっていきますのでよろしくお願いします。
澤野さん:サウンドトラックが3月10日に発売予定となっています。栗山さんが歌う主題歌を買いに行った際には、『ユニコーン』の仲間ということで、広い心でひとつよろしくお願いいたします。
内山さん:『ユニコーン』はまだまだ始まったばかりですので、これからもがんばっていきたいと思います。見ていただいた方はわかると思いますが、アニメがものすごいことになっていますので、声優として負けないよう、相乗効果でいいものが作れるよう一生懸命やって言いたいと思います。今日はありがとうございました。
藤村さん:すごくプレッシャーを感じてはいるんですが、私自身『ガンダム』がとても好きで魅力的に感じています。『ガンダム』を愛するものとして最後までオードリーをがんばって演じていきたいと思いますので、どうか皆さん応援をよろしくお願いいたします。今日はありがとうございました。
栗山さん:今回主題歌をやらせていただきまして、私なりに『ガンダム』の世界観を壊さないよう大事に歌ったつもりです。『ガンダム』ともども『流星のナミダ』も愛していただければと思います。よろしくお願いいたします。
古橋監督:こんなに大きなところで上映していただいて、こんなにたくさんのお客さんに見ていただけて、本当に感謝の極みです。ありがとうございました!
▲最後は、この日の出演陣全員で記念撮影。プレミアレビューは、各劇場2週間限定のイベント上映となっている。大画面と最高級の音響設備で『機動戦士ガンダムUC』を見てみたいという人は、ぜひ劇場に足を運んでもらいたい。 |
(C)創通・サンライズ
■『機動戦士ガンダムUC』プレミアレビュー
【公開期間】2010年2月20日より2週間限定
【公開劇場】
新宿ピカデリー(東京)
なんばパークスシネマ(大阪)
ミッドランドスクエアシネマ(名古屋)
札幌シネマフロンティア(札幌)
福岡中洲大洋(福岡)
■OVA『機動戦士ガンダムUC』
【スタッフ】(※敬称略)
原作:矢立肇、富野由悠季(『機動戦士ガンダム』より)
監督:古橋一浩
脚本:むとうやすゆき
オリジナルキャラクターデザイン:安彦良和
アニメーションキャラクターデザイン:高橋久美子
モビルスーツ原案:大河原邦男
メカニカルデザイン:カトキハジメ、石垣純哉、玄馬宣彦
メカニカルデザイン協力:明貴美加
ディスプレイデザイン:佐山善則、上村秀勝
設定考証:小倉信也
ストーリー:福井晴敏
音楽:澤野弘之
音響監督:木村絵理子
美術監督:池田繁美
色彩設計:すずきたかこ
撮影監督:葛山剛士、田中唯
CGディレクター:藤江智洋
編集:今井大介
アニメーション制作:サンライズ
【キャラクター&キャスト】(※敬称略)
バナージ・リンクス……内山昂輝
オードリー・バーン……藤村歩
リディ・マーセナス……浪川大輔
マリーダ・クルス……甲斐田裕子
アンジェロ・ザウパー ……柿原徹也
ミコット・バーチ……戸松遥
タクヤ・イレイ……下野紘
ミヒロ・オイワッケン……豊口めぐみ
フル・フロンタル……池田秀一
サイアム・ビスト……永井一郎
カーディアス・ビスト……菅生隆之
アルベルト……高木渉
スベロア・ジンネマン……手塚秀彰
フラスト・スコール……小山力也
ダグザ・マックール……東地宏樹