2010年3月25日(木)
共通ルートでは、主人公たちの和気あいあいとした日常がコメディタッチで描かれます。物語は4月からスタートして、普段の学園生活を主軸に、学園行事や課外活動などのイベントが次々と展開。そのいたるところで、クスッと笑ってしまう会話が用意されているんですよ。特に、昭和のアニメを中心に古今東西の名台詞&名シーンをオマージュしたネタは、質・量ともにハンパないです! ぜひプレイする際は、キャラクターたちの(いい意味で)くだらない会話で、思う存分に笑ってください。
▲コメディシーンでは、SDイラストが挿入されることもしばしば。デフォルメキャラクターの動作で、ネタのおもしろさがいっそう際立ちます。 | ▲オマージュネタを探してみるのも楽しいかも。ちなみにコチラは『テ○スの王子様』に出てくるあの技です。う、美しい……ハッ! |
夏休みに入るころには共通ルートが終わり、好感度に応じて各ヒロインのルートに突入します。どのルートも、コミカルな場面とシリアスな場面の緩急が見事で甲乙つけがたいのですが、せっかく新ヒロインが追加されたので、今回は市杵ルートについて語っていきましょう。
……と、その前に、市杵編を語るうえで欠かせないキャラクターの紹介です。
新規に追加されたサブキャラクターで、市杵宍姫命の世話係を務めています。かわいらしい顔つきと、女性モノの服装から女の子のように見えますが、れっきとした“男の子”。人間界では、市杵の弟という設定で、市杵と一緒に暮らしています(周囲からは妹だと思われていますが)。
▲頼まれると断れない性格で、なにかと苦労が耐えない蘇芳。それでも健気に頑張っている姿を見ていると、応援せざるを得ないですね。 |
市杵との関係は、春樹が彼女の眠っていた祠(ほこら)を壊してしまったところからスタート。いきなり市杵たちの住家がなくなるわけですが、主人公の働きかけで空き家となっていた中華料理家を確保し、主人公が店に足を運んだり手伝いをしながらふれあっていきます。序盤のストーリーは、主に“蘇芳のかわいさ”がわかるお話が展開。一方、ヒロインであるハズの市杵は、引き篭もってゲームをしていたり、自分のマゾ嗜好を暴露したり、ひたすらダメ人間っぷりをアピールしていました(笑)。正直なところ「蘇芳がヒロインでいいんじゃないか?」と思った瞬間もあったほどです。
▲「働きたくて働いてるんじゃない」と当たり前のように言っちゃうところが逆にスゴイ! けれど、これをカッコイイと感じたら負けかな、と思います。 | ▲主人公の誤解を招く発言に対して、蘇芳もまんざらではない様子……? このセリフだけで、全国のショタコンは悩殺間違いなしですね! |
しかし親密になってくると、やっぱり市杵がヒロインだと認識させられるラブイチャなお話になります。春樹のために料理を勉強したり、朝に起こしに来てくれる姿は、まさに正統派ヒロインそのもの。見ている方が恥ずかしくなるほど“彼氏バカ”っぷりを見せ付けてくれますよ!
▲このあたりの市杵は、序盤のだらけたイメージとは打って変わって活き活きしています。もはや神様というより、1人の恋する女の子ですね。 | ▲意外にも高いところが苦手だったようで。弱々しいところを見せちゃったりもして、色んな角度から男心をくすぐられます。 |
もちろんシリアスなシーンも用意されています。神様ならではの悩み・苦痛――そんな現実とかけ離れた切ない思いに、思わずホロリとさせられました。1つのラブストーリーとしてのおもしろさは当然ながら、“神様”という存在についてもいろいろと考えさせられる奥深いシナリオだったと思います。
▲2人の過去のエピソードが語られたりするのですが、そこは本編をプレイしてのお楽しみということで。 |
おまけとして、個人的に注目してほしい点や、自分がプレイした際の教訓をまとめて紹介します。ぜひプレイする際の参考にしてください。
この作品のサブキャラたちは、ヒロインを食ってしまいそうなほどアクが強いです。いつもネタ集めに走り回っている新聞部の部長、霊感の強いクラスメイト、なにかと謎の多い祖父など、どいつもこいつもキャラ立ちまくり! 序盤の会話シーンでは、ヒロインたちより目立っていた気さえします。サブキャラだけでもう1本ゲームが作れちゃうんじゃないでしょうか? というかぜひ作ってください!
▲ワタシのお気に入りは主人公の祖父・眞一郎(しんいちろう)と、葵の姉・渉(わたる)の喫茶店コンビ。この2人の早とちりっぷりは留まることを知らず、空気をかき乱してくれます(笑)。 | ▲ちなみに蘇芳は、もはや別格。「性別なんてどうでもいいや」と思わせられる、ある意味デンジャラスなキャラクターです。 |
日付が変わる際の演出として、画面に日付が書かれた黒板が表示されるのですが、空きスペースに毎日違ったイラストが描かれています。そのネタが非常に凝っていて、普通なら飛ばしてしまう日付表示が、むしろ楽しみで仕方ありませんでした。
▲黒板に描かれるイラストは、前日までのエピソードのパロディや、その後の伏線をにおわせるものになっています。某国で開発された偉大なロボットを筆頭に、際どいネタが盛りだくさんでヒヤヒヤさせられます。 |
美麗なイラストや感情のこもったボイスが本作の魅力ではありますが、高画質・高音質のせいか、場面切り替え後すぐにボイスが流れる時などで、読み込みに時間が掛かることがありました。データインストールをすれば、かなり改善されますので、プレイする際にはぜひお忘れなく。
とにかくわかりやすく“ラブコメ”しているので、ラブコメ好きな方は安心して遊べるでしょうし、そうでない方が初めてプレイするのにもオススメしたい作品です。シナリオも長め(1周で12時間くらい)なので、この1本でかなり長~く遊べますよ!
そんなこんなで長々と書いてしまいましたが、『天神乱漫』というタイトル通りハッピーな気分になれる作品ですので、ぜひプレイしてみてくださいね。(ミント)
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