2010年4月24日(土)
――『スパIV』の通信対戦モードには、団体戦を行える機能が搭載されていますが、これもキャラ相性を意識してのことなのですか?
小野さん:そうですね。アーケードの大会でも人気がある形式なので、今回取り入れることにしました。フレンドと一緒に対戦するのもいいですし、知らない人とチームを組んでもおもしろいと思います。
▲いわゆるアーケード版での対戦形式である負け抜け形式のバトルを楽しめる“エンドレスバトル”と、大会で人気の“団体戦”を気軽に遊べる“チームバトル”が新たに追加されている。 |
――他にも通信周りはいろいろな機能が追加されていますが、注目はこの団体戦でしょうか?
小野さん:もちろん団体戦の“チームバトル”も楽しんでほしいのですが、個人的にオススメしたいのは、“リプレイチャンネル”ですね。
――対戦動画を鑑賞できるモードですね。
小野さん:すごくプッシュしたいのですが、実際に見てもらわないと伝わらない部分があるんですよね……。今日は実際に開発機をご用意しましたので、これを見ながらプレゼンしたいのですが、よろしいでしょうか(笑)。
――目の前に開発機が置かれていたのは、このためだったんですね(笑)。よろしくお願いします。
小野さん:この“リプレイチャンネル”は、今お話に出た通り“リプレイデータをストックし、対戦動画のようにいつでも好きなだけ見直せるモード”です。先ほどのサガットのワロスコンボが広まったのも、昔と違ってインターネットなどで手軽に動画を観られるようになったからだと思うんですよ。なので、格闘ゲームは動画ありきだろうと考えました。このモードでは、24時間対戦動画が延々と流れ続けていて、好きな動画があったらワンボタンでそのリプレイデータを“マイリスト”へ保存できるんです。リプレイチャンネルを鑑賞中のプレイヤー間でも、自動的にリプレイのやり取りが行われます。リプレイチャンネルを鑑賞するだけでリプレイデータが世界中へ拡散していくわけです。時間がある時にはTV感覚でこのモードを立ち上げておいて、コーヒーでも飲みながら楽しんでほしいですね。
▲マイリストへの保存はワンボタンで手軽に行える。エンドレスバトルやチームバトルで他のプレイヤーの対戦を鑑賞している間などにもリプレイデータを保存できるので、気になる試合はどんどん保存しておこう。 |
――保存したリプレイデータは、他のユーザーと共有できるんですよね?
小野さん:はい。フレンドで集まって一緒に対戦動画を見られるので、たとえば先ほどの団体戦を終えた後に、そのままチームメイトと対戦を振り返り、おもしろい動画があったらそのリプレイデータを“マイリスト”へ保存するといったことができます。動画を見ながらうまい人にアドバイスをもらったりして、攻略に役立ててほしいですね。動画をスロー再生したり、コマンドをリアルタイムで表示したりする機能も付いていますから。
▲動画には自分で評価を付けることも可能。整理に役立ちそうだ。 |
――特定のキャラクターの対戦動画を、選んで見ることはできるのでしょうか。やっぱり気になるのは、自分の持ちキャラの動画だと思うんです。
小野さん:特定のキャラクターを選ぶことはできないのですが、“オリジン”、“ニューフェイス”といった具合に、カテゴリー別にキャラクターを仕分けしています。それを選んでもらえれば、ある程度好きなキャラクターの動画を見られるかなと。
――掲示板などを利用して、リプレイデータを配布することはできるのでしょうか。
小野さん:無作為に配布すると、リプレイデータにあれこれ批判を受けることもあるでしょうから、できないようにしました。掲示板などで告知し、フレンドとして招待して配ることはできます。
▲“リプレイチャンネル”のメニュー画面。好きなチャンネルを選べば、対戦動画が上映される。次々と新しい動画が再生されるので、気になった動画のリプレイデータは忘れずに保存しておこう。 |
――これまで、ありそうであまりなかったモードですよね。おっしゃる通り、格闘ゲームプレイヤーって動画を見ながら勉強することが多いと思いますから。
小野さん:『ストIV』のアーケード待ち受けもそうですが、こういう機能って遊んでいる人なら絶対に思いつくアイデアじゃないですか。なのに他のゲームではあまり取り入れられていない。それって単に“面倒くさいから”だと思うんですよ。その面倒くさい部分に、あえて取り組んでいます。
――アップデートで、トーナメントモードも配信されますよね。
小野さん:トーナメントモードは『ストIV』のなんちゃって大会ではなく、しっかりとしたトーナメント戦を開催できるモードです。
――アップデートは無料なのでしょうか。
小野さん:もちろん無料です。
――気の早い話かもしれませんが、4月4日の公式全国大会の最後に、アーケード版『スパIV』の制作を発表されましたよね。家庭用からアーケード版に移植するにあたり、キャラクターや調整などは加えるのでしょうか。
小野さん:まだ何も決まっていません(笑)。ひとまず、制作が決定したということをいち早くお伝えしようと思って発表させていただきました。ただ、アーケード版『スパIV』でも大会を開きたいと思っているので、家庭用のユーザーにもトーナメントモードなどで慣れておいていただいて、大会にも出てほしいと思っています。今回、家庭用に団体戦やトーナメントモードを盛り込んだのは、まずはコンシューマで大会に出る楽しさを味わってもらって、アナログの大会にも足を運んでほしいというメッセージでもあるんです。格闘ゲームユーザーが増えて、『ストリートファイターIV』以外にも『鉄拳』や『バーチャファイター』、『ブレイブルー』といった他の格闘ゲームも含めて、業界全体の活性化につながればと思っています。
――『スパIV』を待っているユーザーに向けて、一言メッセージをお願いします。
小野さん:まずは、4,990円(税込)とお求めやすい価格になっていることをアピールしておきます(笑)。なのでぜひお買い求めください。『スパIV』は、プレイヤーの皆さんが欲しいと言っていたキャラやモード、仕様などを、最大公約数でできる限り取り入れたつもりです。今回は格闘ゲームが“ツール”だということを見直して、ツールを使う人たちにスポットが当たるような、ツールを使う人がより楽しめるようなゲーム作りを目指しました。前作と同じように、『ストII』世代の人にもプレイしてもらって、できることなら次の世代につないでほしいと思っています。一家に1本、『人生ゲーム』のように置いていただいて、ご親戚、ご子息の方に「お父さんお母さんは『ストIV』強いで!」といった具合にみんなでワイワイ遊んでもらえればと思います。『ストIV』の時もそうでしたが、今作も「作ってほしい」というユーザーの声があったからこそ、作りたいものを作ることができました。とても感謝しています。ありがとうございました。
▲前回波動拳のポーズをお願いしたので、今回は昇龍拳をリクエスト。カメラマンのむちゃぶりにもノリノリで応えてくださった小野プロデューサーだった。 |
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