2010年4月27日(火)

好評発売中のPSP『ユーディーのアトリエ』ディレクターさんと対談してみた!

文:長雨

 4月8日に発売されたガストのPSP用RPG『ユーディーのアトリエ ~グラムナートの錬金術士~囚われの守人(以下、ユーディーのアトリエ)』。本作のディレクター・田中学さんと対談を行いました。

 ということで、「新キャラの女の子に会える気配がありません!」や「戦闘に勝てないんですけど……」など、プレイして気になった部分を『アトリエ』シリーズ大好きっ子ライター・長雨が、今回もガンガン質問してまいります。ゲームを進める上でのヒントや知っておきたい便利なテクニック、他では言えない(!?)ちょっとした裏技、そして何より『ユーディーのアトリエ』の魅力について、たっぷりと語っていただきますよ!(対談中は敬称略)

・田中 学さん
 アニメの制作、ゲームのシナリオライター、プランナー、ディレクター、プロデューサーを務め、現在に至る。本作の他、『トトリのアトリエ ~アーランドの錬金術士2』ではアニメーションディレクター、プロジェクトマネジメントアドバイザーを務める。

・長雨
 初めて買ったゲームがPS『エリーのアトリエ』という、生粋の『アトリエ』シリーズゲーマーで電撃ライター。ちなみにシリーズ作品はほぼプレイ済み。アイテム図鑑をひたすら埋めることに熱中する、無類の調合好き。


■PSP『ユーディーのアトリエ』とPS3『トトリのアトリエ』との意外なつながり

長雨:いきなりですが、そもそも『ユーディーのアトリエ』をPSPに移植したのはなぜでしょう?

田中:これまでPSPで遊べる『アトリエ』シリーズは、傍流である『マナケミア』シリーズとゲームアーカイブスで配信されている『マリーのアトリエ ~ザールブルグの錬金術士~(以下、マリーのアトリエ)』と『エリーのアトリエ ~ザールブルグの錬金術士2~』だけなんですよね。そんな中で、うれしいことにPS3の『ロロナのアトリエ ~アーランドの錬金術士~』で原点回帰というか、調合を中心にした『アトリエ』シリーズらしいゲーム性を新たなユーザーの方に触れてもらい、好評をいただきました。それならば携帯ゲーム機での展開でも、『アトリエ』らしい作品を皆さんに提供していくのがいいだろう、という話になったんです。

長雨:なるほど。ちなみに“ザールブルグの錬金術士”3部作の移植にならなかったのは、2作がすでにゲームアーカイブスで配信されているからですか?

田中:いや、そんなことはないです。というか、“ザールブルグの錬金術士”3部作も検討されたんですよ。でも、正直かなり古い作品じゃないですか。だから移植するとなると、ゲームバランスの調整やグラフィックの手直しなどで、ほぼリメイク状態になってしまうんですよね……。それならば、シリーズをあまりプレイしていない方にも『アトリエ』シリーズを感じてもらいやすく、歴代のファンの記憶にも残っている作品ということで『ユーディーのアトリエ』に白羽の矢が立ったわけですよ。

長雨:確かに、1作目の『マリーのアトリエ』なんて、もう13年前の作品ですしね……。移植よりもリメイクの方が、ユーザーさん的にもしっくりくるかもしれませんよね。あと“ザールブルグの錬金術士”は、錬金術アカデミーを中心にした3つで1つの物語といった感じがありますから、どれか1つだけ選んでリメイクというわけにもいきませんもんね。そういう意味でも、“グラムナートの錬金術士”シリーズ1作目の『ユーディーのアトリエ』は、ちょうどいいのかも。

田中:あと、実はPS3の『トトリのアトリエ ~アーランドの錬金術士2~(以下、トトリのアトリエ)』のディレクターが、“グラムナートの錬金術士”シリーズを気に入っているという点も大きいかもしれません(笑)。

長雨:え、そうなんですか?

田中:そうなんですよ。『トトリのアトリエ』は、実は『ヴィオラートのアトリエ ~グラムナートの錬金術士2~(以下、ヴィオラートのアトリエ)』をイメージして作られているんです。そして、その『ヴィオラートのアトリエ』のベースになっているのが、今回PSPに移植されている『ユーディーのアトリエ』。ほら、つながってきた。ということで、今年は旧作新作織り交ぜて、『アトリエ』シリーズ回帰の年になるんじゃないですかね。

長雨:おお、すごいお話を聞いてしまいました。まさか、“グラムナートの錬金術士”シリーズと『アトリエ』最新作にそんなつながりがあったなんて。もともと楽しみにしていた『トトリのアトリエ』の発売が、ますます楽しみになってきましたよ。

好評発売中のPSP『ユーディーのアトリエ』ディレクターさんと対談してみた! 好評発売中のPSP『ユーディーのアトリエ』ディレクターさんと対談してみた!
▲“グラムナートの錬金術士”シリーズ1作目の本作は、アイテムに属性ができたり、冒険要素が強化されたりなど『アトリエ』シリーズの新境地を開拓している。 ▲多彩なイベントにより、PS2版をプレイしたファンも新たな発見をしながら楽しめる。

■戦闘が難しいなら逃げればいいじゃない。武器が高いなら盗めばいいじゃない!!

長雨:そういえば、田中さん。私、発売されたばかりの移植版『ユーディーのアトリエ』をプレイしている最中なんですが……戦闘が難しいです。フィールドを移動中に、いきなり強い敵に遭遇したりとか……。これ、なんとかなりませんか?

田中:ユーザーの方にも、よく言われます(苦笑)。でも、実はコツさえつかめば簡単なんですよ。ユーディーは錬金術士なので、魔法タイプな人と思いがちですよね。でも魔法を多用すると、MPがなくなってすぐに倒れちゃう。『ユーディーのアトリエ』は、HP・MP・LPのどれか1つでも0になると倒れてしまいます。それを防ぐためにも、彼女の攻撃には錬金術で作る爆弾を利用するわけですよ。

長雨:あー、なるほど。爆弾は本当に強力だし便利ですよねぇ。自分で作る以外にも、街の中にある量販店で購入することも可能ですし。

田中:その他にも量販店では、自分で作った品質がいいアイテムを登録しておけば、自動的に複製を作ってくれますもんね。

長雨:爆弾以外にも、薬とか食べ物の量販店もあったような……。それぞれに高性能なものを登録しておけば、常に品質のいいアイテムを購入できる環境が整うと。量販店の使い方が、ポイントになっていたんですね。なんか、どんな冒険でも大丈夫な気がしてきました(笑)。あと、敵もMPやLPを0にしちゃえば倒せるっていうのも意外に大事ですよね。

田中:そうですね。たとえば、お化けみたいな姿をした敵・ゲシュペンストは、MPしかないんですよ。だから、倒すにはそれを減らすしかない。普通に考えるとユーディーが覚えるMPダメージを与える魔法・エンゲルスピリットを使いたくなるところですが、ゲシュペンストがMPを消費する“夜想曲”をいう技を使うのを待って、勝手に成仏してもらうなんて手もあります。

長雨:そういえば、アイテム制作のレシピを確認できる図鑑に、モンスター情報も入ってるんですよね。それを見れば、戦闘のコツも見つかりやすいかも!

田中:あとは、いっそ逃げるのも手ですよ。勝てないと思ったら、まずはさっさと逃げてください。敵が強いからといって、街に閉じこもっているのが1番ダメです。逃げまくってでもいいから、とりあえずいろんな街に行ってみてほしい。そして5つの街すべてに行けるようになったら、いよいよ本当の冒険のスタートです。

長雨:ってことは、私はまだスタート地点にすら立っていない……(汗)。頑張って、最後の1つの街に行かないと! でも確かに街によって売っている参考書(錬金術のレシピが載った本)や、調合に使う道具も違いますもんね。まずは、その当たりを全部集めることから始めたほうがいいのかも。

田中:そのとおり。だから、最初は武器や防具なんて買わずに、参考書とかを買った方がいいですね。その代わりと言ってはなんですが……武器なんて敵から盗めばいいんですよ(笑)。

長雨:盗むんですか!! 確かに、未来に飛ばされたユーディーに活動拠点を貸してくれた高利貸しのヴィトスのスキルに“???”っていうのがありますけど……。それでアイテム盗めますけど……。私、すっかり貴重なドロップアイテムを持った敵に使うもんだと思っていました。

田中:もちろんそれも手ですけど、あれです、盗めるものは全部盗んでしまうといいんですよ! そうすれば、武器や防具への投資がいりませんからね。敵の盗賊とか、いい装備を持っていますよ?

長雨:言いきった!! そんな節約(?)テクニックがあったんですね。知らなかったです。でもそういう仲間のスキルを利用するとなると、パーティ編成って実は重要だったりしますか?

田中:あー……ついつい趣味で選んでいると、自滅することが多いでしょうね。

長雨:やっぱり。私、序盤はヴィトスと他の『アトリエ』シリーズにも登場した錬金術士・ヘルミーナを愛ゆえに連れ歩いて、かなり苦労しました。

田中:それは、茨の道でしょうね。ヘルミーナは魔法が強いイメージがあるかもしれませんが、ぶっちゃけ意外にそうでもないですから。オススメのパーティは、ヴィトスと農業の街・リサで会える女剣士・エスメラルダ。ヴィトスに“???”でアイテムを盗ませて、エスメラルダで仕留めるというパターンですね。

長雨:物理攻撃系1人、素早さ&器用系1人、主人公はアイテムでサポートといった感じで、という戦い方ですか?

田中:そのバランスが理想だと思います。あと溶鉱炉の管理者・ボーラーや農業を愛するマルティンは、外見こそ強そうなおじさんですが、お仕事があるので冒険に帯同できるエリアが限られているんです。そういう点も考慮しながら編成するといいかもしれません。

好評発売中のPSP『ユーディーのアトリエ』ディレクターさんと対談してみた! 好評発売中のPSP『ユーディーのアトリエ』ディレクターさんと対談してみた!
▲爆弾を使うと、モンスターに協力なダメージを与えられる。錬金術士レベルが上がり、より強力な爆弾を作ることも可能に!! ▲量販店に登録すると、いつでもそのアイテムを作ってくれる。ただし買える数には限りがあるのでご注意を!
好評発売中のPSP『ユーディーのアトリエ』ディレクターさんと対談してみた! 好評発売中のPSP『ユーディーのアトリエ』ディレクターさんと対談してみた!
▲ヴィトスの持っているスキル“???”。名前だけでは何かわからないが、実は“盗む”コマンド。モンスターの落とすレアアイテムや防具など、なんでも盗んでしまおう。 ▲戦闘に連れていけるのは3人まで。前衛、後衛など配置を変えることもできる。物理攻撃系は前、体力に自信がないサポート役は後衛と、役目に合わせて配置すること!!

■『アトリエ』といったら“調合”も重要。いや、調合が重要。

長雨:さて、調合マニアの私には無縁の話ですが、ユーザーさんの中には“調合”で四苦八苦される方もいるのではないでしょうか?

田中:確かに、属性とかを気にしだすととても大変ですよね。

長雨:調合したアイテムに付く品質と属性は、常に気を配らないといけないポイントですもんね。酒場で受ける調合依頼でも、ちゃんとした品質のものを納入しないと報酬がかなり削られて、大変な目に遭いますし。ゲームの世界ですが、何事も誠意が必要なんだと思い知らされます……。

田中:品質については、調合する時に使用材料の鮮度などに気をつけてもらうしかないですね。いい物を使えば、いい物ができます。属性については、中和剤をうまく使うといいですよ。

長雨:中和剤、ですか?

田中:たとえば“かっこいい”という属性が付いた素材を使って中和剤を作ると、“かっこいい”属性を持った中和剤ができます。この中和剤を使ってアイテムを作ると、それでできたアイテムにも確実に“かっこいい”の属性が付くと。これをうまく利用していけば、酒場の高品質を必要とされるような依頼も問題なくこなしていけるわけです。

長雨:中和剤がポイントだったんですね。私、結構適当にそこいらにある井戸水とかで作っちゃっていました(汗)。

田中:ただし、中和剤は壊れたアイテムとかからで作ることができますが、完成する中和剤は粗悪なもので、それで作るアイテムも品質が低くなるという悪循環になっちゃいます。とにかく、必要ない素材は新鮮なうちに中和剤にしてください。

長雨:植物系の素材はいつのまにか鮮度が下がって壊れたアイテムになって、コンテナを占領していますからね。こまめに中和剤にするといいかも。

田中:あとは、女神の街・アルテノルトにある氷室(ひむろ)を利用するとかね。ここに預けると、素材の鮮度を一定に保てるのでいいですよ。

長雨:管理人のお兄さんも、クールな感じでステキですしね! 難点は、アルテノルト以外にアトリエを構えている時(※)、微妙に遠いことでしょうか? 自分の街へ運ぶまでの間に劣化する危険もあるので、そこには注意が必要ですね。

※『ユーディーのアトリエ』では、拠点となるアトリエをどの街にも引越しさせることができる。

田中:アトリエといえば、長雨さんはどこの街を拠点にするのが1番ラクだと思いますか?

長雨:私は、序盤から行ける商業の街・メッテルブルグですね。とりあえず薬、料理、爆弾の量販店がそろっていますし、武器屋もありますし。武器は盗めって言われましたけど(笑)。あとは学者の街・ヴェルン、農業の街・リサ、鍛冶の街・プロスタークの3つの街に直接行けるアクセスのよさもありますね。お金を稼いだり、錬金術の腕を鍛えるためにはいい環境だと思いますよ。でも料理系のアイテムを作りたいなら農作物が豊富なリサ、鉱石系を使うならプロスタークのほうがいいんですよね……。とりあえず、自分の作りたいアイテムの系統に合わせて移り住むのが理想ですかね?

田中:そうなりそうですね。あと後半になると“ファクトア神殿”に挑むことになるので、神殿近くのアルテノルトを拠点にする人が多くなるのかな。でもそれは、本当に後半の話。まずはどこを拠点にしてもいいので、図鑑を全部埋める勢いでアイテムを作ってみてください。

長雨:アイテム調合していくと、意外と簡単に錬金術士レベルも上がっていきますしね。たぶんお金をあまり使いたくない人って、調合に使う道具を節約しちゃっているんじゃないかな? 先ほど田中さんも言っていましたが、道具は絶対に買っといた方がいいですよね。道具があると、とにかく調合の成功率が上がりますから!! 素材をムダにすることが少なくなります。

田中:安いものが多いですしね。あと、調合でも地味にMPなどを消耗します。連続で調合していると倒れちゃう危険もあるので、適度にスケジュールの“休む”を実行してください。

長雨:なんだか、実際のゲームプレイに似ていますね(笑)。適度な休憩を入れながら、楽しむのが大事!!

好評発売中のPSP『ユーディーのアトリエ』ディレクターさんと対談してみた! 好評発売中のPSP『ユーディーのアトリエ』ディレクターさんと対談してみた!
▲素材の中には、まれに属性が付いているものも!! ただし、いい効果と悪い効果があるので、いい効果の素材を拾えたら、痛んじゃう前に調合に使ってしまおう。 ▲時間が経つと、素材は壊れたアイテムに変化してしまう。必要に応じて採集したり購入するか、入手したらすぐ使うこと!!
好評発売中のPSP『ユーディーのアトリエ』ディレクターさんと対談してみた! 好評発売中のPSP『ユーディーのアトリエ』ディレクターさんと対談してみた!
▲作ったアイテムは依頼で必要になる意外にも、冒険でさまざまな助けとなってくれる。薬や補助アイテムを持って行けば、戦闘がラクになること間違いなし。 ▲最初は氷室に入ることができないが、何度か訪れるうちに利用可能に。アルテノルトに行ったら、必ず立ち寄ってみよう。

→次ページでは、新キャラ・スフィアと出会うための
とっておき情報を公開!(2ページ目へ)

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データ

▼『ユーディーのアトリエ~グラムナートの錬金術士~囚われの守人』
■メーカー:ガスト
■対応機種:PSP
■ジャンル:RPG
■発売日:2010年4月8日
■価格:5,040円(税込)
 
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