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2010年5月20日(木)

【経営者は語る 第6回】WeMade Online代表取締役 崔鍾玖氏インタビュー

文:電撃オンライン

■生活重視のコンセプトに立ち戻る『AILA Online』、もともと日本市場に合った性格を活かす『81keys』

『【経営者は語る 第6回】WeMade Online代表取締役 崔鍾玖氏インタビュー』

崔 鍾玖氏:日本国内にも大手パブリッシャさんが並び立っていますが、新規サービスタイトルを探して獲得することはなかなか大変なのですが、『AILA Online』と『81keys』については相性が良かったと言うべきか、割と最初からスムースに話が運びました。

──『AILA Online』はもともと、生産要素重視の『Life Online』というゲームでしたよね?

崔 鍾玖氏:そうです。それで戦闘主体の作品がメジャーな韓国では当初あまりうまくいかず、あとから戦闘要素を充実させて『N.E.O Online』としてデビューしたものの、あまりぱっとしない結果に留まっていたのです。

 ですが当社内部で試した範囲では良好な作品であり、元々のコンセプトである生産要素を今後充実させる前提で、パブリッシングの話がまとまりました。純粋に「日本でサービスするならこういう方向にしたい」という考えを、半年くらいかけてまとめて伝えたのですが、それが『Life Online』企画者の考えと一致したのです。

──韓国で所を得なかった作品コンセプトが、日本市場特有の嗜好で日の目を見ることになるのであれば、大変興味深い話ですね。しかし、さすがに日本市場でも戦闘でなく生産要素を重視した作品は数えるほどしかなく、そうした作品が基本無料の場合、精錬のためのブーストアップアイテムなどで収益を立てるのが定番のようです。『AILA Online』のマネタイズ(収益化)について、現時点ではどうお考えですか?

『【経営者は語る 第6回】WeMade Online代表取締役 崔鍾玖氏インタビュー』

崔 鍾玖氏:ええと、そこについて私から意見を述べたりはしていないのですが(笑)。『AILA Online』の運営の現場ではつい最近、「ダメ出しアンケート」なるものを実施しました。そこでプレイヤーさんから反対意見の多かったものについては、ゲームに導入していません。精錬用ブーストアップアイテムについては案の定、批判的な意見が強かったわけです。プレイヤーさんの基本的な要望を救い上げる形で有料アイテムを投入していくのはもちろんなのですが、今回は現場の判断が理解できるものでしたので、その判断を尊重しています。

 実際、なかなか悪くない同時接続プレイヤー数に比べて、売り上げは正直芳しくありません。しかし、もともと多くのプレイヤーさんに長くプレイしてもらいたいという狙いで始めたサービスですから、様子を見ながらよく考えていきたいと思います。

──急峻なピラミッド状でなく、なだらかな課金プレイヤー分布で考えているわけですね。

崔 鍾玖氏:そのとおりです。それからちょっと裏話めいたエピソードになりますが、『AILA Online』の原型である『Life Online』の企画担当者は、かつて『SEAL ONLINE』を手がけた人物なんですよ。

──つまりYNK KOREA(『SEAL ONLINE』の元開発担当・グリゴンエンターテインメント)を退職後、SONOKONG/SONOVに移った方だと。ちょっとおもしろい縁ですね、それは。

崔 鍾玖氏:ええ。『SEAL ONLINE』の運営を手がけてきた我々の要望を取りまとめてみたら、『AILA Online』本来のコンセプトに近づいていたという話も、まさに縁かもしれません。

──では続いて『81keys』についてですが、wayi(華義)さんとはもともと交流があったんでしょうか?

崔 鍾玖氏:いいえ。実を言うと2009年の東京ゲームショウが初顔合わせです(笑)。続いて11月に韓国のプサンであったG★(ジースター)でも話をして、12月には契約に到りました。『81keys』については、パブリッシャとしてほとんど手を加えていません。台湾には過去3回くらい行っていますが、台湾のオンラインゲーム市場と日本のオンラインゲーム市場は確かにいろいろ違うものの、好まれる作品の性格が似ているんですよ。

──ビジュアルやゲーム性の好みは、比較的日本と近い、と。

崔 鍾玖氏:そう認識しています。実際に『SEAL ONLINE』は日本と台湾どちらでも受け入れられましたし、アニメチックな表現、萌え系、カワイイ系のグラフィックスを好む人が大勢いるということですね。その点はむしろ韓国とは似ていません。『81keys』はもともと萌え系、カワイイ系のテイストを持っていますし、私がプレイした範囲でも、4頭身キャラと6頭身キャラが並存しているところや、自転車などさまざまな乗り物があるところ、キーアイテム集めに関連して長いスパンのストーリー要素があるところなどは、たいへん良いと思いました。これらをそのまま活かしていきたいと思います。

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──しかしちょっと気になるのは、台湾市場におけるゲームのライフサイクルです。台湾におけるオンラインゲーム1本あたりのサービス期間は、日本や韓国と比べてすごく短く設定されていますよね。アップデートコンテンツに不安はありませんか?

崔 鍾玖氏:おっしゃるとおり、それが台湾市場の特徴ですね。ですがその点については心配していません。というのも、日本でのサービスが台湾サービスとまったく同じペースで進むわけではないからです。台湾サービスは現時点で1年ほど先に進んでいます。そして日本におけるサービスを自社できちんと考える限り、むしろ台湾で新コンテンツがどんどん作られるほうがいいのです。

──なるほど、開発サイドが「このゲームはここで終わり!」という感じで見切りをつけてしまう心配も、まずないということですね。

崔 鍾玖氏:wayiさん自身、パブリッシャから始まって開発を兼ね備えた会社ですからね。お互いに理解できる事柄も多いですから、この提携は有意義なものになると考えています。

──『SEAL ONLINE』のパブリッシャとして、可愛らしいキャラクターとライトなゲーム性の組み合わせには、大きな期待を寄せていますか?

崔 鍾玖氏:第二の『ラグナロクオンライン』になってくれれば、もちろん言うことなしですが、さすがにそれは並たいていのことではないでしょうね(笑)。あえて大きくカテゴライズして現在のオンラインゲームを語ってみるなら、グラフィックス性能面でPCにハイスペックを要求する作品が増えてきたように思います。ソニーさんと任天堂さんを引き合いに出したのでは、あまりに話が大きすぎるかもしれませんが、美しいグラフィックス表現だけが、ゲームを魅力的にするわけではありません。お客様が手軽にプレイできて、さらに魅力的な仕組みがいろいろ入った作品というのが、一番よいと考えています。まあもちろん、グラフィックス面で飛び抜けた作品もサービスラインナップには欲しいですけどね。

──ところで新作2本についてそれぞれ、「ここまでにこうなりたい」といった具体的な目標は設定していますか?

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崔 鍾玖氏:どちらについても、もちろん内部ではある程度幅を持たせた目標数値を持ってサービスに臨んでいますが、ごめんなさい、それはいまちょっと明かせません。内部で立てた目標プラスαくらいの実績を上げつつありますが、その発表については、いましばらく時間をください。

──……さしあたり順調であるということですね。了解しました。

 ■新作タイトル・モバイルゲーム・SNS“WeMade効果”は来年から



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