2010年5月28日(金)
『FF9』はクリスタルが紡ぐ『FF』シリーズの集大成!【FF特集】
電撃オンライン読者の皆さん、初めまして! フリーライターのてっけんと申します。電撃オンラインでお仕事をするのは初めてですが、今日は僕の大好きな『ファイナルファンタジー9(以下、FF9)』を紹介させていただけるということで、ホイホイこちらまで出向いてきた次第。皆様以後お見知りおきを!
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さて、そもそも皆さん『FF9』って遊んだことありますか? シリーズのターニングポイントになった『ファイナルファンタジー7(以下、FF7)』や『ファイナルファンタジーX(以下、FFX)』なんかはしばしば熱っぽく語られているのを見かけるんですが、『FF9』について書かれたレビューや感想ってあんまり見かけないですよね。
国内出荷本数(2010年3月末現在)を見ても、『FF7』の410万本、『ファイナルファンタジー8(以下、FF8)』の370万本に対し、『FF9』は280万本とあまり振るいませんでした。
でも、じゃあ『FF9』っておもしろくないの? と言われれば、断じてそんなことはありません! PS後期に発売された本作は、『FF7』、『FF8』と続いたPS版シリーズのまさに集大成とも呼べる内容で、グラフィック、システム、ストーリーなどなど、いずれも当時の作品としてはトップクラスの完成度を誇っていました。
それなのに、遊んでいる人数は『FF7』や『FF8』の方が圧倒的に多い……これってすごくもったいないと思いませんか!? 僕は思います!
てなわけで今回はアーカイブス化を祝して、そんな『FF9』の魅力を余すところなくた~っぷりとお伝えしていきますので、当時ハマった人も、『FF9』をまだ遊んだことがない人も、ぜひぜひ購入の参考にしていただければ幸いです。
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▲PSのハードスペックを限界まで生かしきったグラフィックは、今見てもまったく色あせることがありません。これが10年前の作品だというのだから驚き! |
●動画:名作『FF9』で“なわとび”10,000回に挑戦!
■クリスタルが紡ぐ物語――テーマはズバリ“原点回帰”!
さて、最初はやっぱり本作品のテーマである“原点回帰”について触れておきましょう。
タイトルロゴにも描かれていますが、本作では物語を象徴するモチーフとして、久々に“クリスタル”が復活。また世界観も『FF7』や『FF8』のような近未来路線から、初期シリーズを思わせる中世ファンタジー路線へとふたたび立ち返っており、まさにファミコン・スーパーファミコン時代の“古きよき『FF』”をそのままPSへと持ち込んだような内容となっています。
あの懐かしい手触りをもし3Dで再現したら一体どうなるんだろう……なんて考えると、ほらほら、なんだかちょっとワクワクしてきませんか?
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▲世界観は初期『FF』シリーズを思わせる中世ファンタジー路線に回帰。キャラクターの頭身も下がり、ファミコンやスーパーファミコン時代のイメージに近くなりました。 |
他にもイメージアートに天野喜孝さんを再起用していたり、過去の作品に登場した地名やメロディが随所に登場していたりと、シリーズファンなら思わずニヤリとしてしまうような要素が満載。
バトル開始時の「デデデデデデデデ……」というイントロを聞いただけで鳥肌が立ってしまう人もきっと多いんじゃないでしょうか。そう、本作には、今までのシリーズを振り返りながら遊ぶ“思い出探し”の楽しみもあるんです。
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▲天野喜孝さんが描いたイメージアートの数々。『FF』シリーズはやっぱり天野絵じゃないと! って人もきっと多いハズ。 |
■物語の幕開けは“王女誘拐”から!
冒頭からいきなり怒濤(どとう)の勢いでプレイヤーを引き込んでくれるストーリーや、個性あふれるキャラクターたちも本作の大きな魅力の1つ。盗賊団タンタラスの一員であるジタンはある日、王女ガーネットを誘拐するため、劇場艇プリマビスタにてアレクサンドリア王国を来訪します。
劇団員に化けたジタンは見事ガーネットを見つけ出しますが、聞けばガーネットの方でも城からの脱出を画策していたとのこと。利害が一致した2人は、プリマビスタに乗り込み王国からの逃亡をはかりますが……。
“王女誘拐”とくれば、まさにボーイ・ミーツ・ガールの王道! さらに王女を追ってきた騎士団長のスタイナーや、たまたま劇場艇に乗り込んでしまった黒魔道士の少年・ビビも一行に加わり、物語は思わぬ方向へと転がっていくことになります。序盤は結構コミカルな展開で、随所に笑いを散りばめながらテンポよく進んでいくあたり、まさしく「これぞ『FF』!」といった感じです。
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▲ジタン・トライバル:本作の主人公で、盗賊団タンタラスのメンバー。性格は明るく、頭で考えるよりも心で判断し行動するタイプ。 | ▲ガーネット・ティル・アレクサンドロス17世:アレクサンドリアの王女。与えられた環境で生きることに疑問を抱き、城を飛び出す。 |
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▲ビビ・オルニティア:黒魔道士の少年。気弱な性格で周囲に流されやすいが、旅を続ける中で強く成長していくことになる。 | ▲アデルバート・スタイナー:アレクサンドリア王国男兵騎士団“プルート隊”隊長。騎士としての道を何よりも重んじる実直な男。 |
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▲エーコ・キャルオル:召喚士一族の生き残り。ませた言動は孤独をまぎらわすための強がりで、実は支えてくれる人を常に求めている。 | ▲クイナ・クゥエン:とにかく食べることが大好きな、ク族の若者。モンスターを食べることで、その技を習得する青魔法の使い手。 |
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▲フライヤ・クレセント:恋人を追って旅を続ける、ブルメシアの女竜騎士。決して表には出さないが、その心には葛藤が渦巻いている。 | ▲サラマンダー・コーラル:“焔色のサラマンダー”と呼ばれ、自らの拳のみを頼りに生きる孤高の用心棒。ジタンとは何か因縁が? |
どのキャラクターも個性的な魅力にあふれていますが、筆者のお気に入りはやっぱり、気弱な黒魔道士の少年・ビビ。とんがり帽子にローブという外見のかわいらしさもさることながら、物語を進めるにつれ明らかになっていく生い立ちと、過酷な運命にも屈せず、向き合おうとするその姿にはきっと誰もが涙したはず。
食いしん坊でカエルが大好きなクイナや、頑固で仕事一筋なスタイナーなど、キャラクターにバリエーションがあってイイですね。
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▲本作はジタンやガーネットの物語であると同時に、ビビの成長物語でもあります。気弱な少年だったビビが、最後はどのように成長していくのか……。 |
■アイテム集めが楽しくなる、独自の“アビリティシステム”
戦闘システムは、『FFIV』以降の伝統であるアクティブタイムバトル(ATB)システムを採用。各キャラクターに用意されたATBゲージが満タンになると行動が可能になる、『FF』シリーズではおなじみのシステムですね。
そして『FF』と言えば忘れてはならないのが、戦略のバリエーションを広げてくれる豊富な“アビリティ”の数々です。本作におけるアビリティは、武器や防具・アクセサリなどから習得できる形となっており、たとえばダガーを装備して戦えば“とんずら”、とんがり帽子なら“プロテス”を習得することが可能。
一度おぼえたアビリティは装備を外した後も使うことができるため、当時はストーリーそっちのけで、アビリティ習得に夢中になっていた記憶があります。アイテムの数だけアビリティが存在するため、自然にアイテム集めのモチベーションにつながっているのもうまい仕掛けですね。
ちなみに筆者のオススメはなんと言っても、シーフの帽子から習得可能な“ぶんどる”! アイテム集めが重要な本作において、攻撃しつつアイテムも盗んでくれる“ぶんどる”は、最初から最後まで使える超重要アビリティの1つ。中盤以降はさらに、ぬすむが成功しやすくなる“盗賊の極意”や、レアアイテムを盗みやすくなる“目利きの手触り”なんかも組み合わせると、より充実した盗賊ライフを満喫できるのではないかと思います。
こんな感じで、「これとこれを組み合わせたら最強じゃね!?」、「そのためにはまずこのアビリティを習得して……」と、自分なりの戦略をあれこれ妄想するのも本作の楽しさ。もちろん上記はほんの一例ですので、ぜひ自分だけの組み合わせを見つけて、「俺TUEEEEE!」と自己満足にひたりまくってみてください。
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▲『FF7』、『FF8』は3人パーティ制でしたが、今作では4人パーティ制になり戦略の幅がぐっと広がりました。 |
■充実のミニゲーム! 寄り道しすぎにご注意を
物語の本筋以外にも、なわとびやカエル取り、チョコボ育成といった“寄り道要素”がやたら充実しているのも本作の特徴でした。中でも特筆すべきはやはり、さまざまなカードを集めて戦う“クアッドミスト”というカードゲームでしょう。
これは前作『FF8』にもあったカードゲーム要素をさらに発展させたもので、前作同様、ゲーム内で大流行しているカードゲームという位置づけ。カードはゲーム中のあちこちで手に入り、5枚以上持っていれば街の人たちに勝負を挑むことができます。
ちとルールが複雑なので詳しい説明は省きますが、全100種類のカードを集めるのは相当大変で、これまた本編そっちのけで熱中していた記憶が……。ちなみに負けると虎の子のカードを奪われてしまうのが恐くて、いつも余っているカードばかり使っていたチキン野郎です、ハイ。
このゲーム、のちに『テトラマスターFrom FINALFANTASY 9』と名前を変えて、スクウェア・エニックスの総合的なネットワークサービス『PlayOnline』のコンテンツとしてリリースされていたりもします。これってつまり、これだけでも1本のゲームとして十分に成立するってことですよね。
ゲーム本編だけでも相当なボリュームなのに、さらにオマケで別のゲームがまるまる1本入っているとは……なんと太っ腹な話でしょうか。ハマりすぎると本編がまったく進まなくなってしまうので、くれぐれも注意しながら遊んでくださいね。
他にも、いきなり○×クイズを出題してくるモンスターや、貴重なアイテムを競り落とすことができるオークションなど、本当にいろんなお遊び要素があって飽きさせません。『FFI』や 『FFII』のころから、15パズルや神経衰弱といったミニゲームはありましたが、こうしたサービス精神もまた『FF』らしさの1つと言えるかもしれませんね。
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▲クイナが仲間になると、各地の沼で“カエル取り”ができるように。他にも遊びきれないほどのミニゲームが用意されています。 |
■これを遊ばないのはもったいない!
さてさて、そんなわけで駆け足で『FF9』の魅力を紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。まだまだ伝えきれていない魅力はたくさんありますが、続きはぜひダウンロードして、実際に確かめてみていただければと思います。
冒頭でも書きましたが、『FF7』の410万本に対して『FF9』が280万本しか売れていないってことは、『FF7』は遊んだけど『FF9』は遊んでない人が差し引きで130万人はいるってことなんですよね。
たしかにPS後期の作品ですし、『FF7』発売時ほどのインパクトはありませんでしたが、ゲームの完成度としては間違いなくPS史上最高の1本に数えていい。内容も『FFI』から『FF8』まで、すべての『FF』シリーズの集大成と呼べるもので、これを遊んでいないのは本っっっ当にもったいないと思います。アーカイブス化を機に、少しでも多くの人がこの名作に触れ、エンディングで流れる『Melodies of Life』に涙してくれたらうれしいかぎりです!(てっけん)
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▲古きよき『FF』のエッセンスと、当時の最先端技術とが奇跡的なバランスで結びついた名作。ぜひこの機会に遊んでみてください! |
(C)2000 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. Illustration/(C)YOSHITAKA AMANO
データ
- ▼『ファイナルファンタジーIX』
- ■メーカー:スクウェア・エニックス
- ■対応機種:PS3/PSP
- ■ジャンル:RPG
- ■発売日:2010年5月20日
- ■価格:1,500円(税込)