2010年6月20日(日)
この1~2年、オンラインゲームにアクションRPGの波が訪れている。その中身も、ゲーム史に残る往年の名作を思わせるレトロなものから、華麗かつド派手な3Dグラフィックが売りのものまでバリエーションは豊か。どこか作業じみた、長時間プレイ必須のMMORPGよりも、気軽にプレイできて爽快感が味わえるオンラインACT・RPGに、時代は動きつつあるようだ(あくまでも筆者の印象ではあるが)。
さて、どこかのTVショッピング的なノリだが、そんなアクションゲーム好きにオススメしたいのが、今回紹介する『クロスブレイブ』! ジャンルとしてはベルトアクションと呼ばれる斜め上から見下ろした視点で、奥行きのある横スクロールタイプ。最大4人でのパーティプレイが可能なMORPGだ。ベルトアクションは家庭用ゲーム機のジャンルとしてはメジャーだが、日本のオンラインゲームでは数えるほどしか登場していない。そのためタイトル同士でどうしても比較してしまいがちだが、本レポートでは、そのなかでも『クロスブレイブ』らしさを、クローズアップしてお届けしていこう。
▲俗にいう『ファイナ〇ファイト』タイプのようだが、キャラクターのレベルアップや装備品の強化などによって、プレイヤーの腕をカバーできる。アクションが苦手な人でも、時間をかければクリアできるので、初心者でも安心。 |
袋こ~じの気になるキーワード5段階評価 | ※★…1点、☆…0.5点 |
純ファンタジー度 | ★★★★ |
アバター性 | ★★☆ |
お手軽爽快感 | ★★★ |
遊びの多彩さ | ★★★☆ |
親切丁寧度 | ★★★★★ |
前述のように『クロスブレイブ』は横スクロール型のゲームシステムだが、グラフィックはすべて3Dで描かれている。キャラクターたちは3Dならではの陰影がクッキリとした質感があり、クオリティは高いほうだ。モーションもスムーズかつ違和感がなく、なかなかカッコイイ。ただし、8頭身とリアルな筋肉美は基本的に“萌え”とは程遠い世界なので、一部のニーズには応えられないかもしれない。舞台背景が、中世ヨーロッパをベースにした純ファンタジーゆえに、無理にウケを狙ってアニメ的なテイストなどを入れてない点は潔いと思う。
ACTというジャンルの性質上、主軸に置かれるのは戦闘(アクション)部分なので、ストーリーは二の次という人も多いかもしれない。が、世界観のことがチラリと出たので簡単に触れておこう。
はるか昔、魔物たちを引き連れ世界を混沌に陥れた邪黒竜・ファフニール。善竜アナンタは、勇気ある人間たちとともにファフニールを封印する。だが、その直後に超常現象「エーテル・ストーム」が発生し、生態系は深刻なダメージを受けてしまう。被害を抑えるためアナンタは、その身を犠牲にしてエーテルストームを食い止めたるのであった……。そして百年以上もの時が流れ、人間たちは偶然にも邪黒竜の封印を解いてしまう。世界は再び魔物が溢れ返り、人々の生活は脅かされ始める。そこで伝説の勇士たちの血を受け継ぐプレイヤーたちが立ち上がり……という王道中の王道といった感じのプロローグ。逆に分かりやすくアレコレ深読みをしなくても、目の前の敵を倒す勧善懲悪なノリは正直心地よい。
▲とにかく背景などの細部にいたるまで描き込みがスゴイ。まったり移動するMMORPGと違い、誰も見ないだろうって部分もキレイに描かれており、グラフィックへの強いこだわりを感じる。 |
キャラクター作成時にプレイヤーが選べるのは、剣闘士、武術家、魔導師の3クラス。剣闘士のみ男女のいづれかを選べるが、武術家は男性のみ、魔導師は女性で固定となっている。フェイスタイプと髪型は、各5種類ずつから選べるようだが、クローズドベータテスト(以下、CBT)では一部のみ選択できた。キャラクターのカスタマイズはそこそこ高いが、画面上に表示されるキャラクターが小さめなので、髪型はまだしもフェイスタイプの違いとなると判別しにくいのが残念だ。
また、クラスは現時点で3つのみ。レベル25になると各3つの上級職が用意されているが、やはりバリエーションの少なさは否めない。同じ職業でも武器の違いで個性を出せるMMORPGと違い、アクションゲームでは大幅に戦闘スタイルを変える方法がない。こればかりは新クラスの追加など、今後のバージョンアップに期待するしかないだろう。ひとまずは、CBTでプレイできた基本3クラスのファーストインプレッションを語っていこう。
▲リアル系であるものの、女性キャラクターは結構可愛かったりする。なのに、正面からの姿を見れるのはキャラメイクのみという切なさ。 |
CBTで唯一、男女両方が選べたクラス。男性はクールな騎士、女性はお姉さまといった感じのデザイン。武器は片手剣で攻撃速度が早く、攻撃力も高い。さらにキャラクターを中心に上下への当たり判定が広いスキルが多いため、適当に剣を振っているだけでもなんとかなる初心者向けクラスだ。基本攻撃時に勝手に前進するため使いにくい……という人もいるようだが、それは攻撃の特性を活かせてないだけ。キチンと間合いを調節したり、キャラが大きく移動してしまう3回目の攻撃を出さないなど工夫すれば問題ない。間合いの離れた敵にも攻撃しながら接近できるので、うまく使えば非常に便利だ。攻撃範囲の広いスキルや、敵を何度も切り刻むスキル、敵の攻撃でのけぞらない”ハイパーアーマー”になりつつ戦えるスキルなど、力任せで豪快な剣技が目白押し。ゴリゴリと戦いたい人にはオススメだ。
▲扱いやすい、というより何も考えずに剣を振っていればひとまずOKなマッチョクラス。初めて『クロスブレイブ』をプレイする人にオススメだ。転職後は白騎士、黒騎士、狂戦士と筆者の中二病を刺激するラインナップが! |
CBTでは、男性しか選択できなかった武術家は、上半身裸で刺青を彫ったワイルドな青年姿だ。剣闘士と同様、近距離での素早いラッシュが得意だ。攻撃範囲などは剣闘士に一歩譲るものの、スピードの速さを活かしてアクティブに動き回れば問題ない。また、“気”を操った遠距離攻撃(飛び道具)など、距離を問わないオールラウンドな活躍もできる。上位クラスになれば、この“気”を極めて敵を弱体化させる能力も扱えるようだ。
筆者が見たなかでは、武術家を使用するプレイヤーが多かった。相手をつかんで投げるスキルなど、武術家ならではのコンボが豪快で楽しい。
▲剣闘士の影に隠れてしまい、存在がやや地味な武術家。飛び道具をMP消費なし&クールタイム短めで出せれば、その個性が活きたと思う。転職後は念術士、邪闘士、格闘家とかなりスキルの方向性が特化されそう。 |
CBTでは女性のみ選択可能。“萌え”の要素はないと書いたが、幼さの残る元気系の少女キャラは、本作唯一のかわいさ担当。エーテルの力を操り、自然現象によく似た魔術を使う。通常攻撃がファイアボールを撃つ技のため、遠くから敵を一方的に攻撃できるのが強み。ただ、上下への当たり判定は弱く、少し軸がズレるだけで当たらなくなる。体力や防御力も低く、スキルも発動に時間がかかるものが多いため、接近戦はイマイチ苦手。その分、敵を凍結させたりトリッキーなコンボなど、テクニカルな攻撃ができる。と、書いたものの魔術ではないダッシュ攻撃が強力。発動が早く、ヒットすれば敵のダウンを奪え、なおかつ長めの無敵時間もあり、魔導師最強の技かと思われる。意外に肉体派だ。
▲せっかくのファンタジーなんだし、近接タイプじゃおもしろくない! ということで筆者がメインでやったのがコレ。派手なスキルが多いが、発動が遅いためパーティプレイではちょっと存在が薄いかも。霊媒師、元素師、聖職者へ転職が可能。個人的に聖職者が気になる。 |
スキルやコンボなどのゲーム性、操作性は『クロスブレイブ』の最重要ポイントの一つだが、ここはあえて見た目、“アバター性”についてもう少し突っ込ませてほしい。
装備品は一部を除いてキャラクターの外見に反映される。大きく世界観を壊すような奇抜なデザインは少なく、どれもカッコよい&カワイイのは嬉しい。ただ、CBTでは種類が豊富とはいえず、そのレベル帯で最強の装備を目指せば、誰もが同じ見た目になるのが残念だった。最大4人の部隊(=パーティ)を組むと、ほぼ確実に自分と同じ姿のキャラクターが鉢合せ……なんてことも。
本作にも流行(?)のオシャレ装備スロットがあり、課金アイテムで装備の性能を維持したまま、見た目だけを変更できる。ヘアスタイルが変わるウィッグなどもあるため、印象はかなり変わる。しかし、このオシャレ装備が各クラス専用品で、さらにかなり高レベルでないと装備できないものも多い。CBTでは低レベル向けのオシャレ装備が各クラス3種類ずつはあったが、こちらももう少しバリエーションを持たせないと結局同じ結果になるだろう。ゲームバランス調整など優先すべき部分はあるが、とかくコーディネートなどで個性を出したい人が多いオンラインゲーム。今後、装備の幅が広くなることを期待したい。
バトルを繰り広げる戦闘マップは、複数の小マップで一つのステージが構成されており、マップ内の敵をすべて殲滅すると次のマップへの道が開ける。最終的にマップのどこかにいるボスを倒すとステージクリア。分岐ルートもあるが、ボスを倒すまでは自由に行き来ができ、一度倒した敵がリポップすることはない。
戦闘中の操作は、矢印キーによる前後左右の移動と特殊攻撃がZ、通常攻撃がX、Cでジャンプの組み合わせがデフォルト。プレイヤー側で自由にキーコンフィグが可能だ。通常技は地上なら4回連続入力ができ、ジャンプ中は1回のみ。移動キーを同じ方向に2回押せばダッシュ、ダッシュ中に攻撃を出せばダッシュ攻撃になる。
各クラスによって細かい違いはあるが、大別すると地上技、空中技、打ち上げ技の3系統がある。コンボなどの受付判定は非常に甘いため、通常攻撃を数発出してから地上技を出すだけでも、簡単にコンボになる。この手のゲームの経験がない人でも、ちょっと練習すれば、通常攻撃→打ち上げ技→落ちてくるところを通常攻撃or地上技なんていう、派手な空中コンボができるようになるはずだ。
▲各ステージでは、プレイヤーの戦いっぷりがランクとして表示(画面右)され、これはクリア後の報酬に影響してくる。基本的には攻撃を受けないように、長めのコンボ(特に空中コンボ)を決めるとランクアップしていく。 |
また、各種攻撃スキルには“↓←+特殊攻撃”など、コマンドがあらかじめ設定されている。コマンドを入力すれば必殺技が発動。もちろん、通常技の戻り際をキャンセルして出すなど、格闘ゲームのようなテクニックも使える。キーボード入力を前提としているためか、各スキルのコマンドは基本は簡単な組み合わせで、格闘ゲームになじみのない人でも安心。逆に格闘ゲームをバリバリやっている人だと、「↑→+特殊攻撃」などの通常ではありえないコマンド入力に違和感を覚えるかもしれない。ちなみに格ゲー好きの筆者が感じただけで、この辺は個人差もあるだろう。
せっかくの便利なコマンドだが、乱戦になると落ち着いて入力するのは難しい。各スキルは一般的なMMOのように、ショートカットスロットに登録し、1ボタンでの発動も可能。むしろ各スキルのクールタイムが視認できたり、コマンドよりもいいことづくめ。強いてデメリットを挙げるとすれば、簡易入力に頼ることで、筆者のような自称・格闘ゲーマーのプライドが傷つくくらいだろうか……。
▲ショートカットは、1ページに10項目を登録できる。スキルだけはなく、回復アイテムなども登録したほうがいいため、簡単なコマンドのスキルは覚えておいたほうがいい。 | ▲基本は浮かせて追撃、ダウン中の相手をもう1度舞い上げることもできる。部隊プレイで連携すれば、ずっとこちらのターン! にすることも。ちなみに敵の重さも設定されているので、浮く高さが違う、浮かない相手などもいる。 |
ちなみに本タイトル作はパッド入力にも対応している。移動に関してはコントローラーの十字キーが圧倒的にやりやすいし、慣れもあるだろうが、コマンド入力に関してコチラのほうに分がある。ただ、外部アプリケーションを使わないと、ショートカットキーをすべてを使うのは無理など、どちらのプレイにも一長一短がある。アクションゲームはついついプレイに熱が入って強くキーを叩いてしまったりで、最悪の場合、キーボードを破壊……という個人的体験から、操作面よりもPCへの配慮という意味でコントローラーの使用を強く推奨したい。
▲必要経験値が100%を超えても自動的にレベルアップせず、プレイヤーが任意で行う。レベルアップよりも、スキル強化を優先するプレイヤーに対する措置だろう。また、レベルアップ時はHPとMPが全快するので、ピンチ時のためにあえて取っておくという使い方も。 |
さて、『クロスブレイブ』にはRPGとしての側面もあるため、強力なスキルを最初から全部使えるわけではない。キャラクターが最初から使える3種類の初期スキルに加え、スキルレベルを1上げるとプラス1種類、以降はスキルレベル5刻みで新スキルを覚えられる。新しいスキルは、各クラスのスキル担当のNPCから習得できるが、そのためには経験値とお金、ストーリーに関わるメインクエストクリア時に得られるスキルポイントの3つが必要になる。特に最後のスキルポイントは、全スキルを覚えるには到底足りない。そのため、プレイヤーによってどのスキルを優先するか、取捨選択が必要になり、個性を出しやすいポイントだ。
また、スキルにはアクティブスキルとパッシブスキルが存在し、アクティブスキルには各スキルごとにレベルが設けられている。レベルが上がると攻撃力や命中率が増すが、レベルアップにはまたもや経験値とお金が必要に。こちらは新スキル習得と違い、スキルウィンドウからいつでもどこでも行える。一方、パッシブスキルはやや特殊な扱いで、下位レベルの特定のスキルの性能を強化するものだ。スクリーンショットを見てもらうと分かりやすいが、アイコンの右上に砂時計マークがあるものが、パッシブスキルにあたる。
▲スキルツリーは分岐ルートなどがなく、わりと自由に習得可能。パッシブスキルは、強化対象のスキルがないと取得する意味がない。 |
▲パッシブスキルの効果は、スキルをキャンセルしてほかのスキルを出せるようになること。例えば魔道師なら、ファイアバーンで相手を浮かせたあとにライトニングアローで追撃をしようとしても間に合わない。パッシブスキルを使うことで、追撃が可能になるのだ。 |
▲強化済みのフレアバーンであれば、スキルの発動直後にライトニングアローを出せば当たりやすいのでコンボになる。 |
▲基本ソロプレイな筆者には、ボス戦の長さはかなりきつかった。逆に部隊でプレイしたときは瞬殺ということもあったため、ほどよいバランスを取るのは難しいと思うが、そこはがんばってもらいたい。 |
ゲーム全体の難易度としては、高レベルの世界を経験してないためハッキリとはいえないが、かなり易しめに感じた。特に序盤の敵のAIはかなり消極的で、移動はしても攻撃はほとんどしてこない。この辺はACT初心者にはいいが、RPGではなく本格ACTを求めて『クロスブレイブ』にきたユーザーには少し物足りないだろう。当たり判定の曖昧さなどについては、ゲーム内で苦言も聞こえてきたが、これはわざと甘めにしているように感じた。それこそドット単位などのシビアな“避け”を要求すると、少なからずラグなどの存在するオンラインゲームでは、一歩間違えば攻略不可能になってしまうからだ。ただ、逆に調整不足に感じたのが、全体的な敵のHPが多さ。特にステージボスでは顕著だった。確かに部隊を組んでのプレイであれば、手ごたえのあるボスの方がうれしいが、現状の調整では闘いが冗長になるだけで、せっかくのアクションゲームが持つ爽快感が薄れてしまう。戦闘マップへ入る人数に合わせて敵のHPの変えるなど、今後の調整に期待したい。
バリバリ敵を倒して、ガンガンレベルアップ! 新しいスキルを覚えて、転職してどんどん闘いが派手に!! というのが、正しい『クロスブレイブ』の楽しみ方だと筆者は思う。だが、メインとなるACT部分以外にも、数々のお楽しみ要素が用意されているので、これをスルーしてしまうのはもったいないので、いくつかをピックアップして紹介しよう。
▲スキル画面からワークスキルを選んで(ショートカットへの登録も可能)、製作図と材料を選択するだけの簡単合成。ただし、合成にはWPというゆっくりと自然回復するポイントが必要なため、あまり連続して合成ばかりは行えない。ボット対策だろうか。 |
1つ目は、合成要素。製造(武器)、裁縫(防具)、細工(アクセサリー)、製薬(薬品)という4ジャンルは、ワークスキルとして存在し、NPCにお金を支払ってスキルを学ぶ&レベルアップできる。製作には製作図と素材が必要で、高レベルのアイテムを作るには、ワークスキルのレベルを上げなければならないようだ。ちなみに、合成に成功すると、ゲーム画面の上部に「〇〇が××の作成に成功しました」といった感じのメッセージが世界に流れるため、ちょっと気恥ずかしい(笑)。合成とは少し違うが、装備にさまざまな強化オプションを付与できる宝石をはめ込む宝飾という要素もある。
2つ目は魔獣の育成。戦闘マップ攻略中にある敵を倒すと、異空間への扉が開く。その中に出現する敵を倒すと、魔獣の魂というものが手に入るのだ。これを使うと、魔獣(いわゆるペット)を使役できるようになる。この魔獣の育成要素が、オマケ程度ではなくかなり本格的。一緒に戦闘し、経験値を得てレベルアップするだけでなく、エサや玩具を与えて忠誠度を上げる必要もある。魔獣を召喚すると、プレイヤーに強化魔法をかけてくれたり、自らが敵に切り込んで行ったりなど、それぞれの性格に合わせた行動を取る。魔獣の性格もアイテムで変更したり、魔獣同士を合成して上位スキルを使える魔獣を作ることも可能だ。
▲キチンと育てれば、かなりの戦力になってくれる。また、戦闘中にいろいろつぶやいてくれるので、ソロプレイでも寂しくはない。でもつぶやき過ぎると、ちょっとうるさいかも。 |
▲魔獣の系統は15種類あるようで、なかには騎乗できる巨大なものも存在するらしい。 |
3つ目は迷宮探索。NPCから通行証を購入すると入場できる特殊な戦闘マップだ。一定時間遊べるタイムアタックなど、通常マップとは異なるルールを任意に選べる。ループしているのか単純に広大なのかは不明だが、筆者がプレイした限りではボスモンスターはおらず、延々と探索やレベル上げが続けられる。また、この迷宮内では上記の合成で必要な製作図と素材が入手できるため、合成職人を目指すプレイヤーには通常マップの攻略以上に重要な場所となりそうだ。CBTの段階では“邪王古墳”という1カ所のみであったが、前回のCBTでは森のような迷宮もあった。バージョンアップでの新しい迷宮追加も期待できそうだ。
▲古墳という名前通り、アンデッド系のモンスターが数多く出現。現状は、合成アイテム集めのためのコンテンツなのだろう。 |
上記以外にも、コミュニティを作るうえで重要なギルドの設立、アクション性の強いゲームだからこそ他プレイヤーと腕を競い合いたくなる闘技場(PvP)など、まだまだたくさんある。しかも、これらのサブ要素は本来のACTとしての楽しさを阻害するほど、手間や時間がかかるものでもない絶妙なサジ加減だ。それこそやらなくてもゲームを進めることは可能だが、せっかくほかのゲームではない『クロスブレイブ』で遊ぶのだから、これからプレイする機会のある人はぜひ手を出してみてほしい。
最近のゲームはチュートリアルや、ゲーム内ヘルプが充実していなければ不親切……そんな風潮がある。『クロスブレイブ』も例に漏れず、チュートリアルやUI改良に物凄く力を注いでいる。実はこの作品、2月にも一度SNS会員専用のCBTを行っており、その時点では決して親切なゲームとはいえなかった。正直、ライトゲーマーならば“ク〇ゲー”と投げ出してしまうほどの分かりづらさだった。だが、仕切りなおしとなった今回のCBTは、そのイメージを完全払拭。2カ月の沈黙は伊達ではなく、親切すぎるほどの作品に生まれ変わっていた。というよりも変わりすぎなぐらいだ。
まず、ゲーム導入時のストーリーが用意され、基本操作方法を学べるとともに、各クラスの高レベル装備やスキルをいきなり体験できてしまう。序盤はスキルも少なく地味なため、ちゃんとプレイして育てれば、こんなこともできますよーと、導入で『クロスブレイブ』の美味しい部分をチラ見させるのはうまい。
続いては、これも最近のMMORPGなどにはよく実装されているナビゲート機能。クエストウィンドウやマップ画面で、NPCや戦闘マップの名前をクリックすると自動的にそこまで移動してくれるものだ。序盤のクエストは同じ場所を往復することが多いため、これは楽チン。さらにはヘルプ画面から参照できる、レベル別ガイド。1レベル上がるごとに追加される新要素や、オススメのクエストなどを紹介してくれる。設定でオフにもできるが、何かが追加されるたびに画面右下にウィンドウがポップアップするので非常にわかりやすい。こんな感じに、ゲーム内で得られる情報だけで本作の予備知識がまったくない初心者でも快適にプレイできる環境を用意。クエストも実質序盤はほぼチュートリアルになっているので、ナビゲーションされるままに順番にクリアしていけば、戦闘から魔獣育成、合成など今回のレポートで挙げてきた要素はすべて体験できる。チュートリアル&ゲーム内へルプのシステムとしては、ここ最近に筆者がプレイしたオンラインゲームの中では屈指の完成度の高さであった。
▲アンダーバーのついている字句はクリックすると、目的地まで最短ルートで移動してくれる。 | ▲新要素出現で、ポップアップ! 攻略雑誌&サイト泣かせの充実ヘルプ。コレにしたがってプレイしていれば、まず間違いはないです。ハイ。 | ▲マップ画面でも、NPCの配置と説明が表示され、アイコンをクリックすることでナビゲート移動ができる。便利過ぎてスキがない。 |
最後に、全体的に筆者が感じた不満点をいくつか挙げておこう。まず、他プレイヤーとの交流のしづらさ。通常マップはMMO仕様のため、他プレイヤーも当然あらゆるところを移動している。だが、NPCの前などに立たれると、クエスト報告や買い物しようにも、他プレイヤーが邪魔でかなりストレス。では、どうすればいいかというと、そこは運営もキチンと考えていてVキーを押すと他プレイヤーを非表示にできる。これでNPCと会話も楽々……あれ? そう。恐らくこの状態でプレイしていた人が多いと思うし、筆者も9割方この状態であった。つまり1人用ゲームをプレイしているのと代わりないのである。サーチコマンド的なものもないため、部隊の募集などは全体チャットを使った募集がメインになっていた。しかし、この全体チャットもCBTでは無制限だったが本来は一定レベルに達しないと使用できないようだ。低レベルプレイヤーはどうすればいいのか、などの問題も残る。NPCに話しかけるコマンドを変える、サーチ機能を付けるなど、解決方法はいくつかあると思う。
もう1点は非常に細かいことなのだが、ローカライズについて。ストーリーは二の次とはいえ、クエスト中などは意外なほどプレイヤーキャラが話す。その口調がどうにも直訳すぎて苦笑してしまう。NPCならともかく、自分の分身があまりにも変な口調では萎えてしまうのも事実。悲しいことに純国産作品というのは少ないし、海外産の作品だからといって差別するつもりはない。ただ、キャラクター性を出したいのであれば、もう少しセリフ回し部分でのローカライズは気にかけてほしいと思う。クラスが変わっても、全キャラクター同じ口調なのはどうにも……。
▲透明人間オンラインという言葉がピッタリ。個人的にも画面内に他プレイヤーがいてにぎわっているほうが好きだが、プレイに支障が出るというより、ストレスが溜まってしまうので仕方なくVキーで非表示にするしかなかった。 | ▲戦乱の世においては可愛いキャラクターでさえ、堅苦しく話すもの! いや、これはもったいないです。口調で個性出しをする必要はないにしても、せめて普通に。 |
ともあれ、上記に挙げてきたところは、すでに一部公式で修正の告知もされているし、1回目のCBTから2回目で見事なバージョンアップも見せてくれた。また、ゲーム内でもGMによるイベントを毎日開催したり、CβT終了後に間を空けずプレオープンベータを開始するなど、運営側のやる気も十分感じられる。このまま勢いに乗ってオープンベータ、正式サービスと続いていってほしいものだと個人的にも応援していきたいと思う。もちろん、正式サービスでもプレイさせてもらうつもりだ。
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