2010年6月17日(木)
E3のUbisoftブースで、新作『Child of Eden Hope and Happiness...(以下、Child of Eden)』を手掛ける水口哲也氏にインタビューを行った。
『Child of Eden』は、PS3とXbox 360(Xbox 360はKinect対応タイトル)用として開発が進められている作品。ゲームとしての印象はシューティングに近いもので、画面上に出てきた敵をロックオン、バルカンのような弾で打ち落としていく。ステージを進めていくにつれて、音と光の演出が次第に複雑さと美しさを増していく……という内容だ。
今回、水口氏によるデモプレイを見た後で、本作についてのインタビューを行った。この作品にどんな思いを込めたのかを聞いてみたので、ぜひともチェックしてもらいたい。
――どうしても水口さんの作品で、こうしたタイプの作品ですと『Rez』を連想せずにはいられないのですが、『Rez』よりもここに力を注いだ! という部分はありますか?
あらゆる面で進化しています。音も映像もそうですし、今のデモプレイはKinectを使いましたが、こうしたインターフェースが出てきたので、また今、作品を作る意味があるんじゃないかと思ったんですよ。
――『Rez』の時は、プレイヤーに刺激を与えるための媒介としてバイブレーターがあったじゃないですか。今回はそういうものを介さなくてもいいのかな、という印象は受けました。
そうですね。10年前に比べると技術的な面でいろいろなものが進歩しています。iPadやiPhoneを含めて、インターフェースがとにかく増えました。このE3では、3DSも出てきましたし。作り手としては、大変楽しい時代になってきましたね。イメージさえあれば、現実になるんですから。今後は、3Dの方向にどんどんと広がっていくと思います。
――作り手として楽しいというのは、受け手としても楽しい未来が待っていそうな感じですね。今回の『Child of Eden』では、どんな仕掛けを用意していますか?
もちろんいろいろ用意しています。
――ゲームのボリュームは?
現段階では、5個のステージを用意しています。セレクト画面にも仕掛けを施してあって、ゲームを遊んでセレクト画面に戻ってくると、何か変化があるようになっています。
――そこには、どんな狙いがあるんですか?
やっぱり僕は、“1回やって終わり”というゲームを作りたくないんですよ。何回も何回も遊んでもらいたい。何回も遊んでもらうなら、気持ちよくなってもらいたい。このゲームは、“Eden”という巨大なアーカイブでの物語なんですね。そこには、いろんな記録や記憶があるんですが、ある時ウイルスに冒されてしまうんです。それを元に戻すことが目的で、元に戻っていくにつれ、美しく気持ちよくなっていくんですね。
――最初のほうは単調な音でしたが、ステージの後半ではボーカルも入っていましたよね?
女の子が出てきましたよね。彼女はLumiといって、元気ロケッツのボーカルなんです。ここ数年は音楽をやっていましたが、自分の中で、こういったものを重ねていくというか、関連させていくことにおもしろさがあるんですよ。やっと発表はできましたが、まだまだ完成にはほど遠いんですけどね。
――今の時点での完成度は?
まだ50%くらいですね。ですから、実際にはここからが大変なんですよ。音楽と映像の新しい形を作っていくということで、やっぱりいいものにはしたいですから。
――本作のタイトルに込められた意味は?
まだ言えないんですが、当然ある意味がこめられています。これは、遊んでいくうちにプレイヤーが気付くように作ろうとしています。“Eden”という単語は、世界中に意味があると感じている人が多い言葉だと思います。いったい何をやろうとしているのかは、遊んでくれればわかると思います。
――今日のデモプレイはKinectを使っていましたが、その感想を聞かせてもらえますか?
もちろん、このゲーム自体はコントローラで遊んでもらって楽しめるように作っています。それが根本としてあるのですが、Kinectを使うとまるで別物ですね! オーケストラの指揮者になったような、不思議な感覚があります。やればやるほど楽しめる感じです。
――それでは、最後にファンの皆さんにメッセージをお願いします。
おそらく3年ぶりくらいのゲームになりますが、この中に僕の今までやってきたことが全部つまっています。いろんな意味でサプライズがあると思いますので、楽しみにしていてください。
――ありがとうございました。