News

2010年6月18日(金)

カンファレンスの感触は? SCE WWSのプレジデント・吉田修平氏にインタビュー!

文:電撃オンライン

 現地時間の6月16日、米国でSCEAのプレスカンファレンスが行われた。そのカンファレンス終了後、SCE WWS(ワールドワイドスタジオ)のプレジデント・吉田修平氏に感想などをうかがった。

SCE

――カンファレンスを終えての感触はいかがですか?

 新しいタイトルをお見せした時に、拍手や歓声があがり、とてもいい雰囲気だったと思いますね。

――具体的に、どのタイトルが盛り上がりましたか?

 今回のプレスカンファレンスは大きく3つのテーマに分かれていました。“3D立体視”、“PlayStation Move(PS Move)”、“PS専用タイトル”ですね。最初に『KILLZONE 3』の3D立体視版のデモを大画面で行ったのですが、その時が特に盛り上がりましたね。『キルゾーン』シリーズは欧米で非常に高い人気があり、続編を希望する声も多かったタイトルです。『キルゾーン3』の3D立体視映像を初めてご覧になる方も多かったようですし、すごい迫力だったと思います。

――他の3D立体視対応タイトルはいかがですか?

 弊社のタイトルですと、『グランツーリスモ5』の3D立体視対応を正式に発表しました。後は、『モーターストーム』の新作も3D立体視の映像をお見せしましたし、PS Moveのタイトルも、いくつか3D立体視に対応しています。他社さんでも、EAさんの『Crysis2』など人気のあるタイトルが3D立体視対応になっていますね。

――今後も3D立体視対応ソフトはどんどん増やしていくのでしょうか。

 そうですね。3D立体視は敵キャラクターとの距離感がわかりやすくなるメリットもありますし、臨場感も増します。3D対応TVを持っている人は、3D立体視映像でプレイされるのではないかなと思いますね。

――PS Moveについてはいかがでしたか?

 『ソーサリー』という、魔法を唱えるアクションゲームを発表したのですが、会場ではその反響が非常によかったですね。コントローラを魔法の杖に見立てて、いろいろな種類の魔法を駆使して進む、非常に自由度の高いゲームです。PS Moveをうまく使ったタイトルだと思います。あとアメリカでは、ケビン・バトラーという宣伝マンをCMで起用しており、人気がとても高いんです。彼が登場し、ステージで演説をしたのもよかったですね。彼は架空のSCEの社員で、今はPS Moveの宣伝マンを担当しています。

――アメリカではそんなに人気がある方なのですか!

 はい。今回も、プレスカンファレンスの司会はケビン・バトラーがやるのでは? とウワサされていたほどです(笑)。最初にジャック・トレントン(SCEA プレジデント兼CEO)が、「ケビンは出てこないよ」と言った後に出てきたので、よりサプライズになったのではないかなと思います。

――ゲームソフトの方では、注目タイトルは何になるのでしょうか。

 すでに発表済みのタイトルですが、『リトルビッグプラネット2』ですね。このゲームはいろいろなゲームを作れるのが特徴なのですが、今作では多人数でスコアを競う要素を盛り込んでいます。『リトルビッグプラネット』でステージ作りが上手だった方に1日だけ『2』のステージ作成ツールを使ってステージを作ってもらったら、非常にクオリティの高いゲームができあがったので、ゲームの映像をビデオで編集してカンファレンスで紹介しました。これも、とても盛り上がりました。

――1日だけツールを使ってもらう、というのはどういった背景があったのでしょう。

 ユーザーテストのような意味合いですね。『2』ではさまざまな新しい要素を取り入れていますので、インターフェースはユーザーが使いやすいものにしなくてはいけない。ですから、1日でどのくらいまで使いこなせるようになるのかを見てみたかったんです。

――『リトルビッグプラネット2』以外の注目ソフトは?

 先ほどもお話しました、『キルゾーン3』、『グランツーリスモ5』、そして『インファマス2』ですね。あとは『ツイステッドメタル』の続編です。これはアメリカで本当に人気が高く、続編の要望を受けて開発したタイトルなんです。

――会場はすごく沸いていましたね。

 あとは他社さんのタイトルで、PS3専用のコンテンツをいろいろと紹介させていただきました。EAさんの『デッドスペース2』なのですが、PS3版では、Wiiで発売された『デッドスペース エクストラクション』をPS Move対応にしてセットにしたスペシャルエディションを北米で発売します。『メダル オブ オナー』の新作でも、PS2版で発売したタイトルをHD版にリメイクしてセットにしたものを販売します。

――『デッドスペース2』の国内発売予定はあるのでしょうか?

 EAさん次第というところですが……。『デッドスペース』は非常によくできたゲームだと思うので、ぜひ発売してほしいですね。

――他のメーカーさんの発表を受けて、率直な感想を教えてもらえますか?

 あまり詳しくは見ていないのですが、他社さんもかなり力の入ったタイトルを出されていましたし、『アサシンクリード』の新作はおもしろそうでしたね。マルチプレイにスポットを当てているのがとても楽しみです。

――同じ“3D立体視”ということで、任天堂さんの3DSについてはいかがでしょうか。

 3DSはまだ見ていないのですが、カンファレンスでは、裸眼での立体視が可能になっている部分を強調されていましたね。PS3の3D立体視は、大きな画面でゲームの世界に浸ることができ、感動も大きくなると考えています。同じ3D立体視を扱っていますので、一緒に盛り上げていけたらなと思います。

――今後ゲーム業界には、3Dの波がくるのでしょうか?

 今まで3D立体視の取り組みは何度も行われてきましたが、たとえば今年発売されたソニーのブラビアのように、非常にクオリティの高い表現ができる3D技術はなかったんです。3D対応が不完全なものですと、目が疲れるといったデメリットもありますし。ハードウェアの進化により、今回ようやくちゃんとお届けできる技術を投入できたかなと思っています。

 我々ゲームを作る側も、ユーザーさんが疲れないような作法や技術を研究していきたいですね。しっかり3D立体視を作れれば、人間の目にはとても自然に映るんです。ゲームへの没入感は、2Dのころから大事にしてきたものですので、3D立体視でよりその感覚を増すことができるのかなと思います。ただ、TVを買い換える必要があるというハードルはありますが。

――大きなハードルですよね。

 ええ。ただ今後は、他のメーカーさんでも3D対応のTVが増えてくると思いますので、3D対応のTVを買おうと思わなくても、買い換えたら3D機能が付いているという状況に、近い将来なると考えています。

――3Dの映像は画像などでユーザーに届けられないので、私たちのようなプレスも苦労しているのですが、そういったユーザーアプローチについてはどのように考えていますか?

 本当に悩ましい問題ですよね……。たとえばソニーで言いますと、3Dの写真や動画を撮るカメラの発売を予定しているんです。そのうち、フォトフレームやPCのモニターのようにさまざまな画面で使えるようなものも出てくると思いますので、将来的には3D対応のフォーマットがさらに整備され、3Dをより身近なものにできていければいいなと考えています。家電量販店などでは3DTVの展示なども行われていますし、インターネットの発達したこんな時代ですが、昔のようにお店に足を運んで見てみるのもいいのかなと思いますね。

――ゲームへの没入感というテーマは、PS Moveにも通じるところがありそうですね。

 3DTVが与える没入感とは違いますが、3DTVが目指しているものと、PS Moveが目指しているものは同じだと思うんです。偶然なのですが、その両方を今年同時に導入できることで、大きな流れを作れるのではないかなと期待しています。

――PS Moveの発売は、国内では10月21日とクリスマス商戦より一歩手前ですね。

 はたから見ると、棒状のコントローラを振って遊ぶだけのように見えるかもしれませんが、体験していただくと奥行きのある操作性や、細かい表現が伝わるようになっている点など、実際に触ってもらうことでその精度やよさがわかると思います。ですから、やはり体験していただけるのがいいなと。年末商戦が一番盛り上がるのですが、そこで発売しても浸透していないのではあまり意味がないと考え、いろいろなところで体験してもらう機会をご用意し、その感想などを他の人に伝えていただきながら発売を迎え、買った人にまたそれを伝えてもらうという流れで年末商戦を迎えたいと考えています。

――体験イベントは定期的に行われるのでしょうか。

 はい、いろいろと考えています。

――PSファンのユーザーさんに向けて、メッセージをお願いできますか?

 今年はPSPのビッグタイトルが目白押しで、全社を上げてサードパーティさんと盛り上げて行こうと思っています。PS3に関しては、去年の新型PS3の導入から売り上げが伸びてきています。お求め安い価格になったところで、3D立体視やPS Moveなどの新しい技術も導入しますので、これまでPS3の購入を検討していた方にも、ぜひ一度イベントやお店で触って確かめてもらいたいなと思います。見ると聞くとは大違いといいますか、やはり実際に触ったりご覧になっていただいたりすれば、新しい世界が広がっていることを感じてもらえるはずですから。

(C)2010 Sony Computer Entertainment Inc. All rights reserved.

関連サイト