2010年6月29日(火)

【洋鯨亭 第17回】日本発作品で、日本未発売の有名ACT最新作

文:電撃オンライン

 海外ゲーム、通称“洋ゲー”紹介コーナー“洋鯨亭”のRonでございます。

【洋鯨亭 第17回】日本発のタイトルで、日本未発売の有名ACT最新作……の巻

 E3も終わって、今年もいろんなタイトルが発表されましたねー。各メーカーの発表内容がリリースやニュースとしてさまざまな媒体に掲載され、今回は話題になりそうなタイトルが多いと感じています。

 それらについては今後触れるかもしれないのでこの辺にして、さっそく今回の本題に参りましょう。

■日本発の人気シリーズ最新作が海外のみでデビュー

 「昔よく遊んだあのゲームの続編は、もう出ないのかな」と思っていたら、海外で開発・販売されることが決定! なんてことがあります。

 こういったタイトルでも北米発売の何カ月後かに国内発売が決定した場合は、当然メーカーもアナウンスしますし、雑誌や出版社の情報サイトでも紹介しますから、何かの機会にそのソフトの存在を知ることになるでしょう。

 ところが日本向けにローカライズされる予定がない場合は、そのソフトを知る機会はガクンと減ります。海外のゲームサイトを見たり、国内の洋ゲー販売店やショッピングサイトでものぞかない限り、日本ではその存在を知る機会はほとんどないと考えられます。そのタイトルが自分が昔よく遊んだシリーズで、思い入れがあるゲームだとすると、これはちょっと残念です。

■懐かしのACTが海外発の3D・ACTに

 私にはそんなソフトが何本かあります。その1本が、Secret Level開発、セガオブアメリカ販売のPS3/Xbox 360用ソフト『ゴールデンアックス ビースト ライダー(以下、ビーストライダー)』。あのファンタジーACT『ゴールデンアックス』シリーズの最新作です。

 『ゴールデンアックス』といえば、1989年に日本のセガからアーケード版とメガドライブ版が発売され、ナンバリングタイトルは『III』でいったん終了。その後、1994年に対戦格闘ゲームの『ゴールデンアックス・ザ・デュエル』が登場したのを最後に、しばらく音沙汰がなかったタイトルなんです。

 一応、セガの過去作品をPS2用の廉価版として発売する『セガエイジス2500シリーズ』で3Dにリメイクされたケースはありましたけど、新作としてはしばらく発売されなかったんですね。ところが2年前の2008年、実に14年ぶりに新作『ビーストライダー』が登場したんです。タイトルにナンバリングこそされていませんが、敵はシリーズおなじみのデス・アダー、そして主人公は“あの”ティリス・フレアです。

 なにせ古いタイトルなので、“あの”と言われてもわからない人もいるかもしれません。ティリスは、『ゴールデンアックス』に登場する3人の主人公の中の紅一点。どう見てもビキニにしか思えない、防御力を犠牲にしたアーマーを装備した女性キャラクターです。同じく主人公の1人だったマッチョなバーバリアン・アックス・バトラーでもなく、齢150を超えたドワーフ族の怪力じいさん・ギリウス・サンダーヘッドでもなく、ティリスを今作の主人公に据えたあたりは、どこか日本のゲームっぽいですよね。

【洋鯨亭 第17回】日本発のタイトルで、日本未発売の有名ACT最新作……の巻 【洋鯨亭 第17回】日本発のタイトルで、日本未発売の有名ACT最新作……の巻
▲過去作品では主人公の1人だった、ドワーフのギリウス。『ビーストライダー』では操作できるキャラクターではなく、序盤のムービーで登場します。 ▲渋い風貌の戦士になったアックス・バトラー。冒険の途中で出会います。しかし短い会話は交わすものの、一緒に戦うというわけではありません。協力プレイをやってみたかったです。

 『ビーストライダー』でもティリスのビキニ風アーマーは健在で、ゲームが進行するとアーマーが……というよりビキニのデザインが変化していくというサービスっぷりです(デザインが変わるだけで、防御力の変化はありません)。こういった、アーマーがどこかコスプレっぽいのも、日本のゲーム風ですね。

【洋鯨亭 第17回】日本発のタイトルで、日本未発売の有名ACT最新作……の巻 【洋鯨亭 第17回】日本発のタイトルで、日本未発売の有名ACT最新作……の巻
▲最初はこんなアーマーですが……。 ▲こんなアーマーに変わったりします。二の腕部分にトゲトゲが付いたりしています。

 このようにアーマーは進行によって変わっていくんですけれど、武器は最初から持っている一振りの剣のみ。剣による攻撃は弱、強斬りがあって、シリーズ同様にダッシュ斬りもできます。その他、敵の攻撃を剣で弾いたり、寸前でかわすアクションが新たに追加されています。実はこの2つのアクションがゲームのキモで、これがうまく使えないとなかなか先に進めません。

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▲敵が攻撃を繰り出す瞬間にオレンジ色に光った場合は“かわすアクション”、青く光った場合は“弾くアクション”を使うことができます。 ▲かわすアクションに成功すると一瞬にして敵の後ろに回り込み、強力な攻撃を繰り出せます。剣をやたらと振り回すだけの力押しプレイでは先のステージには進めない、というわけですね。

 ちなみに、タイトルにある“ゴールデンアックス”つまり黄金の斧は、メインウェポンではなく、さまざまな仕掛けと連動した石像などを破壊するためのアイテムとして使います。この斧は最初は壊れていて、冒険をしながらパーツを集めていくことになります。

 そしてサブタイトルの『ビーストライダー』とは、その名のとおり獣に乗る人のこと。本作には、シリーズ過去作品で登場した乗り物モンスターを思わせるビーストが登場します。これに乗って尻尾を振り回したり、炎を吐いて敵を攻撃できます。

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▲LYNTHというビーストは、光学迷彩のように身体を透明にできる特殊能力があります。これを使うと、敵から攻撃を受けなくなります。 ▲ビースト・KROMMATHは、地面に衝撃を与えて周囲の敵を倒すことができます。また、行く手を阻む頑丈な扉を体当たりで壊すことも可能です。

 また、ティリスは炎による魔法攻撃ができるようになっていますが、これもシリーズではおなじみです(キャラクターにより剣や斧、魔法など、攻撃の種類は違っていました)。

 主人公、乗り物、魔法ときたら、次は敵キャラクターです。前述のように、敵はシリーズでおなじみのデス・アダー率いるデス・アダー軍。ザコキャラにはガイコツの戦士や巨漢の戦士など、これまたシリーズで見たことがある敵が登場します。また、ときどきノームが登場し、主人公の周囲をちょこまかと動き回ります。これに攻撃を加えると、魔法を使うためのマナのボトルや体力を回復する肉などを落としていきます。これはシリーズをプレイしたことがある人にはおなじみのシーンですよね。元はシーフだったのが、本作ではノームになっています。

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▲2Dだった初代の『ゴールデンアックス』同様、主人公の周囲をうろうろするノーム。こんなイベントからも、シリーズの最新作であることがわかりますね。

■日本で発売できない理由はバイオレンス表現?

 3Dになっているとはいえ、キャラクターや設定、演出などから『ゴールデンアックス』っぽさを感じ取ることができる『ビーストライダー』。知名度のあるタイトルなのに、なぜ日本では発売されないのでしょうか? それは、どうやらバイオレンス表現にあるようです。

 攻撃で敵の胴体がまっぷたつになったり、腕を切り落としたりするのはちょっと引きますし、何より見ていてかなり痛そうです(苦笑)。しかもご丁寧に、切断面を描き込んでいたりするので、このへんも日本での発売を控える要因になりそうですね(海外のレーティングで、17歳以上推奨のタイトルになっています)。

 冒頭で触れたように本作は発売から2年が経過していますし、上記のようなバイオレンス表現の問題もありますので、今後日本で発売される確率は低いでしょう。

 というわけで、本作は普通の国内販売タイトルと比べて、入手しにくくなっています。しかし、新たなビーストを使った攻撃や仕掛け、何度も挑戦して先に進めていく歯ごたえがあるアクションは、昔から『ゴールデンアックス』を遊んできた人にこそおすすめしたいゲームです。通販では比較的安く買えますので、機会があったらぜひ遊んでみてください。

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