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2010年7月13日(火)

【洋鯨亭 第19回】洋ゲー(しかも海外版)販売の現場に迫るインタビュー(後編)

文:電撃オンライン

【洋鯨亭 第19回】洋ゲー(しかも海外版)販売の現場に迫るインタビュー(後編)
▲1F~7Fには、ゲームにホビー、エアガンなどの専門フロアがあるアソビットシティ。JR秋葉原駅から徒歩1分程度で行けるのがうれしい。

 こんにちは。海外のゲーム、通称“洋ゲー”に関する話題を扱うコーナー“洋鯨亭”亭主のRonです。

 先週に引き続き、今回はアソビットシティさんのインタビュー後編をお届けします(前編はこちら)。インタビューにお答えいただいたのは、秋葉原にあるアソビットシティで海外ゲームの仕入れを担当されている、田中さんです。

 この連載が掲載されるころは、学生さんは夏休み直前ですね。7月、8月にドップリとゲームの世界に浸ろうと思っている方もいるかもしれません。そんなアナタ、このコラムを読んで、たまには海外ゲームを扱うお店に行ってみてはいかがでしょうか?

 ということで、さっそく後編に参りましょう。


■海外ゲームの人気タイトルは?

──海外版タイトルで、ずっと売れ続けているソフトはありますか?

 基本的には、国内版が販売されていないソフトがよく売れています。中でもPC版の『The Elder Scrolls IV : オブリビオン』は別格の売れ行きですね。PC版は3年~4年前に発売されたんですけれど、いまだに売れ続けていますよ。

──インターネットのクチコミ効果でしょうか。

 そうだと思います。掲示板や動画投稿サイトの、特にプレイ動画の影響があるかと思います。おもしろい動画が話題になると、題材に使われたゲームの販売数が急に伸びますので。妙に売り上げがよくなったタイトルについて調べていくと、そのゲームを扱った動画が話題になっていたりして、「あ、この影響か!」と、あとで知ることもあります。家庭用ゲーム機向けで言うなら、2年前のタイトルですがエレクトロニック・アーツのTPS『DEAD SPACE』ですとかアクティビジョンのFPS『Call of Duty: World at War 』あたりですね。これも国内で発売されていないタイトルなので強いです。

──『DEAD SPACE』は長いですね。

 はい。続編の発売も控えていますので、ロングセラーになっています。

──『DEAD SPACE』もXbox 360版の方が売れているんですか?

 販売を始めた当初はXbox 360版の勢いがあったのですが、時間が経つにつれて両機種の総販売本数が拮抗してきていますね。Xbox 360版の海外タイトルは、スタートダッシュと言いますか短期間にたくさん売れるんですね。対してPS3版は少しずつ、長く売れていく傾向にあります。

──なるほど。これも前回お聞きしたハードごとのユーザーさんの傾向に起因するのかもしれませんね。では、最近一番売れたタイトルはなんですか?

 『グランド・セフト・オート』シリーズで有名な開発会社RockStar Gamesが制作したウェスタンACT『Red Dead Redemption』ですね。これはダントツです。海外版の発売から1カ月以上経ちましたので今は少し落ち着いていますが、発売当初はすごい勢いでした。

──今年前半で一番売れたのが、このタイトルですか?

 そうですね。RockStar Gamesさんのタイトルはやっぱり強いですね。他のタイトルの販売本数と比べて1ケタは余裕で違いました。

──『Red Dead Redemption』は国内での販売が期待されていますが、日本未発売で、これはローカライズしてほしいと思うタイトルはありますか?

 最近の作品ですと『Mass Effect 2』ですとか、『Dragon Age:Origins』ですね。RPG系タイトルはテキストが中心になりますので、これが翻訳されていると遊びやすくなりますよね。

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▲棚にズラっと並んだ海外ゲーム。有名なタイトルならほとんどそろっています。値段も国内版より安いのが魅力的ですね。▲店内では、海外ゲームのデモ映像が見られる他、試遊台で実際に遊ぶこともできます。

■E3の注目タイトルと今年後半のイチオシは?

──先月はE3が開催されて新作ゲームがいろいろと判明しました。注目のタイトルはありますか?

 エレクトロニック・アーツの新作FPS『CRYSIS 2』ですね。もともとPC専用だったゲームが家庭用ゲーム機でも発売されるということで、あのグラフィックがどこまで表現できるのかに注目しています。ソフト以外では、Playstation MoveとKinectですね。こちらがWiiとどう差別化を図ってタイトルを充実させていくのかに注目しています。

──こちらも海外版を入荷する予定はありますか?

 はい。時期などはわかりませんが、取り扱う予定です。

──今年後半はどんなタイトルに力を入れていきたいですか?

 『コール オブ デューティ ブラックオプス』がおそらく一番の大作になるかと思います。こちらは国内販売も発表されましたけど、内容いかんによっては海外版も売れるのではないかと思っています。たとえば、先日日本版が出た某タイトルの海外版は、日本版ローカライズの完成度の関係か、国内版発売後に急に売れ始めたんですよ。

──売れ方の予想がつきにくいですね。

 そうですね。何をきっかけに急に売れ出すのかがわからないので、国内版は内容も含めて発売後も動向が気になります。特に暴力表現や身体欠損の表現などで規制がかかることが多いですからね。

──E3タイトルで言うと『メタルギア ソリッド ライジング』についても、トレーラーなどで身体欠損表現がかなり出ていましたので、その辺は気になりますね。

 はい。海外を主軸に置いた展開ということなのかもしれませんね。最近はビッグタイトルを海外で発表することもありますから。

■アソビットシティに行ってみようというお客さんに対して

──これから海外版ソフトに挑戦してみようという方に、アソビットシティさんから何かアドバイスはありますか?

 そうですね、まずは国内の家庭用ゲーム機で海外版のソフトが使えるか使えないかというのが疑問になってくると思うんですね。これに関しましては、PS3、PSP、DSの3機種は基本的に制限がなく(DSiシリーズは一部制限あり)、海外版でも普通に動きます。逆にWiiはリージョン(地域)制限があるため、国内のゲーム機で海外版のソフトはまったく動きません。Xbox 360は制限がある場合とない場合があるので注意が必要なんですが、とりあえず日本と同じリージョン(地域)のアジア版を選んでおけば安心です。ソフトによってはアジア版以外、たとえば北米版などのバージョンでも動作します。その場合、アジア版と北米版のどちらにするかはお好みですね。パッケージの表記などが異なる場合がありますから、パッケージデザインで選ぶのもいいかもしれません。一応店頭でもそういった注意点についてはご案内しております。

──なるほど。そういえば、アソビットシティさんでは海外の周辺機器も扱ってらっしゃいますね。

 はい。あとは海外版のマイクロソフトポイントやPlayStationNetworkのポイントカードなどもありますね。こちらは海外のダウンロードコンテンツを購入する時に使うポイントです。

──海外の周辺機器は変わったものが多いという印象があるのですが。

 そうですね。非常に独創的なものが多いです。

──お客さんはどんな周辺機器を買われていきますか?

 最近ですと『スーパーストリートファイターIV』をはじめとした対戦格闘ゲームの影響が大きくて、ジョイスティックやコントローラが売れていますね。海外の周辺機器メーカー・マッドキャッツさんの『Street Fighter IV Fight Pad』などは好調です。

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▲キャラクターのイラストが入ったコントローラ“Street Fighter IV Fight Pad”。

──では、最後にアソビットシティさんのアピールポイントを教えてください。

 まず、秋葉原の駅から歩いて1分程度と非常に近いところですね。あとは、国内、海外のゲームはPC用も含めて総合的に扱っていますので、当店にお越しいただければどんな海外ゲームが売れているのかがわかっていただけるのではないかと思います。

──通販もやってらっしゃるんですよね。

 はい。通販は、今のシステムでスタートしたのが去年の4月と、まだ1年ちょっとしか経っていませんので、まだまだ駆け出しといったところなんですけどね。(アソビットシティ通販サイト:ASOBIT.NET

──通販を利用される方も多いですか?

 増えてきていますね。ネットや店頭でいろいろ見ながらピンと来たタイトルを買ってみるのも海外ソフトならではの楽しみだと思います。店頭で海外ゲームのいろいろなパッケージを見ているだけでも楽しいと思いますので、お近くの方はぜひ一度ご来店ください。

──本日は、興味深いお話を本当にありがとうございました。

■取材を終えて

 普段は1人の客として海外ゲームのショップをのぞいたり利用させてもらってますが、店員さんの視点からだと海外ゲームを取り巻く環境がまた違って見えるということがよくわかりました。

 それと、なんとなく感じてはいましたけど、Xbox 360ユーザーが海外ゲームに対してアグレッシブであることもよくわかりました(私もそうですけどネ)。また、さまざまな規制により海外版と国内版の内容が違うという点については、個人的にはよくも悪くもないと思っています。

 過剰なまでのバイオレンス表現はプレイヤーを不快にすることもありますし、その表現を入れることで対象ユーザーを絞り込んでしまうという販売上のリスクもあります。一方、演出として効果的な場合もあるでしょうし、そのバイオレンス表現がアクションゲームとしての爽快感を高めることもあるでしょう。

 そういった規制が比較的緩い海外ゲームをやってみると、どこまでが自分にとって大丈夫なのか(表現的に不快でないか)という線引きがなんとなくわかってきます。これには個人差があると思うので、プレイされる方によってはなんでも大丈夫という場合もあるでしょう。

 もっとも“海外ゲーム=過剰なバイオレンスゲーム”ということではないので(ノットイコールというよりニアリーイコール?)、いろいろな海外ゲームに触れてみるとゲームの見識が広がりますし、何より楽しいのは言うまでもないですネ。

 ということで、また来週!

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店舗データ

▼アソビットシティ
■営業時間:10:00~21:00(年中無休)
■住所:東京都千代田区外神田1-15-18
■フロア情報:海外&国内ゲームは1階にて取り扱い中!

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