2010年8月3日(火)
『キングダム ハーツ 3D(仮)』の片鱗とは? 野村哲也ディレクターに聞く
最新ハード・ニンテンドー3DSでの発売が予定されている『キングダム ハーツ 3D(仮)(以下、KH3D)』と、10月7日に発売されるDS用ソフト『キングダム ハーツ Re:コーデッド(以下、KH Re:コーデッド)』。両作品について、スクウェア・エニックスのシリーズディレクター野村哲也氏にお話を伺った。
『KH3D(仮)』は、人気シリーズ『キングダム ハーツ(KH)』の新プロジェクト。また『KH Re:コーデッド』は、携帯電話用アプリ『KH コーデッド』をDS向けにリメイクしたものだ。両作品について気になることを野村氏にお聞きしたので、シリーズ作品のファンはぜひご覧いただきたい。
なおこのインタビューは、7月29日発売の『電撃ゲームス Vol.11』(アスキー・メディアワークス刊)に掲載されているもの。さらに詳しい情報は、ぜひ『電撃ゲームス Vol.11』で確認してほしい。
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●『KH3D(仮)』のテーマは信頼 予想もつかない謎に満ちた物語
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▲野村氏 |
──3DSで『KH』を制作することになった経緯を教えてください。
任天堂さんから熱心なお話をいただき、その気持ちにお応えしたいということもありましたし、このハードならではという作品が作れるのではないかと感じたからです。『KH』で、というご指名も受けていましたので、まずは本作を皮切りにすることで、『KH』以外のタイトルでも今後につながる構想をふくらませられるのではないかと思っています。
──シリーズにおける本作の位置づけは?
これまでのシリーズは、すべて同一時間軸上で展開しています。本作も同様に同一時間軸上です。今はそれしかお答えできません。
──主人公は、ソラなのでしょうか?
ソラとリクの2人が主人公となります。『KH バース バイ スリープ』のように1人をクリアしてもう1人という感じではなく、2人を交互に操作して進めていくことになります。その2人の交代をシステムの軸として考えているんです。
──2人の衣装は『KH』のころのもののようですが、物語は『KH』の時期なのでしょうか?
今回は、ともかく予想もつかない謎に満ちた物語です。先ほどもお答えしたように同一時間軸上なので、『KH』のころにこういったことが起きたとは考えづらいと思います。ですので見た目にだまされてはいけません。
──『KH』のころのお話だと、ソラとリクが一緒にいる展開には謎を感じますね。
その謎がオチではないので、シナリオ上、先に状況を説明すべきか、回答はあとに回すべきか、悩んでいる最中です。正式に情報解禁となるまで、まだ時間がありますので、今はお答えできないですね。
──やはり3Dを生かすシステムをお考えでしょうか?
それは当然考えていますが、まだ詳しくはお答えできません。ただ、3Dの奥行きの生かし方として、映像にもあったと思いますが、“落下”という点を考えてみたいです。
──本作でやりたいこと、テーマなどを可能な範囲で教えてください。
やりたいのは、触れる『KH』、落ちる“ソラ”、飛ぶ“リク”。テーマは“信頼”ということになるでしょうか。1人ではどうしても成せないことがあり、それをいかに他者を信頼して成していくか、ということになると思います。
──E3で、他の3DSタイトルをご覧になった感想をお聞かせください。
やはり、「さすが小島監督」ということです。そして、あれだけのライナップを発表と同時にそろえた任天堂さんの努力も、とてもよい励みになりました。会場で『KH』がラインナップとして発表されたときの会場の拍手を忘れずに、頑張って作らないといけませんね。
──3Dそのものに対する今後の可能性については、どのように考えていますか?
自分はまず『KH3D(仮)』を作りつつ、ですね。アイデアはいろいろあります。それを1作に乗せられるのかはわからないですし、他のタイトルの構想もいくつかありますが、まずは作ってみないことには始まらないので。他社さんも、驚くような3Dの利用の仕方をしてくるでしょうから、そういったものが積み上がっていけば、当然可能性は広がっていくでしょうね。
●システム面でいえば、『KH Re:コーデッド』は新作です
──『KH Re:コーデッド』は、どういった点が特徴のゲームでしょうか?
開発コンセプトは『KH 358/2 Days』『KH バース バイ スリープ』、そして携帯電話版の『KH コーデッド』をミックスしたゲームです。制作は『KH 358/2 Days』のハンドですが、オリジナルの携帯電話版『KH コーデッド』のメインスタッフや、『KH バース バイ スリープ』からもco.ディレクターを務めた安江(※安江泰氏)など、さまざまなスタッフが参加して制作しています。
システム的には、アナログ操作のない『KH 358/2 Days』の操作感に不満を持つユーザーの方が多かったので、なるべく操作の簡略化を行っています。オリジナルの『KH コーデッド』にもありましたが、オートジャンプが可能だったり、キーブレードで攻撃するときに敵をとらえやすくなったりと、いろいろありますね。物語やゲームの基盤は『KH コーデッド』、成長システムなどは『KH 358/2 Days』、バトルは『KH バース バイ スリープ』といった感じでしょうか。
──通信要素はどうなりますか?
今回はすれちがい通信に対応しています。『KHバース バイ スリープ』や『KH 358/2 Days』のときのようなアドホックではなく、すれ違ったのちに1人で楽しむことに特化した作りです。DSの『すばらしきこのせかい』で培ったノウハウなども生かして、さまざまな遊び方で楽しめるようになっていますよ。
──ゲーム中に難易度を自由に変えられるのですね。
『すばらしきこのせかい』から引っ張ってきたシステムです。制作スタッフの中に『すばらしきこのせかい』のメインプログラマーがいますので、そのときの知識を生かした部分も多いです。メニューには“チート”という項目があり、そこで難易度は自由に変えられます。携帯電話版ではできなかった要素もたくさん詰め込んでいて、システムエリアもその1つです。
──『KH Re:コーデッド』の見どころは、やはり追加された数々のシステムでしょうか?
そうですね。システムに関しては本当に新作ですので、ぜひ遊んでいただきたいです。成長システム、バトル、通信要素にシークレットムービーと、目新しい要素が目立ちます。特に自分の中ではすれちがい通信がイチオシです。周りにすれ違う相手がいなくても大丈夫なような仕組みも入れてあるので、ご安心を。やり込み要素としても楽しめます。『KH バース バイ スリープ』の時にあったトロフィーシステムもありますから、長く楽しめると思いますよ。