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2010年9月1日(水)

【CEDEC 2010】RPGからA・RPGへと変化した『ジルオール』 その誕生秘話とは?

文:電撃オンライン

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■異なるジャンルにする際に何を生かして何を切るか

 これもまた、RPG『ジルオール』のジャンルとしての特徴を洗い出すことから始めたという。好まれているポイント(フリーシナリオ、マルチエンディング)と、A・RPGに生かせるポイント、生かせないポイントを確認。さらに、ユーザーの意見を集めた上で、最終的には自分でプレイして感じたことをもっとも大事にしながら、A・RPGとして目指すゲーム性を決めたそうだ。

 その後、“目指すゲーム性に支障がないものは原則すべて継承する”、“目指すゲーム性に支障があるものは思い切って切る”など、自分も周囲も迷わないよう判断基準を設けたという庄氏。“切る”という点においては、無理にゲーム性を継承しないと決め、A・RPGである『トリニティ ジルオール ゼロ』のおもしろさを追求したという。また、ジャンルが違う時点で『トリニティ ジルオール ゼロ』を続編とは呼べない以上、切った方がおもしろくなる要素は切って、そうした要素は“RPGの続編”が継承するべきものだとも話していた。

『トリニティ ジルオール ゼロ』 『トリニティ ジルオール ゼロ』

■異なるジャンルにする意義・意味

『トリニティ ジルオール ゼロ』

 新たな『ジルオール』が、RPGからA・RPGへとジャンルを変えた理由は、市場調査にあるという。左の写真を見てわかる通り、人気RPGの昨年の売り上げと比較して、PS『ジルオール』やPSP『ジルオール インフィニット プラス』の販売本数はケタが違うため、RPGはコーエー(現・コーエーテクモゲームス)が開拓できていない分野と考えられているようだ。そしてRPGの分野を開拓するにしても、前作の認知度を考えると、素直にRPGの続編を作ったのでは期待する販売本数が望めないと考えられた。

『トリニティ ジルオール ゼロ』

 そこで、オメガフォースの得意分野であるアクションのノウハウを生かせる上、国内市場で1タイトルあたりの売り上げがそこそこあるため、A・RPGが新たな『ジルオール』のジャンルとして選択された。オメガフォースが得意分野を生かした新たなA・RPGとして『トリニティ ジルオール ゼロ』を作ることにより、『ジルオール』の認知度を高めるのが狙いだ。

 先ほども少し触れたが、今後は『ジルオール』を同社の人気コンテンツにしていきたい考えのようだ。ゆえに『ジルオール インフィニット プラス』は、今後の展開を考え、ジャンルにとらわれず制作された。その人気いかんによっては、『ジルオール』をゲーム以外のメディアにもコンテンツを広げていきたいという。

『トリニティ ジルオール ゼロ』 『トリニティ ジルオール ゼロ』 『トリニティ ジルオール ゼロ』

 しかし、なぜそうまでして『ジルオール』なのか? その疑問は最後の質疑応答でも庄氏に投げかけられた。庄氏によれば、最初はオリジナルの新作をゼロから作りたいという話はあったそうだが、社内に『ジルオール』を好きな人間が多かったのが理由の1つとしてあるという。作り込まれた世界観やキャラクター像を、そのまま埋もれさせるのはもったいないという思いが、『トリニティ ジルオール ゼロ』を生む原動力となったようだ。

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