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2010年10月20日(水)

『エースコンバット』の挑戦とは? 生まれ変わった新作のこだわりを河野氏に聞く

文:電撃オンライン

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■『アサルト・ホライゾン』で体験できること

『エースコンバット アサルト・ホライゾン』

――トレーラーには、座席ごと脱出するベイルアウトの場面もありますよね?

 あれはインタラクティブデモに近いですかね。どこでも脱出できるというわけではなくて、効果的な場面でああいったシーンが入ります。今の時点では、パラシュートで降下中に視点操作をできるようにも考えています。

――ということは、あの場面はミッション中、必然的に起こる?

 あの脱出する場面についてはそうです。やっぱりゲームを通しての総合体験として、戦闘機のゲームでどういうシチュエーションを体験したいのか、というのを意識しています。たとえば、ビルの谷間を通り抜けたり、ベイルアウトしてみたり。そういう体験を1本のソフトで遊べるように作りたいですね。ただ、何でもかんでも、いつでもできるというよりは、ピンポイントでちゃんとやりたいことを満足できるように遊べるよう作っています。

 僕のディレクションでは、まず今回は現実世界を舞台にして、「こんなことがあってさぁ」と人に話したくなるようなシチュエーションが体験できることを大事にしています。「あのゲームどう?」って聞かれた時に答えられる“おもしろかったシチュエーション”をなるべく多く用意したいですね。そのシチュエーションが、結果的にストーリーラインにつながっていきます。

 ゲームのストーリーの場合、「読んでおもしろい話を、そのままゲームで見せられてもなぁ」というのが僕の考えとしてあるんですね。やっぱりゲームでは「触ってどれだけおもしろいか」というのが最初にあって、そうした要素をつなげるとストーリーになるような作り方を意識しています。

『エースコンバット アサルト・ホライゾン』

――先ほど、ヘリのパイロットやさまざまなキャラクターの視点が描かれるという話がありましたが、ストーリーは群像劇のような形で描かれるのですか?

 それぞれのキャラクターがイーブンなわけではなく、ビショップの話が1本通ったメインのストーリーになります。そこにサブの視点がいくつかあって、時々ミッションとして入ってくるイメージです。もちろんサブのエピソードにも、ストーリー上の意味はあります。

――ちなみにビショップにかかわってくるキャラクターは、何人くらいいるのでしょう?

 けっこう多いですね。そこは今後の情報を楽しみにしてほしい部分でもあります。

――シリーズでは架空の世界の話が多かったと思うのですが、今作の舞台を現実世界にしようと決めたポイントはあるのでしょうか?

 リアリティや現実世界ならではのストーリーテリングなど、いろいろな面でよさはありますが、一番の理由としては入り口の敷居を下げたかったんです。架空の世界は架空の世界で、制作上の自由な面であるとか、今までシリーズを支えてくださった方々の世界観への愛着とか、いろいろなよさがありました。けれど、積み重ねられて深いものになった結果、シリーズを知らない人から見ると“知らない国”、“知らない言葉”が並んでしまい、敷居が高くなっていたんですよ。今回、これだけ気持ちいいゲームを作っているのに、設定が難しそうだからといって触れてもらえないのはもったいない、なくしたいと思ったので、誰もが知っている現実世界を舞台にしました。

――時代背景は今現在になるのですか?

 現在よりは、ほんの少し先ですね。

『エースコンバット アサルト・ホライゾン』 『エースコンバット アサルト・ホライゾン』 『エースコンバット アサルト・ホライゾン』

――では、現実世界に起きていることが、話のテーマになるのでしょうか?

 現実世界でどういうことがあったか、というのを盛り込んでいるわけではないです。具体的には、アフリカでの新型爆弾にまつわるストーリーという、架空でありながら、リアリティも感じられるような話が進行していきます。それを中心として、それにまつわる複数の視点や、展開していくドラマを今は作っています。

 ですからこの質問の冒頭での話でいうと、「アフリカで見つかった新型爆弾」と、「オーシアで見つかった新型爆弾」とでは、ゲームに興味を持ってくれた人の反応が変わってくるということです。アフリカならピンとくる人でも、オーシアだと「オーシアってどこ? 聞いたことない」ということになる場合があると思います。その敷居を取り払いたかったんです。

――ストーリー自体はいつごろから作られていたのですか?

 去年の夏に始めて、今年の年初くらいに終わりました。アメリカの軍事小説家の方と、一緒に合宿してストーリーを作ったんです。戦闘機のこと、現実世界の軍事関係のことをよく知っている方だったので、その方の持っているリアリティだったり、「そういうことあるよね」という部分だったり、そのディテールも吸収させていただきました。ただ、ゲームの構成やその上でのストーリーテリングは『エースコンバット』チームのよさがあるので、そこはこちら側がにぎる形で制作しました。


■挑戦へと踏み出した『エースコンバット』

『エースコンバット アサルト・ホライゾン』

――開発自体はいつごろから?

 開発が始まったのはややこしくて、『ACE6』が終わってから検討だけはしていました。ただ、チーム内でも迷う部分があったり、実験したりといった部分で時間がかかったのが正直なところですね。

――公式サイトにも、きっかけについてのコメントが掲載されていますよね。

 いろいろなものが重なったんです。ワールドワイドでの『エースコンバット』ブランド認知度を調べてみたら「あ、こんなもんなんだ」と思いましたし、販売状況のこともあっただろうし、マンネリ化していないかという声もあっただろうし。ゲームを作る以上、絶えず進化しないといけない意識はありますが、いろいろなものが重なった時に、今が大きな一歩を踏み出さなければならないタイミングなのかなと思ったんです。

 その時に「ああ、なるほどな」と思ったのが、フランスに行った時にユーザーさんから言われた言葉です。「シリーズにずっと投資(購入)してきたのに、大きな挑戦がないのは、お金を払ってきた人に対する裏切り行為だ」という言葉を耳にして、ズシンと重たいものが来ましたね。

――飛ぶか飛ばないかまでの分解までをしたのは、その時期ですか?

 時期的には重なっています。最初に飛ぶか飛ばないかまでの分解までをして、ゼロから初めた時に、「そこまでしていいんだろうか?」という迷いもありました。その時に背中を押してもらったのが、先のひと言ですね。「そのまま挑戦してくださいよ」というメッセージとして受け取りました。

『エースコンバット アサルト・ホライゾン』

――模索の時間は長かった?

 我々は、今まで『エースコンバット』のあの形がいい、と考えて作ってきたチームです。その面々が、まったく違う形にリバースしたものを「これでいい」と納得して作るには時間がかかりますし、当然ながら迷った時に「前の方がいいんじゃないか」という不安も出てきました。そういった意味で、時間もかかりました。

――現在、開発度でいうと何パーセントくらいでしょうか?

 40%です。ただ正直、大きな挑戦をしているのでわからない部分もありますね。

『エースコンバット アサルト・ホライゾン』

――生まれ変わりの作品ということで、これまでのシリーズファンに加えて、新しいターゲット層にアピールしていきたいところはありますか?

 まず最初のトレーラーで、「破壊して撃つことが気持ちいい、快感ゲームなんですよ」ということを言いたかった。戦闘機が別に嫌いじゃなくて、そういう破壊系は好きなんだけれど難しそうだなと感じていた人に、きちんとアピールしたいんです。ドラマチックなトレーラーもいいのですが、初出の情報でその後を追ってくれるかどうかが決まると思うので、今回は“破壊”の気持ちよさについて作り込んでいる部分をちゃんと見せて、それがフックになる人というのを狙ったんです。

 やっぱり作り手としては、時間と頭をかなり使って作っているので、できるだけたくさんの人に遊んでいただきたいというのが本音なんですよ。そうなった時、これまで支えてくれた人にはもちろん満足してもらいたいですし、そういった方たちが学校や会社で『エースコンバット』の話をした時に、「ああ、知ってる、知ってる」という状況を作りたいんです。

『エースコンバット アサルト・ホライゾン』

――最後に、読者へのメッセージをお願いします。

 リバースということに挑戦していて、新しい『エースコンバット』を作っています。今出ているものを見て、「こんなの僕の思ってる『エースコンバット』とは違う」という人もいれば、「これこそ僕の待っていた『エースコンバット』だ!」という人もいて、いろいろな意見があると思うんですね。ただ信じてほしいのは、今までの『エースコンバット』を作ったスタッフたちが集結して作っているので、魂というか根本の部分は変わっていなし、大きな進化を遂げたいということです。安心して期待してください!

――ありがとうございました。

 なお、最初にも述べた通り、“『エースコンバット アサルト・ホライゾン』河野プロデューサーサイン入り特製ビジュアル”を、抽選で3名にプレゼントする。ほしい人は、下記の応募ボタンをクリックして、フォームより必要事項を記入して応募してほしい。応募締め切りは11月4日24:00までなので、応募はお早めに!

『エースコンバット アサルト・ホライゾン』
▲こちらがプレゼント用のサイン入り特製ビジュアル。どのビジュアルが当たるかは選べないので、ご了承ください。


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データ

▼『エースコンバット アサルト・ホライゾン』
■メーカー:バンダイナムコゲームス
■対応機種:PS3
■ジャンル:STG
■発売日:未定
■希望小売価格:未定
▼『エースコンバット アサルト・ホライゾン』
■メーカー:バンダイナムコゲームス
■対応機種:Xbox 360
■ジャンル:STG
■発売日:未定
■希望小売価格:未定

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