2010年11月4日(木)
こんにちは。洋ゲー紹介所“洋鯨亭”のRonです。
今回は個人的にこの秋、待望の1本であったXbox 360用A・RPG『Fable III』をご紹介します。こちらは10月28日に発売されたばかりのタイトルですので、これから購入しようかどうか迷っている方の参考になればと思っています。かなり楽しめる1本ですよ。
ちなみに、本作はCERO指定Z区分となっております。本コラムにもお子様は読まないほうが賢明な表現などがありますので、18歳以上限定でお送りさせていただきます。
▲『III』はZ指定のゲームなんですが、その理由のほとんどはエロ方面にあるような気がします(笑)。まぁ、エロといっても過激な表現はないんですけどねー。 |
初代Xbox用として『Fable』シリーズの1作目が発売されたのは、今から5年前の2005年。当時この作品は、“あのピーター・モリニューさんが手がけたRPG”ということで、洋ゲー好きな人たちの間で大きな話題を集めました。
ピーターさんといえば、神と人間をテーマにしたSLG『ポピュラス』や、『ポピュラス』のシステムを進化させた戦争SLG『パワーモンガー』などの作品で知られる、今なお世界中で注目され続けるゲームクリエイターの1人です。
この2作も含め、それまでピーターさんはシミュレーション系の作品を多く手がけてきたわけですが、初代『Fable』は初の本格的なRPGということで注目を集めたんですね。かくいう私も、当時は発売前からこのタイトルが気になっていて、情報を追いかけながらどんなゲームなんだろうかといろいろ妄想し、発売日に速攻でソフトを購入したものです。
その時プレイした感想は“自由度が高くて風変わり”というようなものでした。この感想は続編である『II』にも、最新作の『III』にも同じように当てはまるもので、ある意味これが“『Fable』シリーズらしさ”であるのかなと思っています。
ではここで、シリーズをプレイしたことがない人のために、最新作である『III』の物語を軸に簡単に説明しておきましょう。
本作の舞台はアルビオンという大陸。かつてこの大陸では、世界を震撼(しんかん)させるような大事件が起こりました。それは、ある男の“世界を破壊し作り変えよう”という、恐ろしい理想が発端となって起こりました。この脅威に立ち向かったのが、『III』の主人公の父親です。前作『II』では、この時の冒険が描かれているんですね。
『III』は、そこから50年後の世界が舞台。先の大事件に立ち向かった父は英雄と称されアルビオンの王となった後、現在は主人公の兄が王の座を受け継いでいます。しかしながらこの時代のアルビオンは、王の性格によるものなのか、ひどい暴政が続いています。
そこで主人公である王子は、貧者が続出している現状や兄である王が人の命を軽んじていることに耐えかね、革命を起こすために立ち上がる……という物語です。
こう聞くとストーリーはちょっと堅めなんですけど、前述のように“風変わり”な点は健在。しっかりと、私が感じた『Fable』シリーズらしさは踏襲されているんですよね。
ということで、今回は本作が『Fable』シリーズらしいと思う点にスポットライトを当てながら、じっくりとご紹介していきましょう。
先ほど、本作は自由度が高いと書きました。“自由度が高い”と評価をされるゲームは特に洋ゲーではいろいろとありますが、『Fable』シリーズにおける自由度の高さとは、行動の自由度が高いことを意味します。
具体的には、オープンフィールドで移動できる範囲が広いこと、NPCとのコミュニケーション手段が多いこと、生活面で関与できる点が多いこと、などが挙げられます。
移動できる範囲が広いという点については、オープンフィールドのゲームが増えてきた昨今、それほど珍しいポイントにはならないかも知れませんが……1作目が発売されたころは、まだ十分に新鮮であったと思います。
『Fable』の場合、この“移動できる範囲が広い”というのは、クエストの目的地に向かう途中でも他の場所に好きなように行くことができるということですね。といっても、最初からゲーム終盤に訪れることになる場所まで行けるわけではありません、まぁこのへんはゲームですので当然ですよね。
▲クエストを選択すると、目的地までのルートが光によってナビゲートされます。この機能があるため、広大なマップでも迷うことはありません。ルートから外れて寄り道することも可能ですし、寄り道した場所からのルートも示されますから復帰も簡単です。 |
次は、NPCとのコミュニケーション手段について紹介しましょう。
これはRPGなどで見かける“相手と対話をするか戦うか”という単純な2択ではなくて、笑わせるのか脅すのか、プレゼントを贈るのか、はたまた踊るのか、無礼な態度を取るのかと、なんでこんなに……と思うほど多彩な手段が用意されているのです。また、“武器の安全装置を外す”という選択を行えば、武器でNPCを攻撃することすら可能になります。
▲ゲームの開始直後は、いろいろな人とひたすら握手をしたり会話をしましょう。王子である主人公は遊説こそしませんが、誰彼かまわず握手を求める姿は、選挙活動中に愛想よく有権者と会話をする政治家の姿がかぶります(苦笑)。 |
MMORPGのように人間が操作するキャラクターを相手にしたゲームならいざしらず、コンピュータが操る民衆を相手にここまで多彩なアクションを用意しているのですから驚きです。
また、主人公がよい行いをすれば街ですれ違った人からほめ称えられたり、サインを求められたりしますし、楽器の演奏を始めれば人だかりができたりと、こちらの行動に対してNPC側がさまざまな反応を見せてくれるのも特徴の1つでしょう。
本作におけるコミュニケーションの目的は、主人公に対する民衆の評価を変化させることが中心ですが、その評価によってはプレゼントがもらえたりイベントが発生したりするため、意外とNPCの評価は気にしてしまうんですよね。この評価は、挑戦するクエストの種類やクリアの仕方でも変化してしまいますから、結果的に英雄としてどう振る舞ったかが絶えず問われることになるんですよ。
もちろん、英雄として模範的な行動をすることに窮屈さを感じたら、民衆の評価などは気にせずに悪役になりきって迷惑を掛けまくることができる(もちろん、それによってゲームオーバーにならない)のも、本作の自由度の高さといえます。
▲コミュニケーションの1つとして、見知らぬ女性とダンスを始める主人公(笑)。フィニッシュには、こんなアクロバティックなポーズまで決めてくれます! |
▲依頼主を安全に目的地まで連れて行くクエストなどでは、このように手をつなぎます。ただ、手をつなぐキャラクターの絵面にA・AVG『ICO』のような“さわやかさ”がないのは、たまたま男同士だったからであって(笑)。一応クエスト以外でもちゃんと女性キャラクターとも手をつなげるので、ご安心あれ。 |
最後は、“生活面で関与できる点”について。これはいろいろあるのですが、まず代表的なのはNPCと恋愛や結婚ができることですね。
恋愛については複数の人に色目を使ったりできますし、結婚して嫁以外に愛人を囲ったり、やろうと思えば重婚すら可能です。まぁ、愛人作りや重婚は当然相手にバレると人間関係が崩壊しますので、オススメはできません(苦笑)。
また、あやしげな感じの人と一夜限りの関係を結んだり、結婚してベッドインした場合に避妊具を使うかどうかを選択できたりと、妙に凝った設定が用意されているのも本作の特徴でしょう(ちなみに避妊具を使わないと100%子どもができます)。この部分、取扱説明書にもちゃんと書かれているんですよね(笑)。
▲主人公に一夜のお誘いモーションをかけてくる人も。“キャラクターの情報を見る”コマンドで人物情報を見たら、なんとバイセクシャルということが判明……。『Fable』の世界は、なぜか同性愛者も多めだったりします。あと、浮気性のキャラクターも多いですね。 |
ちなみに結婚するためには町にある家を買って自宅にしなければならないのですが、おもしろいのは生活費の設定ができることです。恐ろしいことに、この額によって奥さんの主人公に対する評価も変化するんですよ!
お金がないうちは安い家、低い生活費で暮らすことになると思いますが、お金がたまったらもっといい家を買って引っ越すこともできますし、暮らしていた家を貸したり売却したりすることもできます。この貸家システムは本当に便利で、町の不動産をたくさん買って他人に貸し出せば定期的に収入が得られる分、お金が早くたまります。しかも家具の入れ替えや壁紙の張替えなどもできて、それによって家の価値も変わったりするんですよ。ただし、時間の経過とともに古くなり資産価値が下がってしまいますから、定期的にお金を払って修繕をしないといけないんですね。
こう聞くと設定が細かくて面倒くさそうに聞こえてしまうかもしれませんが、やってみると非常にわかりやすく、まるでアパートやマンションの経営ゲームのようで楽しいものです。
その他、家ではないですが、飼い犬に芸を仕込ませることができたり、キャラクターに刺青やヒゲを生やすことができたりと、ゲーム進行に直接関係ない細かい点にもカスタマイズできる要素が散りばめられていて、楽しめると同時に本当によくできているなと感心させられます。
→次ページでは『Fable』シリーズが持つ、いい意味でのバカらしさもチェック!
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