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2010年11月9日(火)

【洋鯨亭 第34回】私立探偵が悪魔に挑む物語『アローン・イン・ザ・ダーク』

文:電撃オンライン

【洋鯨亭 第34回】私立探偵が悪魔に挑む物語『アローン・イン・ザ・ダーク』

 こんにちは。洋ゲー紹介所“洋鯨亭”のRonです。

 今回はエレクトロニック・アーツから発売されたPS3/Xbox 360用ホラーアクションアドベンチャー『アローン・イン・ザ・ダーク』をレビューいたします。これは2年前となる2008年に発売されたゲームなんですが、実は私が買ったのは半年ぐらい前なんです。

 忙しくて6カ月以上積んでいたのかぁ……と考えるとややヘコミそうにもなりますが、積んでおいたからといっておもしろさが失われるわけではないですからね! ということで、今やっても十分楽しいこの作品をご紹介しましょう。

■1作目の発売は、なんと18年前!

 ご存知の方も多いかもしれませんが、『アローン・イン・ザ・ダーク(以下、アローン)』シリーズの第1作は1992年にPC用として発売されました。開発を担当したのは、鮮やかなアルマジロのロゴマークが印象的だった、フランスのInfograms社です。

 この作品が発売された当時はコンシューマゲーム機やPCの性能がまだまだ低かったこともあって、ポリゴン表示のゲーム自体が少なかったんですよね。ポリゴンを使っていたとしても、少ないポリゴン数でモデリングされていた分、荒いモデリングのキャラクターが登場するゲームばかりだったんです。

 これは技術的にどうこうというよりも、当時のマシン性能が低かったからなんですね。何しろ1992年といえばスーパーファミコンやメガドライブ、PCエンジンが現役の頃ですから、ポリゴンよりは2Dのドットキャラクターが全盛。ポリゴンを使ったゲームは、どちらかと言うとアーケードの方が進んでいたんですよね。

 ちなみにアーケードで人気を博した3Dガンシューティング『スターブレード』や『ギャラクシアン3』が稼働していたのもこのころです。※正しくは、『ギャラクシアン3』の3は3乗となります。

 さて、そんな状況にあって、荒めの造形とはいえポリゴンキャラクターを操作して探索できる3Dアドベンチャーである『アローン』1作目は、非常に目新しい存在だったんですよ。

【洋鯨亭 第34回】私立探偵が悪魔に挑む物語『アローン・イン・ザ・ダーク』
▲これはセガサターン版の『アローン・イン・ザ・ダーク2』。第1作はもっとキャラクターのポリゴンが少なくて、敵はもちろん主人公の見た目も別な意味で怖かったです……。

 当時私はPC-9801でこの作品を遊んだんですけど、3Dのキャラクターを使った内容からは、アドベンチャーゲームの新潮流となるであろう可能性を感じました。……と同時に、慣れていない3D空間で敵やトラップの数々を回避するのには、かなり苦労させられましたけど(苦笑)。

 それでも何度も挑戦してしまったのは、やっぱりゲーム自体がおもしろかったからなんですよね。ホラーでありながらも、あまりおどろおどろしくなかったのもよかったのかもしれません。

 そんな3Dアドベンチャーの開祖とも言える『アローン』第1作ですが、前述のようにこの作品が発売されたのは18年前。発売された年に生まれた子どもが、もう18歳です。

 そして今回ご紹介するPS3/Xbox 360版の新作が発売されたのが2年前の2008年ですから、その当時でも16年経っているわけです。ところが、というか意外なことに、最新作は主人公が1作目と同じで、なおかつこれまでのシリーズでもある『2』や『3』の話にも触れられているんですね。

 つまりナンバリングこそされていませんが、位置づけとしては最新作でありシリーズの続編でもあるわけなんです。

■主人公はシリーズでおなじみの私立探偵

 第1作のPC版は、1924年が舞台でした。主人公の私立探偵エドワード・カーンビーが、とある芸術家の自殺を調査するうちに、その自宅で次々と起こる恐ろしい事件に巻き込まれていく、という物語でした。

 ミステリーやホラーを題材にしたゲームは当時もありましたが、これにクトゥルー神話の要素を加えていたのは当時のゲームでは珍しかったように思います。次いで発売された2作目もこの路線でいくのかと思いきや、一転してブードゥー教やゾンビなどを題材に選んでいて、いい意味で予想を裏切られたのを覚えています。

 こんな設定が散りばめられた『アローン』シリーズは、当時からストーリーに凝っている作品という印象がありました。物語の時代が今から90年近く前の1920年代ということもあって、舞台になっている牧歌的な田舎の風景と、そこで起こる人知を超えた怪現象が今ほど科学技術が発達していなかった世界にマッチしていたと思います。

 暗い場所に放り込まれ、クリーチャーが現れて肉体的な恐怖を感じる、というより、自分の周りで超常現象が次々に発生し、よくわからない状況に置かれてしまう精神的な怖さを感じることが多い作品だったんですよ。

 もちろんクリーチャー系の敵も登場するのですが、プレイヤーに対する怖がらせ方が、クリーチャーに頼ったものばかりではなかったんですね。

 では、最新作のPS3/Xbox 360版『アローン』はどうかというと、こちらは現代のニューヨークが舞台になっています。1924年に活躍した主人公が現代に!? というと、「あぁ、100歳過ぎの老人が主人公なんだな」と思う人もいるかもしれませんが、当然そんなことはありません。

 いや、それはそれで新しいかもしれませんけどネ(笑)。でも格闘も含めてアクション全般が厳しい内容になってしまうでしょう(汗)。ということで、主人公は1作目と変わらないような年齢で登場するのですが、その理由はゲーム内でしっかりと語られています。真相はプレイしてのお楽しみ、ということで。

 さて、主人公がそんな状況になってまで現代で活躍しなければならないのには、もちろん理由があります。それは、ニューヨークのセントラルパークに隠された“とある秘密”を解くこと。この目的はゲームを進めることで明らかになっていくわけですが、主人公はある理由から記憶を失った状態でゲームが始まるので、最初はこういった目的はもちろん、自分が何者なのかすらわからないのです。

【洋鯨亭 第34回】私立探偵が悪魔に挑む物語『アローン・イン・ザ・ダーク』
▲物語は、セントラルパーク近くにあるビルの一室から始まります。記憶を失い見知らぬ老人とともに部屋に押し込まれている主人公。いったいここに来るまでに何があったのでしょうか?

■こんな小さなアクションは珍しい!?

 ゲームの開始直後は、この謎めいた物語や物理演算を多用したハデな破壊表現の他に、一風変わった操作にも注目してほしいと思います(今回はXbox 360版でのプレイとなります)。

 それは右スティックを押し込むことでできる“まぶたを閉じる”という操作。ジャンプや走るといったダイナミックなアクションは本作にもありますが、まぶたを閉じるという非常に小さなアクションを採用するゲームは珍しいと思います。

 と言ってもこれはムダなアクションではなくて、ちゃんとゲームに生かされているんですよ。主人公は意識が朦朧(もうろう)とした状態になったり敵に毒液を吹きかけられると視界がぼやけるのですが、その際に何度もこの操作をするとまばたきをしたことになって、視界をクリアにすることができます。視界をクリアにしないと、前に進むことも敵を狙って攻撃することもできないので、非常に危険なわけです。

 また、右スティックを押し込んだまま目を閉じた状態にすると、当然視界は真っ暗になってしまいます……が! “この状態でしか見られないもの”もあるんです。それは何かというと……答えは物語の謎にも関係しますので、ここでは教えられません。つまり、まぶたを閉じる動作は謎解きにも使われている、おもしろいアクションということです。ただ、前半はあまり使わないところがちょっと残念なんですけどね。

【洋鯨亭 第34回】私立探偵が悪魔に挑む物語『アローン・イン・ザ・ダーク』
▲ボタン操作で行う、まばたき。ゲームの序盤より、終盤で活用することが多くなります。

→立ちふさがる敵と戦うコツは、アイテム合成!(2ページ目へ)

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