2010年11月9日(火)
さて……ここまで読んだコアゲーマーの方、オリジナル版をやり込んだ方には「ヌルくなってる!」と感じる人もいるのでは? 「そんなの認めないぞ~」と思っている人もいるのでは?
オリジナル版をプレイした人にとってみれば、過去の作品を知っているからこそ味わい深くなる、追加要素が多く散りばめられているのも本作の魅力です。たとえば、新規追加キャラクターの3人にまつわるシナリオは、今回の『タクティクスオウガ』でなければ味わうことができません。
新キャラのシナリオのなかには、本作の根底に横たわる民族紛争問題を語る中で避けては通れない、“混血”にまつわるエピソードも存在します。そして、オリジナル版には存在しなかった、新たな結末も……!? しかも、追加されている強い強い強~い武器がタイヘンなことに……!!
そう。これからの15年、また『タクティクスオウガ』を語り継ごうというのならば、もはや今回のPSP『タクティクスオウガ 運命の輪』を知らずしては先に進めないのです! オリジナル版をやり込んだ人には、新バトルシステムももちろんですが、新エピソードにこそじっくり触れて、15年前との比較を楽しんでいただきたいです。
あとは、縛りプレイもぜひどうぞ! 弓禁止プレイとか、強くなったというウワサのモンスターユニットを使わないプレイとか。プレイスタイル次第で、難易度が大きく変わる本作。ストイックプレイのバリエーションがどう広がっているのかも、楽しみにしたいところです。
他にも言いたいことはたくさんあります。最大でセーブデータが100個作れるとか、中断データも複数個作ってストックしておけるのが超ベンリとか、もうホントに音楽がステキすぎて明るさの限界を突破しそうとか……。
でも、そんなことを言っていたら、この原稿がちっとも終わらなくなるので、私はこのひと言を、とりあえず叫んでおこうと思います。
▲ショップの親父が、素材を釜に放り込んで合成してくれます。実行するのにお金はかかりませんが、合成には成功率があるため、必ずしも1回で合成ができるとは限りません。たいてい素材を山ほど買い込んで使うことになるので、必然的に親父は儲かるようです。 |
“合成”は序盤で少しお話を進めると、各ショップで行えるようになります。レシピに沿った素材を用意して、新アイテムを作成。装備品の強化が主になるのですが、この強化された装備品というのが地味に強い! 攻撃力などの底上げはもちろん、追加効果が付加されたりして、とにかく効果的なのです。
▲これが普通のロングボウ。 | ▲こちらが合成で作ったロングボウ+1。爬(は)虫類に効果てきめん仕様!! |
騎士団全体の強化にもつながるなぁと思い、試しにと合成ガンガンやってみたら、これが楽しくて楽しくて! レアなアイテムほど合成成功率が低く、失敗すると素材が全部ロストしちゃうんですが、事前にセーブしておけばロードしてやり直せるので安心ですし。
丸太から木材を削って~♪ 雑鉱石から銅鉱石と錫石作って、それをまとめてブロンズインゴットにして~♪ 獣の皮をなめして~♪
うおー! どこかのゲームでもこんなことしてたぞー!!(←うれしそう)
この合成作業が、面倒なれど楽しいのです! ちまちまと作った装備で出撃すれば、如実に強くなったのを実感できることも多いし、ついついあれもこれもと合成三昧。そしたら見事な金欠に陥って、現在、うちの紅竜騎士団は、新しいレシピを手に入れるたびに家計が“火車(かしゃ)”です。
さて、長々と語ってまいりましたが、いかがでしたでしょうか。『タクティクスオウガ』が私たちに与えてくれるものは、単なる戦略ゲームのおもしろさだけではありません。深く、暗く、社会に横臥(おうが)する血の問題、それに伴う戦争の痛みを知らされる、珠玉のゲームシステムとシナリオ。今回テストプレイをしてみて、私はぜひ、この作品の持つ“重み”をよりたくさんの人たちに知ってほしいと思うようになりました。
序盤で訪れるあの町で、雨の夜に、あなたが下す決断。
悩み、迷い、うろたえ、泣きながら、でも、生きてみてください。
秋から冬の夜更け、上質な映画や本を楽しむように、じっくりと『タクティクスオウガ』に“淫してみる”のも、ステキな過ごし方だと思います。かなり華麗な時間泥棒ですので、寝不足にはどうかお気をつけて(笑)。(“火車”と“淫してみる”は次号の『電撃ゲームス』で明かされるサガコ)
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※画面は開発中のもの。