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2011年1月13日(木)

次の世代交代ゲームでは生きたキャラを描きたい――『V&B』インタビュー 後編

文:ごえモン

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――クリア後のオマケモード“クロニクルモード”の名前が、“ブレイブス・レジェンドモード”になった理由を教えてください。

川島:“クロニクルモード”に関しては、ルール的には変わっていないし、ゲームシステムも変わっていないのですが、若干違うモードになったと思っています。イベントが10種類追加されていて、『テイルズ オブ』キャラクターも入ってきているので、それらをフル活用してプレイすると、以前の“クロニクルモード”とは違う形で騎士団を強化することができるはずです。そういう意味でゲームの遊び方が変わってきているので、名前から変えたほうがいいだろうと“ブレイブス・レジェンドモード”に変えました。

 私自身も、“ブレイブス・レジェンドモード”をプレイしていて「あ、違う! これを使ったらこうなる」というようなことが、すごくたくさんありました。追加イベントの1つの“ギャンブル”なんかは、僕はよく使いますね。成功すると世界の魔物がすべて消えるイベントなんですが、これがすごい使えるんですよ。ギャンブルのおかげで私のプレイスタイルが変わりましたからね。遠くの敵はギャンブルで消すみたいに、真面目にプレイしなくなりましたよ(笑)。なので、イベントを1つ1つちゃんとこなしていくと、違う必勝法が出てきます。

『ヴィーナス&ブレイブス ~魔女と女神と滅びの予言~』 『ヴィーナス&ブレイブス ~魔女と女神と滅びの予言~』
▲“敵の体力ぴったりのダメージを与えて倒せ”を始めとする、条件つきの戦闘に挑戦して、条件を満たして勝利すると、フィールド上の魔物すべてを一掃できるという戦闘イベント“ギャンブル”。

――以前にプレイした人でも、新鮮な気持ちでプレイできるんですね。

川島:できると思います。これだけプレイしている私でも、新鮮な気持ちでプレイできているぐらいですからね(笑)。PS2版をプレイしていた人でも楽しめると思います。

――なぜ、“ブレイブス・レジェンドモード”に他のゲームのキャラクターを登場させることになったのでしょうか?(SARU_04さん)

川島:“ブレイブス・レジェンドモード”での遊びの幅を広げる一環として、またより多くのプレイヤーに遊んでもらえるような仕掛けを入れよう、という議題が会議に上がったところからですね。ただ、先ほども言ったように『テイルズ オブ』のキャラクターは罠なんです(笑)。術技を覚えてしまうと、それに頼りっきりなってしまいますからね。引いた視点で見ると、ゲームの難易度は下げているようで実は上げているんです。で、そういうのは悪くないと思っているんです。気楽にプレイしたいユーザーにとっては、強化する手段が増えるので遊びやすくなるはずですし、モードをただクリアするのではなくて、いかに強い騎士団を作るか? という視点から見ると罠になっている。そんないろんな価値観によって、マネジメントの要素・醍醐味・おもしろさが増えるのは悪くないかなあと思います。そこにきて『テイルズ オブ』キャラクターはわかりやすいですし、エステルが誰でリオンがどんな技を持っているかなど、皆さんはご存知だと思うので、わかりやすい能力アップができますし、ゲーム性も高まる。なので、入って損はないと思っています。

――“ブレイブス・レジェンドモード”で、ギャンブル以外にも好きなイベントはありますか?

川島:数年先に団員を送る“まどろみの道”は、深くてレベルの高いイベントですね。これは、先の騎士団の危機がわかっている人には使いこなせるイベントで、そういう構想を持てない人にはわけのわからないもののはずです。たとえば、強いキャラ2人があと6年でピークを迎えるとします。そこにあと1人強いキャラを入れたいと思ったら、あと1年でピークを迎えるキャラを5年先に送るんです。そしてその3人がそろった時に、最強の中列トリオができ上がる、というような調整が“まどろみの道”を使うとできます。

『ヴィーナス&ブレイブス ~魔女と女神と滅びの予言~』 『ヴィーナス&ブレイブス ~魔女と女神と滅びの予言~』
▲“まどろみの道”は、団員の中から1人を選んで5年後の未来に送り込み、将来の危機に備えるというもの。送り込んだ時の年齢や強さを保ったままで、5年後に再会する。

――“ブレイブス・レジェンドモード”では10のイベント追加とありますが、無茶を承知でイベントを倍くらいに増やしてほしいです……。(冬犬さん)

川島:ちょっと遅かったですね(笑)。ただ、案がないから10個ではなくて、仕様書レベルでは30個ぐらいイベントがあったんです。それを実際に遊んだり、調整して10個なんです。そういう意味で厳選された10個のイベントになっているので、それを楽しんでほしいですね。

――川島さんの作るゲームの繊細な物語が好きなのですが、この物語を作ったきっかけはなんですか?(わらびさん)。川島さんが手掛ける作品はとても幻想的で独特の世界観があり大好きです。そんな素敵な世界観を作り上げるために心がけておられることってありますか?(幻影のミリアさん)

川島:好きか嫌いかは置いておいて、人間に興味があるんだと思うんです。人間のことを考えていくと、どうしても感情に行き着いてしまうので。そうすると、その“感情をゲームの中でどう揺さぶるか”とか、“キャラクターたちの感情をどう描くか”にどうしても注意が向いてしまうんだと思うんです。それで『ヴィーナス&ブレイブス』のような世界観やストーリーに、結果的にでき上がるんだと思います。

『ヴィーナス&ブレイブス ~魔女と女神と滅びの予言~』

高橋:世界観やビジュアル、システムに関して、『7』はとにかくオリジナリティを追求した作品になっているんです。それらに合ったキャラクターをデザインしたかったのですが、もともと『7』みたいな絵柄を描いていたわけではなかったので、自分にない要素を出していかなければなりませんでした。漫画やアニメのイメージだけでは『7』や『ヴィーナス&ブレイブス』のような世界観に合わなかったので、『7』を作った時はチェコの人形アニメを観たりしていました。幻想的であったり、怪奇的であったりと毒のあるビジュアルをチェコの人形アニメに感じたので、そういった部分を取り入れたりしていました。

 『ヴィーナス&ブレイブス』は、『7』の雰囲気を残しつつも、もっと幅広いユーザーの方に気にっていただけるように絵柄を変えたところがります。でも、なるべく『7』のファンの人たちにも好きになっていただけるように注意したつもりです。

『ヴィーナス&ブレイブス ~魔女と女神と滅びの予言~』 『ヴィーナス&ブレイブス ~魔女と女神と滅びの予言~』

――初期設定ではレオが女だったとどこかで聞いたことがありますが、それは本当なんですか? 本当だとすれば、どういった経緯で男になったのでしょうか?(大事なのはミレイ。それとマユラ。さん)

高橋:レオはプロット段階から男でした。ただ、『ヴィーナス&ブレイブス』の絵柄のテストとして女性キャラの顔を描いたことがあって、レオの顔はその女性キャラを元にしているので、そういうウワサが立ったんじゃないかと思います。

――ストーリーモードのキャラクターでアルヴィが仲間にならなかったのだけがとても残念だったのですが、最初から仲間になる予定はなかったキャラクターなのでしょうか?(千鶴さん)

川島:アルヴィは初めから仲間になるキャラクターではありませんでした。彼女には彼女の“街を守る”という責任がありますから、一緒には来られなかったんだと思います。

――子どもの名前にゲフャッハーという候補を入れた理由は?(リズさん)

川島:ディレクター・川口さんのセンスですね。「絶対に選ばないだろう」という名前を1つ入れようとして入れたんですが、皆さんが意外とゲフャッハーばかり選んでいたという(笑)。

――オープニングで、アグレスを一刀両断するギラギラしていたころのブラッドの昔話って、どんなものだったんでしょうか?(下駄さん)

川島:“神殺しのブラッド”ですから、昔はかなり悪い人でした。ブラッドはそもそも軍人で、軍隊を率いてあちこちで人殺しをしていたので、かなりやんちゃだったと思います。生き急いでいたというか、自分から率先して死にに行くような人間で。でも年を取ったら、ウォルラスに“大事なのは間合い”って説教するんですよね(笑)。

――川島さんの好きなキャラクターは誰ですか?(ヴィックルヴィーさん)

川島:ヴィヴィが好きですね。ヴィヴィが一番寂しいですよね。彼女もはやく素直になれば……「好き」って言ってほしければ、自分から「好き」って言ったほうがいいぞって。そこに気付けばいいんですが、ずっと突っ張っているところがすごい好きです。

――川島プロデューサーが育成した騎士団の自慢を教えてください。(じゃがいも男爵さん)

川島:ありすぎて語り尽くせません(笑)。ただ、いいものはたくさん持っていますよ。

――PSP版でもCOS-MOSの出番はあるんですか?(xioさん)

川島:出てきます。懐かしみながら見ていただければと。

――ブラッド団長の刺青って背中にもありますよね? あれは自分で頑張って手を伸ばして彫ったものなんでしょうか? それとも誰かに手伝ってもらったのでしょうか? ずっと気になっていたんですよねー。(服部 左右さん)

川島:鏡を見ながら、自分で彫っていると思います。仲間が1人死ぬたびに彫るものですから、誰かに任せるとしてもそういう意味でちゃんと彫っていると思います。

――『7』や『ヴィーナス&ブレイブス』の世界観・システムを使ったゲームの続編は今後出ますか?(わらびさん)

川島:会社のことを無視すると、個人的には作りたいです。『7』と『ヴィーナス&ブレイブス』を作って一番不満だったのが、“それぞれのキャラクターたちがちゃんと生きている”ということを描ききれなかったこと。彼らはNPCなので本当は生きてないんですよ。なので、本当に生きていると思えるネットワークに特化したような、世代交代ゲームをぜひ作りたいです。『7』のリメイクは、PSP版『ヴィーナス&ブレイブス』が売れれば可能性はあると思います(笑)。ぜひ、応援してください!

――サントラの発売予定はあるのでしょうか?(マスターチーフさん)

川島:『ヴィーナス&ブレイブス』のサウンドトラックを出す予定は現状ありません。ただ『7』のBGMは、今後iTunesで配信する予定です。

――最後に読者にメッセージをお願いします。

『ヴィーナス&ブレイブス ~魔女と女神と滅びの予言~』

高橋:今回、キービジュアルのために7年ぶりにキャラクターを描きました。できるだけたくさんのキャラクターをみなさんに見てもらいたくて、大変でしたが小さいキャラクターも丁寧に描いているので、店頭用の大きいポスターを発見したら、ぜひ見てもらいたいと思います。インターネットでPSP版の発売を知ったファンの人たちの書き込みを見て、ずっと待っていてくれた人がたくさんいらっしゃったんだとわかり、この作品にかかわれたことをうれしく思いました。キービジュアルを描いて、当時のスタッフから「キャラクターが大人っぽくなりましたね」と言われまして、『ヴィーナス&ブレイブス』ファンの人たちの心の中でも、キャラクターたちが7年間成長し続けていたのかもしれないと思い、大変感慨深かったです。店頭でパッケージを見かけたら、ぜひ手にとっていただければなと思います。

川島:初めてプレイする人は、「変なゲームだな」なんて思いながらプレイしていただければなと思います。なかなか似たようなゲームは他にはないと思っているので「こういうゲームもあるんだ」という感覚をぜひ楽しんでいただきたいです。以前にプレイした人は、7年間で自分がどういうふうに変わったかを、ゲームをプレイしながら再確認するのもまたいいんじゃないかと思っています。“ブレイブス・レジェンドモード”をプレイしていただけたら、どんな騎士団ができて、どんなイベントが起こって、自分がどんな歴史を紡いだかをぜひ発信していただきたい。それを読むのがめちゃくちゃ楽しいので。そういうふうに楽しんでいただければ、作った人間としては一番うれしいかな、と思っております。

(C)2011 NBGI

データ

▼『ヴィーナス&ブレイブス ~魔女と女神と滅びの予言~』ダウンロード版
■メーカー:バンダイナムコゲームス
■対応機種:PSP
■ジャンル:S・RPG
■発売日:2011年1月20日
■価格:4,700円(税込)

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