2011年1月14日(金)
――シナリオのテーマやコンセプトについて教えてください。
小高:“サイコポップ”です! 元気にサイコ!!
――なるほど! では、バトルロイヤル的な学級裁判というアイデアはどういったきっかけで生まれたのでしょうか?
小高:推理ゲームというと、1対1で淡々とクイズを説いていくパターンが多いんですが、そこにもっと臨場感やスピート感、テンポよさを盛り込みたいなと思いまして。それに、キャラクターたちが議論し合うスタイルの謎解きを加えました。
――シナリオ制作の上で苦労したことはありますか?
小高:やはりトリックは苦労しましたね。物理的なトリックで人を殺したというのだけではなく、そこに個性的なキャラクターならではの事件性や、他の人物の思惑などを織り交ぜながら物語を作っていくのが難しくて。結構な時間を掛けて、みんなに相談して意見をもらいながら固めていきました。
――本作はいろいろな人物が物語の途中で退場していきますが、最後に残るキャラたちは最初から決めていたのでしょうか? それともシナリオを書いていく上で残ったキャラなのでしょうか?
小高:どちらのパターンの人物もいますね。事件中心にシナリオを書いていったので、こういう事件を起こすならこういう奴じゃないとダメだから、彼には死んでもらおうとか。ただ、普通では想像がつかない展開を盛り込みたいと思っていました。どう見ても雑魚キャラっぽい人物がなぜか生き残るとか(笑)。そういう意味では、舞園さやかを最初の被害者にしたのもユーザーさんを驚かせようと思った結果です。メインヒロイン的なキャラクターを最初に殺そうと。
――あれはビックリしました。ここで死んじゃうんだと。シナリオには、結構パロディネタや下ネタも盛り込まれていましたよね。
小高:全身全霊込めて書きました(笑)。陰惨なシチュエーションの中にギャグを入れ込むことで、展開に落差を付けようと思ったんです。マジメなパートで急にふざけたことを言ってプレイヤーを揺さぶりつつ、飽きさせないようにしたいと。ですから、ブラックジョーク的なセリフやエピソードはどんどん盛りこんでいこうと考えていました。僕なりのエンターテイメントが、ああいう形になってしまいました。
――主人公・苗木誠のキャラクターを作るにあたってこだわった点を教えてください。
小高:登場人物は15人くらいの高校生を考えていて、それぞれ特徴的なキャラクターにしたいって思っていました。その中で主人公は、個性的なキャラクターたちの中で感情移入しやすい、プレイヤーにもっとも近いキャラクターにしようと思っていました。デザインは小松崎に丸投げです(笑)。
小松崎:苗木に関しては、“地味”っていうだけであとは特に指示されなかったですね。最初、移動画面はTPS視点を予定していたんです。主人公の背中を見て移動する予定だったので、背中を中心にしたデザインにしようと思って、とりあえずパーカーを着させました。結果的にTPSではなくFPS視点の移動画面になってしまいましたが……。
――これだけの数のキャラクターをデザインする際に、気を付けたことや苦労したことなどはありますか?
小松崎:もともと僕が好きで描いている絵が、大神さくらや山田一二三のようなキャラクターなので、美形やかわいいキャラを描くのはすごく苦労しました。女性キャラは全般的に大変でしたね。舞園、十神白夜、霧切響子は何回も描き変えたりして、時間はかかっています。逆に山田は、企画段階のひな形からほとんど変わっていません。ツノが生えたくらいです。
小高:でも、オーガ(大神さくら)は大分変わったよね? 最初よりも振り切ったというか。
小松崎:そうですね。学生時代からマッチョな女子高生の絵ばかり描いていたので、マッチョ女子高生萌えがこれから芽生えてくれるといいなという思いを込めて、セーラー服マッチョに(笑)。
――マッチョ女子高生萌え……かなり新しいジャンルですね。キャラクターを作り上げていく際、苦労したキャラや印象的だったキャラはいますか?
小高:意外とシナリオを書き始めてからは苦労しなかったですね。今回はキャラクター性を振り切って極端にしようって決めていたので、このキャラクターだったらこうしそうだなっていう行動パターンがわかりやすく想像できたんですよ。だから、書き始めたらそんなに苦労しませんでした。
――逆に書きやすかったキャラクターは?
小高:書きやすかったのは、腐川冬子と山田ですね。腐川のジェノサイダーのところや、山田の極端なオタクというところは書きやすかったです。僕の“負の部分”が乗り移ったという感じで(笑)。
――さまざまな超高校級のキャラクターが登場しますが、考えたけれどもボツになってしまったキャラクターはいますか?
小高:結構いましたねえ。“超高校級の女王”とか。設定資料で女王って書いてある後ろに“(実は尼)”ってあって、何を目指しているのか意味がわからなかったですね(笑)。あとは“超高校級の飼育委員”や“超高校級のドッグトレーナー”かな。こちらは、動物が出てこないのでボツになりました。
――動物らしいキャラクターはモノクマくらいですもんね。
小高:モノクマも動物かどうかは怪しいですけどね(笑)。
▲超高校級の格闘家・大神さくら。彼女がきっかけとなって、マッチョ女子高生萌えの時代はくるのか? | ▲小高さんが書きやすかったという、超高校級の文学少女・腐川冬子。 |
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