2011年1月25日(火)

マスターアップ2カ月前に大変更!? 『ぎゃる☆がん』開発者が秘話をマジメに語る

文:電撃オンライン

 アルケミストから、1月27日に発売されるXbox 360用ソフト『ぎゃる☆がん』の開発スタッフにインタビューを行った。

『ぎゃる☆がん』

 本作は、“3D・眼(ガン)STG”と銘打たれた完全新規のタイトル。プレイヤーは、見習い天使によってモテモテになってしまったテンゾウを操作して、言い寄ってくる女の子たちを眼力でなぎ払いながら、意中の人に告白することになる。ゲーム内容はこちらの記事を参照のこと。

 インタビューに応じてくださったのは、開発を手掛けたインティ・クリエイツの開発部長・成田悟さんとデザイナーの伊東大典(まさのり)さん、そしてアルケミストのプロデューサー・中川滋さん。東京ゲームショウ2010(以下、TGS2010)で話題を集めた『ぎゃる☆がん』の開発経緯や苦労話などを語ってくれた。

『ぎゃる☆がん』
▲左から伊東さん、成田さん、中川さん。伊東さんは『うみねこのなく頃に ~魔女と推理の輪舞曲~』のマイクロファイバータオルをかぶって登場。なぜかぶっているのかは、本人だけが知っている。

●横スクロールACTがギャルSTGに変化!?

――まずは、成田さんと伊東さんが、これまで手掛けた作品を教えてもらえますか?

『ぎゃる☆がん』
▲制作の進行管理を担当した成田さん。3Dでギャルを作るという本作では、苦労も多かったようだ。

成田:もともと私はCGデザイナーをやっていまして、『ロックマン ゼロ』シリーズや『クレヨンしんちゃん』シリーズの背景を中心にやっていました。マネージャーになってからは、DS『超劇場版 ケロロ軍曹 撃侵ドラゴンウォリアーズであります!』やDS『ド根性小学生 ボン・ビー太 裸の頂上ケツ戦!! ビー太VSドクロでい!』の進行管理をしてきました。

伊東:僕は、入社して一番最初にかかわったのがDS『株トレーダー瞬』で、次がDS『ロックマンゼクス アドベント』のザコキャラのデザインですね。その後は、DS『ドラえもん のび太と緑の巨人伝 DS』の手伝いなどをしていました。ただ、3年ほど前から『ぎゃる☆がん』が動き始めていたので、以後はそちらがメインになります。

成田:何気に開発期間は長いんですよ。

――本作の企画の立ち上げと開発の経緯は?

伊東:終わったことはドンドン忘れていきたいと思っているので……あんまり覚えてないんですよね(苦笑)。

成田:ちょっとちょっと、そんなことはないでしょう。

――社内プレゼンから出た作品と、発表会の時に話していらっしゃいましたね。

伊東:3人くらいのチームで作品を提出する、という内容だったんですが、最初に出したのは堅苦しくて「もっとはっちゃけたものを出してくれ」と他のメンバーから告げられました。なので、この『ぎゃる☆がん』をチームとは別に個人で出したんです。その後、皆で作ることになったという流れです。

成田:コンペティションの内容で、会社側から「多人数参加型の2Dの横スクロールACT」というオーダーがあったんですが……全然違うものが出てきたんですよ!

伊東:ハハハハ。それがそのまま通ってしまったので、今から思えばちょっと卑怯(ひきょう)だったかなと。

――社内での反応はいかがでしたか?

『ぎゃる☆がん』
▲原案からシナリオ、そしてキャラデザまで、『ぎゃる☆がん』の軸を作りあげた伊東さん。

伊東:ウケはよかったですね。一発ドカンといきましたね! ……でも、実際に誰もがこの案が通るとは思っていなかったんじゃないでしょうか。

成田:設定がおもしろく、コンセプトもわかりやすかったので評価されたんですが、実際に作るとは誰も想像していなかったと思います。しかし、副社長の津田(『ロックマン』シリーズにかかわっている津田祥寿さん)が「これはウケると思うよ」と発言し、動き出しました。まず最初は、表現の研究に入りました。

――反対する人や意見は出なかったのでしょうか?

成田:社内でダメ出しは……思い浮かばないですね。Web番組『ぎゃる☆がんTV』の中では、ネタっぽく答えている人もいましたが(笑)。露骨にセクシー、というかエロい表現にすることについては、いろいろな意見が出ました。

伊東:露骨過ぎるのは、ドキッとしないんですよ。なので、そのサジ加減は注意しました。

『ぎゃる☆がん』
▲画像は、任意で風を起こすことができる“妄想モード”。ゲームを遊ぶ際には、スカートの揺れにも注目してみては?

成田:たとえばスカートの揺れですが、パラメータを軽くしすぎると全然色っぽくない。でも重くしすぎるとめくれない。そこはいろいろと議論しました。

――当時から、今公開されているようなゲームシステムが構築されていたのですか?

成田:レールシューティング(移動は自動で、プレイヤーが狙いだけを定めて撃っていくゲーム)のガンSTGで、女の子が迫ってくるというのは、すでにでき上がっていました。その部分は一緒ですが、ゲームシステムやヒロインの扱いなどは全然違いました。ギャルゲーというより、ヒロインを作り上げてカスタマイズしていくという……女の子を使った、ややマニアックなゲームになっていました。そういう意味ではもっとインティくさいゲームでしたね。

伊東:そもそもシナリオもなくて、シューティングをひたすらやっていくゲームでした。そこらが変化していったのは、アルケミストさんと組んだことが大きかったですね。

――ACTやAVGにせず、STGにこだわったのはなぜでしょう。

伊東:もともと『ぎゃる☆がん』を作ろうと思ったのは、ゲームセンターでガンSTGを見ていた時に「敵が女の子で、迫ってきたらおもしろいのになぁ……」と考えたのがきっかけです。基本になっているのがSTGなので、そこは外せませんでした。AVGにしたら普通のギャルゲーになってしまい、インパクトはまったくなかったと思います。

――Xbox 360というハードを選択した理由を教えてください。

成田:もちろん、すべてのハードを社内では検討しました。そんな中で、アルケミストさんと出会い、女の子という題材であったり、FPSではないにしろSTGという市場を考えて、Xbox 360だろうという結論に達しました。

中川:……。

成田:あれ? なんで黙っているんですか?

中川:いや、当時を振り返っていました。

――アルケミストさんのところに話が来たのは、いつごろだったんですか?

『ぎゃる☆がん』
▲途中から参加することになったという中川さん。最初は他のスタッフが担当していたという。

中川:2009年の1月末ですね。

伊東:もう2年前のことです。僕と背景担当の2人で開発するという期間が半年くらいありまして(笑)。プログラマーもいなくなってしまい「このまま、なくなってしまうのかな」とまで思いました。

――アルケミストさんとタッグを組むことになった経緯は?

成田:うちのスタッフとアルケミストさんのプロデューサーの方が知り合いで、「持ち込みしてみない?」とお誘いいただきまして、見ていただいたのがきっかけです。

中川:当時はビックリしましたね。「なんか、すごいのが来たぞ」って。

(一同笑)

中川:今はココにいるんですが、当時は別の人間が担当していたので客観視していたんです。プロトタイプは表現が痛そうだったので「これ、大丈夫かな?」っていう印象でした。ただ、かかわることになった後から、開発がガンガン進み、ゲーム内容もどんどん磨かれていきました。

→次のページでは女の子の表現について語る!

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