News

2011年2月15日(火)

【洋鯨亭 47回】洋ゲーっぽい雰囲気に誘われて『マインドジャック』をプレイ

文:電撃オンライン

前へ 1 2

 さて、マインドハックには他のアクションも用意されています。それが“ハックイン”と“ハックアウト”です。このアクションは、たとえるなら“幽体離脱(ゆうたいりだつ)”と“憑依(ひょうい)”のような操作と言えば伝わりやすいでしょうか。

 本作の主人公はあくまでもジムなんですが、ゲームでは“プレイヤーがジムを操っている”という見せ方をしています。したがって、プレイヤーはジムの身体から幽体離脱をして(ハックアウト)、近くにいる人やロボットに憑依する(ハックイン)ことができるんです。ハックアウト後は“ワンダラー”と呼ばれる魂のような状態になり、ハックインするまで攻撃ができなくなりますが、なんと攻撃されることもないのです。

 ワンダラーの時にはコンピュータがジムを操作しますし、ハックインは行動を共にしているレベッカはもちろん、その辺にある小型ロボットや、銃撃戦に巻き込まれて怯えている一般人も対象になります。そうなると「では真の主人公は誰なんだ?」と疑問に思うかもしれませんが、それはもちろん“プレイヤー自身”です。いやいやそうではなく、じゃあそのプレイヤーはどのキャラなのさ、というと……実はこの世界で“マインドハッカー”と呼ばれている者なんですね。これは、意外と驚きでした。ということは、すでにジムはマインドハッカーの手に落ちていて……!?

 さて、そんな物語の中核はプレイして確かめてもらうとして、マインドハッカーとなって行なうハックインとハックアウトは、近くに武装したロボットがいる際にその火力を利用したり、ジムやレベッカ以外の一般人を捨て駒(ひどい……)として戦わせるために利用できます。また、ハックアウトは誰かにハックインしている状態で一定のダメージを受けて弱った状態になった時にも、強制的に発動します。この際、近くにハックインできる人間がいないとそのままゲームオーバーになりますのでご注意を。

 なぜ人間ではなくそのへんにあるロボットではダメなのかというと、人間でないとマインドパワーを使って弱ったキャラクターを回復する(レストアする)ことができないからなんです。この世界ではマインドパワーで人間を回復することができるのですが、それができるのは人間だけ、ということですね。

 もう少し説明すると、たとえばジムとレベッカが弱った状態になり、プレイヤーがワンダラーになったとします。この時、他の人間にハックインできれば、その人間を使ってジムとレベッカを回復することができるけど……近くに人間がいないとゲームオーバーになるということです。

 ジムとレベッカが弱った状態でいられる時間には限りがあるため(放っておくと死亡する)、ワンダラーになると非常にあせるんですよね。主人公が攻撃を受けすぎたら即死亡……ではなくて、他者を利用して復活させられる点が、本作のキモでもあり実におもしろいところなんです。

【洋鯨亭 47回】洋ゲーっぽい雰囲気に誘われて『マインドジャック』をプレイ 【洋鯨亭 47回】洋ゲーっぽい雰囲気に誘われて『マインドジャック』をプレイ
▲ハックアウトしてワンダラーになると、このような画面で空中を移動することができます。まるで幽体離脱ですね。▲ハックインできる対象には、身体の周りに輪のようなマークがついています。
【洋鯨亭 47回】洋ゲーっぽい雰囲気に誘われて『マインドジャック』をプレイ 【洋鯨亭 47回】洋ゲーっぽい雰囲気に誘われて『マインドジャック』をプレイ
▲一般人には能力の違いがあって、ハックインすると“ヒットポイントが高い”、“素早く移動できる”などの能力を発揮します。それまで怯えていた人がハックイン後にスックと立ち上がり、銃を手にバリバリ戦う姿はギャップがすごくておもしろいです(笑)。▲ジムかレベッカのどちらかが弱ったら、早めに回復(レストア)させましょう。

■オンラインで楽しめるハッキングプレイ

 『マインドジャック』のシナリオモードはオンラインに対応していて、時には自分が進行中のゲームに乱入されたり、他のプレイヤーの世界に乱入することもできます。そして乱入する場合は、自分が乱入先でそのプレイヤーの敵になるか(レッドチーム)味方になるか(ブルーチーム)を選択することができます。

 乱入直後はワンダラーの状態になりますから、付近にいるNPCにハックインして、そのキャラクターを操作して戦います。そして、ゲームは乱入された側のプレイヤーがそのステージをクリアするまで続くんですね。

【洋鯨亭 47回】洋ゲーっぽい雰囲気に誘われて『マインドジャック』をプレイ 【洋鯨亭 47回】洋ゲーっぽい雰囲気に誘われて『マインドジャック』をプレイ
▲乱入する場合は、どのプレイヤーが遊んでいるゲームに乱入するか、そのゲームで敵役になるか味方役になるか、といった項目を選んでから開始します。▲ゲーム中は他プレイヤーのワンダラーがフワフワと目の前を横切ったりして、ちょっとした心霊現象を目の当たりにしているようです(笑)。右上にぼんやりと青く光っているのがブルーチーム(味方)のワンダラーの1人。

■同ジャンルの洋ゲー作品に匹敵する部分と物足りない部分

 洋ゲーっぽい見た目に惹かれて好奇心から始めた『マインドジャック』。この原稿を書いている時点ではクリア一歩手前のところまでゲームを進めています。ということで、本作をプレイしてみての感想などをザックリとまとめてみましょう。

 システムなどは別にして、まずは見た目の部分。キャラクターの造形、特にメカの細かなデザインなどには、洋ゲーにはない日本のゲームらしさが随所(ずいしょ)に見受けられました。また、前述のようにカバーや移動のアクションについては、TPSの本場である海外タイトルにもほとんど引けを取らない操作内容であると思います。この点は、洋ゲー好きなゲーマーにとっても楽しめる部分だと思いました。

 逆にプレイしていて非常に残念だったのが、敵との戦闘やストーリーの流れにあまり緩急がなかった点です。理由はいくつかあると思うんですけど、銃撃戦に関しては銃を撃つことによるインタラクティブな反応がやや少ないことが挙げられるのではないかと考えています。

 TPSやFPSは銃で敵を撃つのと同時に、オブジェクトに弾が当たった際のリアクションに期待している部分が少なからずあると思うんですよ。たとえば通路にガスボンベが置いてあったりするんですけど、本作では銃撃してもガスボンベは爆発しません。もちろん撃つと爆発する専用のオブジェクトも出てくるんですが、やはり洋ゲー的な観点から見てしまうと、こういったボンベ類を爆発させられないのは少々残念でした。

【洋鯨亭 47回】洋ゲーっぽい雰囲気に誘われて『マインドジャック』をプレイ
▲撃つと弾痕は残るものの、ガスボンベは残念ながら爆発はなし。爆発させられると、それを利用して戦い方に幅を持たせられたかもなぁと思いました。窓ガラスやイスなどのオブジェクトも壊してみたかったですね。

 単純に壮快感が味わえるという点からも、こういった破壊要素は入れてほしかったなぁというのがいちプレイヤーとしての要望でしょうか。同じジャンルでスタンダードな要素がないのは、少し残念な気持ちになってしまうんですよね。

 ハッキングについては、アクセントになるおもしろい要素だったと思います。1つ挙げるとすれば、ハッキングできる対象がもっと増えると、さらに戦闘やストーリー展開で凝ったことができたかもしれません。街にネットワークが張り巡らされているのですから、監視カメラ、扉、コンピュータなど、様々な物がハッキングできたら楽しかったかも知れないですね。

 さて、色々と気になった点も含めて書いてきましたが、本作をTPSとして、また洋ゲー作品的な視点で総括すると大変惜しい部分を含んだタイトルであると感じました。惜しいだけに、記事を書かずにはいられなかったというワケです。アクションはほぼ標準的なTPSとそん色ない内容なので、あとは敵と戦うシーンと本作のキモでもあるハッキング部分にあと少しだけ練り込みがあれば……まだまだ化ける可能性を秘めたタイトルだと感じました。続編がもし発売される時は、そのあたりの練り込みに期待しています。とは言え、一風変わったTPSであることは間違いないので、このコラムで興味を持った方は、プレイしてみてください。

(C) 2011 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved./Developed by feelplus inc.

データ

関連サイト

前へ 1 2