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2011年2月22日(火)

【洋鯨亭 48回】the Best版発売間近! 今から始める大人なAVG『HEAVY RAIN』

文:電撃オンライン

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■ゲームオーバーという概念がない

 ……からなんです。

 なんとアクションシーンで入力をミスしてしまっても、ゲームはそのまま続いていくんです。ということは「一生懸命入力する必要がないんじゃないの?」と思うじゃないですか。ところが、ちゃんとプレイする意味はあるんですよ。

 その理由は、“入力に失敗した場合は展開が変わってゲームが進行するから”なんです。この分岐は格闘シーンの殺陣(たて)のパターンが変わるといった小さなものから、物語の展開自体が変わる大きなものまで、たくさん用意されています。

 しかもゲームオーバーがないだけに、単に物語を進めるうえでは、自分の選択が正しかったのかどうかということをあまり考えなくていいんですね。これはAVGだからこそのシステムかもしれないんですけど、この感覚は新鮮でした。

 また、自分のミスによるやり直しでゲームの進行が途切れることがないため、テンションを維持したまま集中して遊べるのもよかったですね。ゲームオーバーがないゲームというのは、最近では珍しいと思います。

■1人だけ超未来的なノーマンの捜査方法

 さて、本作に登場する4人のキャラクターの中でもアクションが際立って個性的なのが、FBI捜査官のノーマンです。

 彼が捜査に使っているARIは、拡張現実の技術を発展させ捜査に特化させた機器。この技術が、ちょっと想像の先を行っていてユニークなんです。

 ARIは現場に残された足跡や指紋、空気中に漂う成分などを人間の感覚よりも鋭く見つけ出し、その場でデータベースと照らし合せて分析ができるんです。科学的な捜査のほとんどがこの機器だけで済んでしまうために、警察署内に用意された彼の部屋は非常に簡素。書類を参照するようなこともありません。

 私立探偵・スコットの足と目で手がかりを見つけ出すオーソドックス(オールドタイプ)な捜査スタイルに対し、ノーマンのハイテク捜査は対照的で非常におもしろいです。

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▲ARIは現場に残された手がかりが肉眼では見えないようなものでも、瞬時に浮かび上がらせてしまいます。▲なぜかゲーム機能も備わっているARI。バーチャルな映像で、カベを使ったキャッチボールができます。こんなゲームハードほしいですね(笑)。“AR Station”みたいな?

■“映画的なゲーム”は数あれど

 これまでも“映画的”と評されるゲームは多かったように思います。この『HEAVY RAIN』もカメラワークや複数のアングルから同時にイベントを見せるビジュアル部分はもちろんですが、何よりゲームオーバーを廃してひたすら物語を見せることに徹しているという点は、映画っぽいなと感じました。

 分岐結果も含めて、プレイした内容がその人の物語とした点は、何度もプレイする時間がない大人のプレイヤーにも優しい作りですね。また、さまざまな経験を積んだ大人ほど、キャラクターの心情に対する理解度や感情移入による心のきしみ度が大きくなっていく点は、大人向けの本作ならではでしょう。

 たとえば、今10代の方がこの作品を遊んで抱いた感想と、10年後、20年後に再び遊んだ時に抱く感想は、だいぶ違うんじゃないでしょうか。前述のように、本作は分岐があるので2回目のプレイも楽しめますから、じっくりと取り組みたい方にもオススメです。

 1回目に痛そうな選択を選んだ方は、次はぜひそうならない方へ、1回目に冷酷な選択をした方は、寛容に。一体何のことかと気になった方は、ぜひプレイして心をきしませてみてください。

(C)2010 Sony Computer Entertainment Europe. Published by Sony Computer Entertainment Inc. Developed by Quantic Dream. All rights reserved.

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