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2011年4月30日(土)

トレモやギャラクタスの秘話が! 『MARVEL VS. CAPCOM 3』開発者インタビュー

文:電撃オンライン

■コンセプトはシステムから飛び出していくキャラクター作り!?

――『MVC 3』の開発コンセプトを教えてください。

新妻:僕はプロデューサーとして、デザインとシステムでコンセプトを開発メンバーに伝えました。デザインは、キャラクターとしてのわかりやすさを出してほしいということと、アメコミデザインにしてほしいという2点です。具体的に話すと、『ストIV』で掲げていた墨をイメージした“和”のデザインとの差別化をとりたいと思っていたのです。

――システムのコンセプトは?

『MARVEL VS. CAPCOM 3 Fate of Two Worlds』
▲1試合中、1回だけ使用できるX-ファクター。使用後は一定時間、機動力と攻撃力が上がり、相手に大きなダメージを与えられる。

新妻:3on3のゲームで、1対3になったらどうにもならないというのを避けたいと思っていました。その救済手段として、X-ファクターというシステムを用意しました。あとはエリアルコンボにスポットを当てたいということ。その2つですね。

――3on3にすることは最初から決まっていたのですか?

新妻:『MVC』シリーズといえば3on3です。続編っぽさがなくなってしまうと思ったので、最初から3on3にしようと決めていました。

門脇:3on3の形式にして、30体以上のキャラを用意することは、最初のオーダーから確定していました。それで「この期間でどうやって作るねん!」って話していましたね(笑)。

――『ストIV』との差別化ということでしたが、『タツカプ』との差別化についてはいかがですか?

新妻:リリースされた順番を考えると、『MVC 2』があって『タツカプ』となりそうですが、僕の中では同じ『VS.』シリーズでも別ラインナップなんです。『MVC 3』はあくまでも『MVC 2』の後継作で、『タツカプ』は新シリーズ。……といっても、実は途中まで『タツカプ』っぽく作っていたんですが、「やっぱ『MVC』シリーズとしては、これ違うな」と思って『MVC 2』寄りに方向転換してもらいました。

Neo_G:門脇とかが『MVC 3』を作り出していた時、僕は『タツカプ』をやっていました。正式に僕がチームに加わった時に新妻から「このゲーム、『タツカプ』っぽいんだよね」と言われたのでさわってみたところ、「すみません、これ『タツカプ』なんですがどうしましょうか!?」って思わず言ってしまいました(笑)。

(一同爆笑)

『MARVEL VS. CAPCOM 3 Fate of Two Worlds』

Neo_G:『タツカプ』は同じシステムを使い、その中で遊ばせるスタイルだったんです。でも、『X-MEN Children of The Atom』から始まる『MVC 2』の流れは、とがりすぎているキャラがバトルをするゲーム。システムはバラバラでも、同じフィールドで戦うのを突き詰めていっていたゲームなんです。

門脇:考え方はいろいろあると思うんですよ。全員が同じ行動をできる中でのバランスを取るやり方もあると思うんですが、そうではなく、存在しているキャラ全員が異なるシステムを持っている中で対戦できて、バランスが取れるゲームもアリです。

――確かにそうですね。

Neo_G:それまでは全員が空中ダッシュはできるわ、2段ジャンプもできるわという状態だったんですが、その新妻とのやりとりがあって「もっと『MVC 2』っぽくしなくてはいけない」という意思統一ができました。そして「じゃあどうするべきかな?」となったのが、僕と門脇の悲劇の始まりでした(苦笑)。

門脇:前作がそうだったように、キャラクターの個性を重要視しながらバランスを取っていくという、敷居のより高い方を選択してしまったので大変になりました。

Neo_G:可能であれば1年前のE3に間にあわせたかったんですが、それよりもまずは今の形を見せたいという新妻の意向で、その段階でのバージョンを出展しました。なので、今の『MVC 3』はE3と比べて、別のゲームになっています。

『MARVEL VS. CAPCOM 3 Fate of Two Worlds』

――確かに今思い返してみると、E3のバージョンは製品版とはまったく違いますね。

新妻:E3の次に行われたコミコン(コミコン・インターナショナル)で出したものから、完全に別のゲームでした。開発途中での大幅な仕様変更だったので、2人からは「今から手を入れますか?」と聞かれたんですが、意図しない方向に向かう作品になってしまうのは避けたかった。無茶なスケジュールだったので犠牲にしたものもあるんですが、今振り返るとこれでよかったと思います。

――ちなみに犠牲にしたものとは何だったのでしょうか?

新妻:たとえばモードとして、コンテンツとして、もっとやりたいことがあったんです。ですが、たとえそれらがなくてもゲームモデルの方を作り直すことを選びました。格闘ゲームとしての魅力を確立してこそのタイトルなので、ゲーム本編をしっかりしないと、いくらモードをつけても意味がないんです。

――『タツカプ』はミニゲームが満載でしたね。

新妻:あれはWiiというハードの特性や売り方を考えた上で入れたモードですね。『MVC』シリーズでミニゲームを入れるとキリがないのと、海外販売のウェイトも大きい作品なので、海外ユーザーがミニゲームを求めているというビジョンが見えなかった。それであれば、ゲームとしてしっかりさせようという結論になりました。

――お2人は仕様変更を聞いて、どういう印象を受けましたか?

Neo_G:ちゃぶ台返しに近いものなので、正直驚きはありました。ただ、よかったことは新妻さんがしっかりとしたビジョンを持っていたことです。「そのビジョンに向かってさえいるのであれば、自由に作っていいですよね?」と聞いたところ、「いいよ!」と言ってもらえたので、各キャラのシステムを組み直して、絵の監修をお願いしてと……何も考えずにやれました。

門脇:ちゃぶ台返しの後に、「無茶していいんだ!」という雰囲気がチームに生まれたのは確かです。それがあったおかげで、皆がやりやすくなったかもしれませんね。

『MARVEL VS. CAPCOM 3 Fate of Two Worlds』

Neo_G:リュウならば「真空波動拳を上空に向けて撃ってもいいですよね?」って(笑)。

新妻:『タツカプ』はシステムという枠を先に作り、その中でキャラを動かしていったゲームなので、破綻は少ないんです。でも『MVC』シリーズは「このキャラはこういう動きをしたらおもしろい」というところから始まり、枠から明らかにはみ出た状態のものを、システムでどうまとめるかという作り方をしている。

 先にまとめておいて、キャラを作っていくのと、キャラらしさをドンドン詰めてもらって、しっちゃかめっちゃかなものをまとめていくのでは意味が大変異なります。

――なるほど。個人的には、演出や効果がアメコミ風になっている点がよいと思いました。苦労はありましたか?

『MARVEL VS. CAPCOM 3 Fate of Two Worlds』

門脇:文字フォントはいろいろ試してみたんですが、どれもしっくりこなかった。そんな時に、「MARVELさんのフォントを使ってみては?」という提案を受けました。画面に出してみたらすごくハマったので、すぐに採用を決めました。ただ、エフェクト回りは全体的に時間がかかりましたね。

新妻:『VS.』シリーズなので、ある程度無茶はしていいと思っていたんですが、どこまでやっていいのかという判断は迷いました。土煙もコミックっぽくすることでうまくハマったんですが、やられているエフェクトは苦労しましたね。

門脇:攻撃のヒット判定はどこをやられているのかわからないくらい派手だったんですが、今は抑えてあります。あの大きさや表示の時間も苦労しました。

――チームエリアルコンボのヒットストップの演出は、すごく気持ちがいいですね。

『MARVEL VS. CAPCOM 3 Fate of Two Worlds』

Neo_G:ゲームのテンポを変えてはいけないというのは、ずっとチームでも考えていました。演出上、「止めて気持ちいい」というのもあるんですが、このゲームは「流して気持ちいい」ということを重視しています。

門脇:ハイパーコンボの演出も早いですよね。本当は止めてすごく見せたいところもあるのですが、我慢してテンポを選びました。

新妻:でもその演出も途中で二転三転しましたね。『ストIV』はかっちり止めて画を見せている。でも『VS.』シリーズだと、あそこまで見せてしまうとテンポを損なうので短くしよう……としていたんですが、作りこんでいると技によっては見せたいものも出てくるんですよ! 「もうちょっと時間を考えた方がいいのかな?」って話していたらMARVELさんから「いいね! Cool!!」という答えが帰ってきて、「直せなくなっちゃった(笑)」みたいなこともありました。

――ドクター・ドゥームやドーマムゥなどのレベル3ハイパーコンボは結構長いですね。

門脇:そうですね、長いほうです。でもレベル3だけですね。

Neo_G:ユーザーさんから演出がいいと言われるのは、豪鬼の“瞬獄殺”ですね。コンパクトにまとまっているのが、いいみたいです。テンポを意識して作ったんですが、そこまで評価されるとは思っていませんでした。

⇒3ページ目でトレモの初公開情報が!

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