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2011年6月11日(土)

レイドボスは日本オリジナル仕様、『Forsaken World』開発者トーク

文:電撃オンライン

 6月4日の記事でお伝えしたように、シーアンドシーメディアはPC用MMORPG『Forsaken World』の開発元、Perfect World. Co., Ltd.(以下、完美世界)へのプレスツアーを5月に実施した。

 前回は上級副社長の竺琦氏による完美世界が手掛ける事業と、そのビジョンについてお伝えした。この記事では、オープンベータテストもまもなく始まる『Forsaken World』の特徴、日本サービスに向けた独自仕様に関する話を紹介していく。最初からアジア圏以外も含む海外展開を視野にいれた本タイトルだが、プレイヤーの嗜好と傾向が他地域と大きく異なる日本市場のために、どんな差別化を図ろうとしているのだろうか?

『Forsaken World』 『Forsaken World』
▲『Forsaken World』開発担当者(左)と中国国内マーケティング担当(右)▲海外開発担当の王氏。

 このプレゼンテーションには、完美世界の『Forsaken World』国内開発担当、マーケティング担当の2名が出席したのだが、正確な部署名や担当業務、お名前などを公開できない。と言うのも、経済成長著しい中国ではオンラインゲーム産業も右肩上がり。優秀な技術者、管理職は引き抜き合戦もかなり露骨に行われるため、許可されたのは写真撮影のみ。名刺交換も行われなかったのである。

 余談だが中国や韓国、シンガポールといった国々では日本と異なり、度重なる転職があまりマイナス評価にならない(限度はあるが)。むしろ職種によってはそれだけ転職が可能な実力があり、求められる人材というプラス評価にすらなる。そのため「じゃ、今日で辞めます。明日からライバル会社行きます」という転職が珍しくないのだ。

 さて……それた話を元に戻して、5月31日まで実施されたクローズドベータテストを体験した読者もいると思うが、『Forsaken World』のゲーム概要や特徴を紹介していこう。本タイトルは開発期間に3年を費やして制作されたMMORPGだ。コンセプトは“プレイヤー主導型オンラインゲーム”。開発メンバーには海外のスタッフも採用し、最初から中国以外での展開を狙っているのも、今までの完美世界タイトルとの違いだ。

■美しいグラフィックスと、プレイヤーを飽きさせない豊富なコンテンツ

 最初に王氏は『Forsaken World』の4つの特徴として、美しいグラフィックス、低スペックPCでもプレイ可能、まったく新しいシステムの搭載、豊富なコンテンツを挙げた。

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▲必要最低限のPCスペックはメモリ256MB、GPUがGeForce6200(ビデオメモリ128MB)とハードルは低め。

 同社の既存タイトル『パーフェクトワールド』『夢世界』などは武侠テイストが強かったが、本タイトルは剣と魔法の西洋ファンタジーを世界観に取り入れ、グラフィックスは“洋ゲー”風になっている。また、独自エンジンの採用により高画質だが2年前ぐらいのスペックを持つPCでプレイ可能だという。

 次にシステム関連だが、日本でもすでに発表されている時代の変化は『Forsaken World』最大の特徴だろう。全プレイヤーが“祈り”システムを使うことで、ゲーム内の時代=紀元が進行し、新しい紀元がスタートする。これによってプレイヤーは自ら新しい歴史の想像を体験できるのだ。

 さらにプレイヤーはキャラ作成時に星座を選び、星座は祈りや祝福システムと連動。条件にあわせて、ある特定の星座のキャラクターには、一定時間バフがかかるといったメリットもあるようだ。さらに今後のアップデートでプレイヤーが“神”となり世界のバランスに様々な影響を与える、神格システムの実装を検討中だ。開発担当者は「MMOでは世界初のシステムになるだろう」と述べた。

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 中国・北米クライアントは対人戦要素も強い。PvPは個人戦やチーム戦の他、ギルド戦や国家戦、サーバ間戦争といった大規模対人戦があり、さらに異なるバリエーションのPvPも用意する。いわゆる通りすがりのフリーPKについては日本では敬遠されるため、PK可能なチャンネルを作って切り分けるそうだ。

 操作方法からクエストの進行まで、わからないことはすべてゲーム内で解決できるようにヘルプを充実。初心者でもストレスを感じずに遊べる。クエストも「●をn匹倒してこい」といった単純なものばかりでなく、プレイヤーが協力して謎解きなどおもしろさを強調した内容になっている、と担当者は述べた。インスタンスダンジョンの難易度と、ボスモンスターの強さは固定ではない。参加したプレイヤーのレベルと人数によって変化するため、毎回新たな体験ができるのも魅力となっている。

『Forsaken World』 『Forsaken World』

 プレイヤーが選べる5つの種族、ヒューマン、ドワーフ、エルフ、ヴァンパイア、ジャイアントは最初から海外市場を意識してデザインしたもの。特に巨人は欧米プレイヤー向け、ドワーフの女性はカワイイ物を好む日本プレイヤー向けらしい。また、ゲーム内でコミュニティを重視する傾向が日本では強いため、自分の役回りがわかりやすくパーティを組みやすいように、8つのクラスは戦闘スタイルが大きく異なる。クラス間の差別化はあえてハッキリさせたそうだ。

 採集、料理といったサブスキルは、すべてのプレイヤーが制限なく全種類を習得可能。ユニークなサブスキルもあり、例えば“社交家”はたくみな話術を使うという設定で、社交家スキルが条件のクエストが受けられるし、商人スキルならNPCからアイテムを安く買える。

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 また、空中に浮かぶギルド専用エリアがある。ギルド間の貿易やメンバーに役職をつけたり、ギルド専用クエストといったメリットに加えて、もちろんギルド間の戦争も可能だ。その他、育成要素のあるペットシステムや日替わりシステムイベントなど、様々なコンテンツが紹介された。

■日本サービスに向けた独自仕様を追加

 海外開発担当の王氏はプレゼンテーションの中で、「ゲームのクオリティに厳しい目を持つ日本で認められてこその成功と言える」と日本市場を強く意識していることに触れた。またコミュニティ要素を好む傾向が強いが、知らない人となかなかパーティを組めないといった特徴を踏まえて、誰でも所属可能な“初心者ギルド”を開発したとのこと。ギルド対戦など一部の機能は利用できないが、誰でも入れてギルド専用のクエストが遊べる、ギルドチャットで初心者同士恥ずかしがらずにゲームの質問ができるといった、恩恵が受けられる。

 日本だけのオリジナル要素としては、“紀元守護者”と呼ばれるレイドボスが存在する。何度か過去の記事で触れているが、『Forsaken World』は何らかの理由で文明や時間を失ったパラレルワールドで、プレイヤーが祈ることで止まった時間を再び動かすというのが、メインコンセプト。祈りゲージMAXに到達すると、新たな紀元が始まり、ゲーム内にも新システムやエリアが追加されるようになっている。

『Forsaken World』
▲日本プレイヤーだけが体験できるレイドボス“紀元守護者”。

 日本サーバ限定のお楽しみ要素には、特定の紀元が新しく進行したタイミングで出現する、強力なレイドボスを実装。フィールドではなく“自由の港”の城内に出現するため、すべてのプレイヤーが協力し、早く倒さねば街中の各種機能が使えなくなってしまう。高レベルプレイヤーでなければ行けないエリアではないため、誰でも参加できるレイドボス討伐になるだろう。また、紀元の進行はサーバごとに当然異なる。どこのサーバが一番最初にレイドボスを倒せるかという競争意識もうまく働けば、ゲーム全体の活性化につながるだろう。

 ただ、このレイドボス実装はコンテンツ消費スピードの抑制という意味合いが、おそらく強いと思われる。実はすでにサービスを開始している北米サーバでは、予想以上にプレイヤーの祈る回数が多く、またたくまに4つの紀元が進行してしまった実績がある。祈りシステムは1日4回まで経験値やアイテムといった報酬を確実にもらえるが、北米プレイヤーは報酬がもらえるかどうかは気にせず、1日5回も6回も祈った結果そうなってしまったようだ。

 王氏は「『パーフェクトワールド』を日本でサービスしてから、約4年がたちました。その4年間で日本市場の特徴、日本のプレイヤーの好みを分析して『Forsaken World』を開発しました。サービス開始時点で数多くの楽しめるコンテンツを実装し、コミュニティを形成しやすいシステムを実装しています。世界初のコンテンツをたくさん持つ『Forsaken World』を、多くの仲間とともに楽しんでください」と述べた。

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史上初? 完美世界の美術部門へカメラが潜入(2ページ目へ)

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データ

▼『Forsaken World』
■運営:シーアンドシーメディア
■開発:Perfect World. Co., Ltd.
■対応機種:PC
■ジャンル:RPG(オンライン専用)
■サービス開始日:未定
■プレイ料金:無料(アイテム課金)

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