2011年6月8日(水)

『BINARY DOMAIN』名越監督インタビューをお届け! TPSは新たなステージへ

文:電撃オンライン

 米国ロサンゼルスで開催中のE3。その中で、セガのPS3/Xbox 360用ACT『BINARY DOMAIN(バイナリー ドメイン)』の監督・名越稔洋さんにインタビューを行ったので、その内容をお伝えする。

 本作の新情報については先に掲載したプレゼンテーションレポートでお伝えしたとおり。まずはこちらを読んでいただいた後で、このインタビューに目を通すことをオススメする。

『BINARY DOMAIN』 『BINARY DOMAIN』
▲セガブースには、本作に登場するロボット兵が! 下半身がなくなっても戦い続けるという、ロボット兵ならではのシーンが再現されていた。

■海外TPSを研究して日本的に――ゼロから詰めた本作の魅力とは

――現在の開発状況を教えてください。

 まだ途中ですが、自分たちの開発チームの仕事の早さには自信をもっています。ここから半年くらいで、内容が劇的に変化すると思います。今年の東京ゲームショウの段階でも変化が見られると思うので、注目して見ていていただければ。今回のE3に出展したプレイアブルは、本当にやっと表に出して触ってもらえるくらいになった程度のデキという段階です。

――今回のプレイアブルで実現できた要素は?

 まだ本当に、基礎的な部分の作り込みですね。高度なAIや仲間との協力、音声認識などです。ただ、これらはまだまだ練り込める余地が多分にあるので、その練り込みの寸前までは実現できたのかな、と思います。

――では、コンセプトは見せられたという手ごたえでしょうか?

 いやいや、まだ全部はお見せしていませんので。ご期待ください。

――ちなみに、協力する仲間は最大4人ですか?

 その中でチョイスしたり、それ以上になる場合もあったりしますね。

――なぜ、本作のテーマは“命”なのでしょう?

 やはり“命”というのは人間にとって普遍的なものですよね。その中で、“バイナリ(二面性)”という部分を突き詰めていくと、人間とロボットだったり、スラムと上層都市だったり。他にも、1つのAIが感じた内部情報を共有する機械と、目で見た外部情報で共感する人間との違いだったり。そういった二面性を見ていった結果、自然と命というテーマに行き着きました。

――あえてTPSに挑戦した理由は?

 まず、日本制のTPSでしっかりと売れたタイトルがなかったのが理由です。また、『龍が如く』シリーズはA・AVGですが、そこに飽きられてきた場合の活路という意味もあります。ただ、ジャンルうんぬんではなく、その作品がしっかりとおもしろいサービスを提供できているかどうかですよね。そういった意味では、今回また新たにいろいろな仕掛けを考えていますから、それを楽しんでもらえればと思います。

――北米などではすでにTPS作品の作り方のセオリーが確立されています。これに対し、本作は一からの構築となったのでしょうか?

 そうですね。もちろん北米作品などで研究はしましたが、そういった作品の要素を取り入れた上で、むしろゼロの段階から詰めていったことで、北米とは違ったものが作れたらいいかなと思っています。

――海外のTPSへの不満点と、その回答が本作に現れているということはありますか?

 難しいですね(苦笑)。僕にとって海外のTPSは、あれはあれでよくできていると思っています。ただハードルが結構高いので、そのハードルを日本なりの作り方で変えられればなと。たとえば、単に爽快感に偏るのではなく、どんな要素で手ごたえを感じてもらえるか、どんな要素は欧米のTPSを踏襲するかということは、本当にいろいろと考えています。

――では、難しさをなるべくなくした初心者向けという感じですか?

 いや、初心者向けというわけではないです。初心者向けなら、もっと違ったジャンルにするかな。ただ初心者向けではないですが、初心者の方でも楽しんでもらえるような間口の広さは備えているゲームですよ。

――E3でのプレイアブルをプレイして感じたのですが、操作は海外TPSとかなり通じている印象を受けました。そこはやはり他の作品を意識して作られたのですか?

 感覚的には、似ているでしょうね。もちろん、海外TPSも意識しています。ただ、ある程度の操作でもちゃんと敵に銃弾が当たるし、敵の銃弾も避けられるし、弾がどこから飛んでくるのかがわかるように作っているつもりです。そういった“わかる”という部分に関しては、日本製のゲームのほうが親切かなと思っているので。

――日本版と海外版で違いなどはありますか?

 演出面の違いはあります。今回、“命”がテーマということで、それぞれの国ごとでかなり気を遣ってローカライズを行っているので。もちろん、日本版は日本のユーザーの皆さんにしっかりと楽しんでもらえるようになっていますよ。

――こういった部分を注目してもらいたい、という部分は?

 やはり新しい要素“音声認識”ですね。これがどうカンフル剤となっていくのか、ドラマ的なシューティングシーンになっていくのかを楽しんでもらえたらと思います。

――最後に、日本のユーザーに一言お願いします。

 おかげさまで、徐々にアメリカでも注目されてきました。日本でも今後は毎月情報を出していき、東京ゲームショウでドカンとやれたらと思っているので、もうちょっと待っていてください。

『BINARY DOMAIN』
▲『龍が如く』シリーズでおなじみの名越監督。お忙しい中、多数の質問に答えていただき本当にありがとうございました。

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