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2011年6月12日(日)

善意の連鎖に支えられ――『初音ミク Arcade』1周年イベントをレポ

文:電撃オンライン

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●プロデューサー・大崎誠さんコメント

『初音ミク Project DIVA Arcade』
▲大崎さん

――1周年を迎えての率直な感想をお願いします。

 正直ここまで続くとは、という気持ちです。社内では、ロケテストが始まるまで大変でしたし、終えてからもいつまで(稼働が)続くんだろうと思われていました。ここまでこられたのは、ユーザーの皆さんのお陰だと思います。まだまだ新しいユーザーも増えていますし、本当に感謝しています。

――1年間で、印象に残っているエピソードなどがあれば教えてください。

 Twitterなども見ているのですが、“ボカロファンが集まれる場所ができた”というコメントをもらえたのが印象的ですね。今日もボーマスが開催されているんですが、こういったイベント以外にも、交流する場が持ててよかったという話が、とても心に残っています。

――運営する中で、苦労したことは何ですか?

 楽曲の追加ですね。まずは家庭用の収録曲を入れ、その後に楽曲コンテストやったり、アーケードオリジナル曲の追加などを行ったりしました。家庭用とは雰囲気が違うので、多少はテクニックがいる曲を入れなければならないと思い、焦りました。いろいろな人に聞いたり、急いでモーションキャプチャーを取ったり、譜面を考えたり……。稼働直後の、去年の秋ごろが一番大変でしたね。

――今後はどういった曲を追加したいと思いますか?

 家庭用の人気曲はもちろん入れたいと思っています。ロック系の曲は率先して入れてきたのですが、音楽のジャンルで考えるとまだ網羅しているとは思えないので、今後はスピリチュアルなどオシャレな曲も入れていきたいです……が、私の思う通りになるかどうかはわかりません(笑)。

――家庭用とは選曲の基準が異なるのでしょうか?

 そうですね。家庭用では、今度出る『2.5』(『初音ミク -Project DIVA- Ver.2.5(仮)』)も含め、人気のある曲を中心に収録していると思うのですが、アーケードでは叩いて楽しい曲、練習してクリアできる達成感のある曲というのが大事だと考えています。

――モジュールの追加について教えてください。

 家庭用に入っているものはすべて出します。アーケードオリジナルもやっていきたいですね。リンの和風なモジュールなども要望があるので。これまでに、『カラフル×セクシィ』のPVで使われているモジュールや、アペンドなどはアーケードオリジナルで収録したのですが、今後も行っていきたいです。

――今回イベントを開催しようと思ったきっかけを教えてください。

 アーケードゲームなので、“集まれる場所”でやりたいなと思ったんです。池袋ギーゴさんは5台置いてもらって、聖地のような感じになっていますので、そこでお祭りっぽくやろうと考えました。どこか会場を借りてやるのもよかったんですが、“集まれる場所ができてうれしい”と言われたので、そこでやるのがベストかなと。とはいえ、こんなに人がくるとは思っていなくて、どうしよう……とちょっとびっくりしています。

――今後もこういったイベントは開催されますか?

 ぜひやっていきたいなと思っています。ただ土日を過ごすより、こういう場所に集まった方がいいじゃないですか。オフ会なども周りでやってもらえればと思っていますし。そういう交流のきっかけになればいいなと考えています。

――新しく“スキン”が追加されましたが、今後こういったやり込み要素が追加される予定はありますか?

 まだ言えませんが、いろいろと考えています(笑)。『DIVA AC』は1年しか経っていないので、難易度を上げるつもりはありません。上級者には名誉をあげられるようなものを用意するつもりですが、「最近『DIVA』難しくなったよね」とは言われたくないので、たとえば中学生の女の子でも、コツコツ遊べば達成できるようなやり込み要素にしたいと思っています。

――来年に向けての目標をお願いします。

 『DIVA』のプロジェクトって、朝令暮改……いや、“朝礼昼改”なんですよ。朝言ったことを、ユーザーの意見を聞いて昼にはコロコロ変えちゃうんです。『DIVA』はユーザーあってのものなので。そんなユーザーの意見が結構たまってきてしまっているので、それをこなしていくのが今年の目標ですね。簡単に対応できるものから、システムを根底から見直さなくてはいけないものまで、たくさんあるんです。少なくとも、この先半年はユーザーの要望に応えていく作業が続きますね。

――プロジェクトチームのモットーなどを教えてください。

 『DIVA』プロジェクトのモットーは、家庭用も含めて、企業が本気でやったらどうなるか、というノリなんです。それは当然、新しいハードでも同じですし、アーケードでも必要とあらば筐体をリニューアルするかもしれません。企業がボーマスに出展するようなイメージで、この先もずっとやっていきたいなと考えています。

――最後にユーザーに向けてメッセージをお願いします。

 家庭用も40万本売れ、アーケードも1年続き、ゴールデンウィークなどがあるとユーザーが増えています。Twitterやmixiなどを見ていると、ユーザーのおかげでユーザーが増えているなと実感するんです。みんな優しいんですよ。初めてゲーセンに行く人にいろいろ教えてあげたり。ボーカロイドの世界は“善意の連鎖”でできているんです。曲が作られたら、それにイラストが付けられて――といった感じで大きくなってきたムーブメントなので、そういった部分は我々も大事にしていきたいですし、ユーザーも同じように考えてくれていると感じています。ゲームでも善意の連鎖ができていて、とても感謝しています。

(C)SEGA
(C)Crypton Future Media, Inc.
VOCALOIDはヤマハ株式会社の登録商標です。
『初音ミク』は歌うソフトウェアです。

■『初音ミク Project DIVA Arcade』1周年記念イベント
【開催日時】
 2011年6月12日12:00~18:00
 場所:池袋ギーゴ(東京都豊島区東池袋1-21-1)
 2011年6月26日12:00~18:00
 場所:クラブ セガ 秋葉原 新館(東京都千代田区外神田1-11-11 外神田1丁目ビルディング)
【実施内容】
 グッズ抽選会、モジュールパネル掲示、メッセージカード投稿コーナー、東日本大震災義援金募集(集まった義援金は日本赤十字を通して被災地に寄付する)
※混雑状況によって、入場制限を行う場合がある。またイベントは、内容と開催時間が変更される場合がある。

データ

▼『初音ミク Project DIVA Arcade Ver.A REVISION1』
■メーカー:セガ
■対応機種:AC
■ジャンル:ACT
■稼働開始時期:2011年5月20日
▼『初音ミク Project DIVA Arcade』
■メーカー:セガ
■対応機種:AC
■ジャンル:ACT
■稼働開始時期:2010年6月23日

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