2011年6月29日(水)
全国のゲーム屋さんが毎月1本、販売本数は10万本以下でも、実際に遊んでみてこれはおもしろいというゲームを選ぶ“ゲーム屋さんが選んだ良作!”。6月の良作に選ばれたのは、FPSとパズルが融合したかのような、エレクトロニック・アーツのPS3/Xbox 360『ポータル2』。今回も本作について、ライター・田下広夢氏が語ります。
ポータルガン……『ポータル2』の魅力を語る時に、ジャンルや、操作方法や、世界観や、あらゆる要素よりもまず第一に紹介しなくてはいけないのが、ポータルガンでしょう。ゲームの歴史の中でも、これほど魅力的なアイテムはそうはありません。
ポータルガンは、銃ではありますが、殺傷能力がありません。代わりに、壁に向かって放つと、ポータルという穴をあけることができます。ポータルにはオレンジポータルと、ブルーポータルという2種類の色があり、この2色を撃ちわけて使います。そして、もっとも重要な特徴は、オレンジポータルに入ると、離れた場所にあるブルーポータルから出ることができるということです。ポータルガンは、ポータルによって離れた空間を接続する力があるのです。
このポータルガンを使い、Aperture Scienceという謎の実験施設から脱出するのがゲームの目的です。主観視点のシューティングゲームであるという意味で、ファースト・パーソン・シューティングでありますが、同時に、ポータルガンを利用した立体空間パズルでもあります。
ポータルは使い方次第で、単に2つの場所を行き来する以上のことにも使えます。たとえば、地面にオレンジポータル、天井にブルーポータルを開けます。地面のオレンジポータルに飛び込むと、天井のブルーポータルから飛び出し、落下してまた地面のオレンジポータルに飛び込みます。当然また天井のブルーポータルから飛び出して永遠にループします。その途中で、天井のブルーポータルを、壁につけかえるとどうなるでしょう。落下するスピードそのままに壁から横方向へ飛び出すことになります。これを応用すれば、ポータルガンが届かないような場所へも、工夫次第で到達できるというわけです。
さらに、ポータルは自分だけに使うとは限りません。アイテムが落ちてくる落下地点にポータルをあけて手もとに呼び寄せる。まったく別の場所にあるレーザービームを誘導して敵を攻撃するなど、あらゆることに応用が効きます。先入観にとらわれず、自由な発想でポータルガンを使いこなし、まさかの方法で出口にたどりついた時の喜びは格別なものです。
さて、パズルゲームというと、ただ淡々とステージをクリアしていくだけの印象もありますが、『ポータル2』は決してそんなことはありません。ゲームは、主人公のChellが謎の実験施設Aperture Scienceで目を覚ますところからスタートします。ここは一体どこだろう、少し周りを……なんて余裕もなく、いきなり足場がグラつき、施設が崩れはじめます。そこに現れたボール型ロボットのWheatley。彼に促されて脱出を試みますが、今度は施設を管理するロボットGLaDOSが登場。ChellとWheatleyの行く手を阻みます。Chellは無理やり実験室に連れ去られて、ポータルガンを使った実験をさせられますが、スキをついてWheatleyと連絡を取り、GLaDOSとの直接対決を狙います。しかし、事態はさらに予想できない展開へ。
全体のストーリーもさることながら、マヌケで愛きょうのあるWheatleyと、周りくどく知的に毒を吐くGLaDOSの2体のロボットが最高にいい味を出していて、物語のスパイスとして実によく効いています。
ポータルガンで空間を接続するという遊びのおもしろさ、そのシンプルな機能を自由な発想で活用して解くパズルのおもしろさ、それらを盛り上げるストーリーが、ユーザーを最初から最後まで、楽しませてくれる良作です。
販売店での展開の一例。各お店の写真は5月の良作『Cubic Ninja(キュービック ニンジャ)』(3DS)の店頭展開のもの。
▲【愛知県/お宝創庫 知多店】ダンボールで作られたニンジャたち。奥には、ボスキャラもいたりして。 | ▲【愛知県/ファミーズ 西尾シャオ店】ニンジャがドーンと、勢ぞろい。これは迫力があります。 |
▲【京都府/わんぱくこぞう 一乗寺店】ニンジャだけでなくなく、ステージまで手作りしちゃいました。雰囲気出てます。 | ▲【愛知県/ファミーズ 稲沢店】ボタンを押さずに本体を傾けて遊ぶ、というキュービックニンジャの特徴をなんとか伝えようとする店員さんの意気込みが感じられます。 |
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