2011年7月27日(水)
全国のゲーム屋さんが毎月1本、実際に遊んでみてこれはおもしろいというゲームを選ぶ“ゲーム屋さんが選んだ良作!”。7月の良作に選ばれたのは、ダークかつ幻想的な世界観のWii用A・RPG『パンドラの塔 君のもとへ帰るまで』でした。今回も本作について、ライター・田下広夢氏が語ります。
暗く、切なく、妖艶。『パンドラの塔』というゲームの雰囲気は、そんな言葉で表現できます。ヒロインであるセレスは収穫祭で神に捧げる歌を謡う巫女。しかしその収穫祭の最中に獣の呪いにかかってしまうのです。呪いはセレスを時間とともに醜い、獣と呼ばれるモンスターの姿に変えていきます。そこに現れたグライアイという怪しげな老婆。獣の姿に変わりつつあるセレスを元の人間の姿に戻すには、獣の肉が必要だと言います。そして、呪いを解くには、主(あるじ)と呼ばれる特別な獣の肉、主肉(あるじにく)を手に入れるしかない、そう伝えるのです。
爪痕と呼ばれる、大きな谷があります。まるで、大地にできた傷のように、地面に痛々しく開いた裂け目のような谷です。その裂け目の中央に、塔があります。13の塔が連なる、通称十三訃塔(じゅうさんふとう)と呼ばれる塔が、谷の絶壁からいくつもの鎖で固定され、宙に浮いているのです。鎖はまるで谷に張りめぐらされたクモの巣のようにも、大地の傷がこれ以上広がらないようにつなぎ止めているかのようにも見えます。その十三訃塔には、下僕と呼ばれる獣が闊歩(かっぽ)し、そして奥には主が鎮座しているのです。プレイヤーキャラクターとなる主人公エンデは、セレスの獣化を阻止し、呪いを解くため、十三訃塔へと挑みます。
十三訃塔を1つずつ攻略し、主肉を持ち帰ってセレスに食べさせることがゲームの目的です。しかし、セレスは時間とともに獣化していってしまいますから、塔にいる獣の肉を与えて人間の姿を保つ必要があります。獣たちと戦うため、エンデは剣や鎌などの武器の他に、鎖を使うことができます。鎖は、敵を縛りつけたり、離れたところに巻きつけて飛び移ったり、あるいは倒した敵をひきちぎって獣肉を取り出すこともできます。この、鎖を使ったアクションこそ、パンドラの塔の醍醐味です。
襲ってくる下僕をひらりとかわして、相手の顔面めがけて鎖を放ちます。視界を奪われた下僕の見当違いな攻撃に当たらないよう距離をとりつつ、さらにギリギリと鎖を絞めつけ、そして剣に力をため、背後から一撃、そのまま連続攻撃で一気にとどめを刺します。力尽き動かなくなった下僕の体から、鎖で肉をひきちぎって、セレスのために持って帰るのです。プレイヤーは、空を飛ぶ敵の羽を鎖で封じたり、武器を取り上げたり、あるいは縛り付けた敵を他の敵に投げつけたりと、Wiiリモコンのポインターを使ってピンポイントで鎖を飛ばすことができます。
体の一部が獣化しながらも、エンデを待ち、そして肉を食べ続けるセレス。しかし、主肉を食べ続けるセレスに、少しずつ、少しずつ、異変が起こるのです。本当にセレスを助けるには、セレスとエンデが絆で結ばれる必要があります。このゲームは、塔を攻略するゲームではないんですね、セレスを助けるゲームなんです。攻略に時間がかかって体の一部でも獣化すれば、彼女は落ち込み、塔で咲いた花を持ち帰れば喜びます。セレスの笑顔を見るために、塔で決死の戦いを挑むのです。そうやって深めた2人の絆は、物語の結末を大きく変えていきます。はたしてエンデとセレスの2人は残酷な運命を克服していくことができるのか。それはぜひ、自分の目で確かめてみてください。
販売店での展開の一例。各お店の写真は6月の良作『ポータル2』(PS3/Xbox 360)の店頭展開のもの。
▲【愛知県/お宝創庫 知多店】人形の腕が、ポータルを使ってワープ!? | ▲【岡山県/メディオ! 沖新店】言葉で説明すると、ちょっとわかりにくいポータルの仕組みを図解で説明。 |
▲【京都府/わんぱくこぞう 一乗寺店】まるでお店の棚が『ポータル2』に登場する実験施設のように。 | ▲【埼玉県/ドキドキ冒険島 武蔵浦和店】パッと見ると本当にそこに、ポータルがあるかのように見えます。非常口のサインもゲームの雰囲気とバッチリマッチ。 |
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