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2011年9月12日(月)

【No Game,No Life Vol.2】プレイヤーの心を撃ち抜いた魔女の弾丸『バレットウィッチ』

文:電撃Xbox

 電撃Xbox 360の記者が選んだ、思い入れの強いタイトルを紹介していく連載企画“No Game,No Life for Xbox 360”。雑食系ゲーマー・まさが今回紹介する『バレットウィッチ』は、約5年前に発売され、迷作とも名作とも評されたXbox 360初期における人気作の1つである。本作と同じゲームスタイルであるTPSが国内でもそれなりに浸透した今、改めて本作をレビューし、点数を付けるとしたら、おおむね平均以上ではあれ、飛び抜けた数字を叩き出すことはないだろう。

 しかし、初期からのXbox 360ユーザーで「Xbox 360で好きなタイトルは?」と聞かれて本作を思い浮かべる人も少なくはないはずだ。そんな、スコアレビューの数字には表れないよさを持った『バレットウィッチ』の魅力を、本作のファンの1人として文章で伝えていきたいと思う。

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■日本的な魅力を持ったスタイリッシュなTPSを、今、改めて評価

 まずはゲームシステム。ジャンルはA・AVGで、ゲームスタイルはいわゆるTPSだが、本作をシューターとして評価した場合、あまりいいデキとは言えないだろう。ただ、これは当時のコンシューマ機におけるFPS・TPS作品全般で見られたことで、PCのキーボード&マウス操作を前提として発展・構築されてきたものを、コントローラ操作でどう調整するのか? そのあたりの蓄積がまだまだ浅かったという背景がある。

 本作もまた、敵のアルゴリズムであったり、照準のつけにくさであったり、主人公の耐久力であったりといった部分に不満の声が多々あがっていた。でありながら、本作が支持された要因の1つとなっているのが魔法の存在である。FPS・TPSにおいて、魔法という概念はなかなか扱いが難しい。というのも、ACTにおける魔法は、やはり遠距離攻撃用というイメージが強く、基本の攻撃自体が射撃のFPS・TPSで、遠距離攻撃用の魔法の使いどころは? という話になる。

 この課題に対し、本作では“魔法で弾丸を強化し、特殊な効果を付与する”という答えで、通常の射撃と魔法による射撃を明確に差別化することに成功している。それに加えて、遮へい物を作り出す魔法、バリケード越しでも攻撃できる魔法、敵を一定時間行動不能にする魔法、オブジェクトを吹き飛ばす魔法、そして絶大な破壊力を持つ大魔法など、多彩な魔法が用意されており、射撃を攻撃の要としながらも、魔法の要素がふんだんに組み込まれた、他に類を見ない個性的なTPSとなっているのだ。

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▲多彩な効果を持つ魔法の使い方しだいで、攻略のパターンもガラリと変わってくる。

 次に触れておきたいのが、キャラクターとストーリー・演出について。いわゆる“屈強”ではないスタイリッシュな主人公、悲愴と悲壮が入り混じる物語、美しくもどこか居心地の悪さを感じる和風ホラー的な画作り、旅客機の上での戦闘や怪獣映画さながらの巨人との戦いといったシチュエーション。ひと言で表すと“日本のゲームらしい”仕上がりなのだが、発売当時としては、これがとても大きなポイントだったと思う。

 というのも、当時はPCを含め日本製のFPS・TPSが少なかったこともあり、国内のコンシューマ機においてはFPS・TPSというだけで敬遠する人も多かった。Xbox 360の世代に入り、その風潮はやや薄れたとはいえ拒絶感はまだまだ強く、その感情を和らげるのに、日本的な魅力を持ったヒロイン・アリシアを主人公に据えた本作がひと役買っていたのと思うのは、ファンとしてのひいき目だろうか。

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▲美しい月夜をの下で、魔女・アリシアと悪魔たちとの激しい戦いが繰り広げられる。

 最後に、追加ダウンロードコンテンツ(DLC)について。これはもう、褒めることしかできないと思う。セクシー&フェチ全開なアリシアの追加コスチューム、特殊なルールやアレンジが加えられたエクストラステージなど、計23個もの追加DLCがすべて無料配信という、いろんな意味で出血大サービス!

 これらの追加DLCが配信されるたびにゲームを立ち上げ、追加コスチュームを堪能しつつエクストラステージを遊び、CHAOSやHELLといった高難易度にもチャレンジするようになり、そこから実績をコンプリートする快感に目覚めてしまったという人もいることだろう。

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 今、改めて本作をひと通りプレイしてみて思ったのは、愛され続けるのも納得の良作だということ。当時、厳しすぎると言われていた、スナイパーの狙撃による一発死やオブジェクトの衝突ダメージ判定、集中砲火を受けたときの体力の減り具合なども、FPS・TPSが受け入れつつある今ならさほど問題視されないだろう(もっとシビアな作品はザラにあるので)。本作にマルチプレイは用意されていないが、ストーリー性の高いシングルも好きだというFPS・TPSプレイヤーの方には、ぜひ一度遊んでみてもらいたい作品である。

(C)AQ INTERACTIVE 2006

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