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2011年9月17日(土)

「最後まで遊んではじめて意味のあるアクションゲームにしたい」――早矢仕洋介プロデューサーに『NINJA GAIDEN 3』を聞く

文:電撃オンライン

「最後まで遊んではじめて意味のあるアクションゲームにしたい」――早矢仕洋介プロデューサーに『NINJA GAIDEN 3』を聞く

 千葉・幕張メッセで開催中の東京ゲームショウ2011。コーエーテクモゲームスブースに出展中のPS3/Xbox 360『NINJA GAIDEN 3』を手掛ける、早矢仕洋介プロデューサーに話を伺ったので、その模様を掲載する。

 『NINJA GAIDEN 3』は、2008年にXbox 360でリリースされた『NINJA GAIDEN 2』以来、久々となるナンバリング最新作。最新作『3』では、アクション性だけでなくストーリー性にも重きが置かれ、主人公リュウ・ハヤブサが人を殺すことに苦悩する描写なども見られるという。

 早矢仕プロデューサーには、『NINJA GAIDEN 3』に盛り込まれたこだわりや本作の魅力、作品を通じて表現したいことなどを伺った。東京ゲームショウ2011へ足を運んだ人は、ぜひ本作の体験版もプレイしてみるといいだろう。

――“ニンジャ”のプレイスタイルのノーマルで、体験版をプレイさせていただきましたが、おもしろかったです!

 ありがとうございます。ニンジャでは今まで通りのプレイ感で遊べますが、今回は、ちょっとACTが苦手な人でもサポート機能があってプレイできるような“ヒーロー”というプレイスタイルも用意しています。

――ステージで紹介されていたプレイスタイルですよね。

 そうですね。ACTが苦手な人向けといっても、敵が手を抜いて襲ってくるわけではなく、こっちのゲーム側でサポートしているんです。今まで「難しくてクリアできなかった」という声もいただいていましたので、1回あきらめてしまった方も、もう一度触っていただくと、『NINJA GAIDEN 3』の魅力に気づいていただけるんじゃないかと思います。

「最後まで遊んではじめて意味のあるアクションゲームにしたい」――早矢仕洋介プロデューサーに『NINJA GAIDEN 3』を聞く

――魅力といえば、戦っていて、カメラワークがすごいというか、戦っているハヤブサの姿がすごくカッコよく感じました。

 カメラワークについては、我々もこだわっている部分です。ACTとしての戦いやすさを求めるなら、カメラを引いてしまったほうがラクなんですよ。けれど海外でFPSやTPSでも、すごく派手なゲームが出ている中で、ACTで地味なゲームにしてしまっては意味がないなと。『NINJA GAIDEN 3』は“もっともド派手なACT”にしたかったので、戦いやすいけれど、見せたいところは見せるよ、という演出を心がけています。

 今までのACTだと、足もとが見えないくらいカメラが寄ることはあまりなかったと思うのですが、今回カメラを担当するスタッフには、「刀が刺さっているのさえわかればいいから、もっと寄ってほしい」と言いました。ただ、カメラが寄ってるから敵が見えないということは極力ないように、敵のAIも工夫しています。

――プレイスタイルの話に戻りますが、ACTが苦手な人向けということで、イージーモードではなく“ヒーロー”のプレイスタイルを用意した理由はなぜでしょうか?

 ゲームモードにイージーとかベリーイージーとか書いてあると、選ぶ時にちょっと屈辱感がありませんか?(笑)

――ありますね(笑)。

 私はそれがイヤだなと思ったんですね。そもそもゲームに対する付き合い方というか、たとえば“今はちょっと時間ないから、気軽にクリアしたいんだよね”とか、“夜疲れて帰ってきて時に、ハードコアなゲームはちょっとできないよね”という時もあると思います。けれど時間がある時なら、本気でクリアしてやろうと思って遊ぶ時もある。今回プレイスタイルという言い方をしたのは、そのゲームの“遊び方”が違うよねってことなんです。

 普通に遊びたい方は、忍者のようにこのゲームにチャレンジする“ニンジャ”のプレイスタイルを選んでくださればと思います。すると今までの『NINJA GAIDEN』のように遊べますので。

――今作では、ストーリー性にもかなり力を入れているとのことですが。

 ACTというと普通、1面、2面、3面……と遊んでいきますよね。でもACTでも、ゲームの頭から最後まで1個の物語なんだよ、というゲームがあってもいいのかなと。今回のTGSの体験版は、ステージはE3とまったく同じにさせていただきました。それにも理由があって、体験版のステージはゲームの冒頭なので、この冒頭部分を抜きに、アクション部分だけを触ってもらっても、伝えたいことは伝わらないと思ったからなんです。

 『NINJA GAIDEN 3』は、最後まで遊んで初めて意味のあるACTにしたい。そのためには途中で投げ出すようなことは極力、避けたいと思いました。だから、ニンジャスタイルで進めて難しいなと感じた方でも、途中でヒーロースタイルに切り替えられるようにしています。最後まで遊んでもらいたいという部分には、我々としても気を遣いました。

「最後まで遊んではじめて意味のあるアクションゲームにしたい」――早矢仕洋介プロデューサーに『NINJA GAIDEN 3』を聞く

――ハヤブサの腕には、何やら異様なキズのようなものもありますが……。

 あれは呪いです。今回は、あの呪いによって人殺しを表現しています。皆さんがゲームをプレイする際、人を斬ってゲームを進めていくわけですが、あの呪いが段々と身体をむしばんでいくんです。ゲームが進むにつれ、ハヤブサはどんどん苦しんでいって、そのことは当然アクション部分にも組み込まれています。苦しみを経た先に、彼やプレイヤーの皆さんがどういう結末を迎えるのか――という作りにしています。

――プレイして人を斬っていると、あの右腕が光って絶技というアクションを放てますよね。

 はい。今まではジャンプしてタメて、というアクションにしていましたが、今作を作る時に「あのジャンプはなくてもいいんじゃないの?」という話をしました。それで今回は、コンボをキャンセルして、Yを押し続けてためて絶技を放つ、という戦い方もできるので、バトルのスピード感は上がってると思います。

――ハヤブサの呪いは、ストーリーとアクションの両方に深く関係するということでしょうか?

 そこは我々が狙ったところでもあります。たとえば今回、TGSで公開したトレーラーでは、ハヤブサが苦しむ姿が大きく描かれています。あの映像中にも、我々として見せたいものは入れてあるのですが、今まで『NINJA GAIDEN』を遊んでくださった方たちが苦しんでいるだけのハヤブサを見たら、「こんなの『NINJA GAIDEN』じゃない」って言われてしまうかなと。だからあのシーンは絶技と一緒にお見せしたかった。TGSの体験版で絶技で出せるようになって、やっと言いたいことが言えるようになりましたね。

――アクション面では、刀で敵を斬る時にも手応えを感じますよね。ここにもこだわりがあるのでしょうか?

 はい。刀を振って、人の身体の中を刀が通る時の抵抗感を感じてほしかったというのがあります。今までのACTは、攻撃したら敵が吹き飛ぶとか、吹き飛ばないとか、そういった表現でした。でも普通に刀で人を斬ったたら、そこでものすごい抵抗があるので、『NINJA GAIDEN 3』では、それを感じてもらえるように作っています。

――体験版には、巨大な脚付きの戦車も登場しました。ああいったメカニック、あるいはキャラクターはたくさん出てくるのでしょうか?

 そうですね。我々なりのエンターテインメントの形として、いい意味ではっちゃけたキャラクターは登場します。そこは楽しみにしていてください。今回、最初にあの戦車を出したのには理由があって、“金属を刀で斬る”というのをしたいなと思ったんですね。それを感じられるよう戦車に脚を付けたのですが(笑)。だから、プレイヤーにまず「ああいった金属まで、刀で切れてしまうんだよ」というエンターテイメント性を見せる方法として、ああいう敵になりました。

――最後に、電撃オンラインの読者へメッセージをお願いします。

 やっぱりACTは触ってナンボだと思うので、ぜひ触ってもらって、我々の狙いを感じてもらえたらなと思います。今回は特に、「リュウ・ハヤブサがあくまで人間なんだよ」ということを感じてもらえたらうれしいですね。シリーズをプレイしてきてくれた方は、今までの作品に出たキャラクターもたくさん出てきますので、そこも楽しみにしてください。

(C)コーエーテクモゲームス Team NINJA All rights reserved.

■東京ゲームショウ2011 開催概要
【開催期間】
 ビジネスデイ……2011年9月15日~16日 各日10:00~17:00
 一般公開日……2011年9月17日~18日 各日10:00~17:00
【会場】幕張メッセ
【入場料】一般(中学生以上)1,200円(税込)/前売1,000円(税込) ※小学生以下は無料

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