2011年11月2日(水)

【日本ファルコム30周年記念企画 Vol.2:記念本制作秘話(1)】重くて分厚い本にならざるをえなかった理由とは?

文:電撃オンライン

 日本ファルコム30周年記念企画の第2回は、前回の日本ファルコムの歴史を追う座談会とは趣向を変えて、記念本の中身について紹介します。『日本ファルコム30周年公式記念本 Falcom Chronicle』(11月8日発売)の制作スタッフが、自分たちが作った記念本を見ながら、その制作秘話や見どころをお届けします!

■座談会参加メンバー

そみん
 記念本の主要制作メンバー。ほぼ全コーナーに携わった。35歳男性。

編集Y
 中学生時代からPCに触れてきたベテラン編集者。記念本の制作にはかかわっていないが、オールドファン代表として座談会に参加。43歳男性。

おぬ
 主に『イース』シリーズの記事を担当した記念本の制作メンバー。30歳男性。


■『英雄伝説』シリーズを区分するだけでもひと苦労

そみん 前回お届けした日本ファルコムの歴史を振り返る座談会の合間に、今回の記念本の内容紹介を兼ねた裏話についてお話しようと思います。本の発売後に読んでもニヤリとできるような、小ネタを仕込めるように頑張りましょう。

編集Y オレは制作には関係してないから、1人の読者として話を聞かせてもらうよ。

おぬ それで、何をテーマに話すんですか?

そみん 本の概要については特設ページを見ていただくとして、今回はすごく大枠の部分について話をしようかと。まずはYさんに率直に聞きたいんですけど、この本を見てどう思いました?

編集Y 分厚くて重い(笑)。

おぬ たしかに、枕になりそうな感じですね(笑)。

そみん いろいろな形を考えたんですけど、やっぱり30年の歴史を全部詰め込もうとすると、いくらページがあっても足りなくって。主要なタイトルだけで50本以上あって、シリーズ単位で考えても、『イース』『英雄伝説』『ドラゴンスレイヤー』『ザナドゥ』『風の伝説ザナドゥ』『ソーサリアン』『ロードモナーク』『ブランディッシュ』『ヴァンテージマスター』『ツヴァイ』と盛りだくさん。それに加えて、『ぽっぷるメイル』とか『ダイナソア』とか『ぐるみん』とか、シリーズではないタイトルもたくさんあるわけで。

編集Y 日本ファルコムのゲームをきちんとシリーズで分けようとすると、どうにもならないゲームもあるよな。『ザナドゥ』や『ソーサリアン』も、元をたどれば『ドラゴンスレイヤー』シリーズだし。

そみん そうですね。本書での『ドラゴンスレイヤー』シリーズの区分は、『I』は『ドラゴンスレイヤー』、『II』は『ザナドゥ』、『III』は『ロマンシア』、『IV』は『ドラスレファミリー』、『V』は『ソーサリアン』、『VI』は『ドラゴンスレイヤー 英雄伝説I・II』、『VII』は『ロードモナーク』、『VIII』は『風の伝説I・II』としています。

編集Y 現時点では『風の伝説II』が『ドラゴンスレイヤー』シリーズの最終作なんだよね。タイトル画面に“The Last of Dragon Slayer”と表示されるし。

おぬ 『ロードモナーク』が『ドラゴンスレイヤーVII』というのが意外な感じがしますね。

編集Y 『碧の軌跡』にまで至る『英雄伝説』シリーズとかが代表例だけど、『ドラゴンスレイヤー』シリーズから派生して、新たなシリーズになった作品も多いからな。

そみん 『英雄伝説』シリーズの区分がまたややこしくて……。本書では『英雄伝説I・II』を『イセルハーサ』シリーズ、『英雄伝説III~V』にあたる『白き魔女』『朱紅い雫』『海の檻歌』を『ガガーブトリロジー』シリーズ、『英雄伝説VI』にあたる『空の軌跡』シリーズの『FC』『2nd』『the 3rd』と『英雄伝説VII』にあたる『零の軌跡』シリーズの『零の軌跡』と『碧の軌跡』の5作品を総称して『軌跡』シリーズと分けています。

編集Y オレはわかるけど、古くからの『英雄伝説』シリーズのファン以外にとっては呪文だな(笑)。

そみん 確かに(笑)。それに加えて『英雄伝説IV 朱紅い雫』がまたやっかいで、1996年にPC-9801用に発売されたオリジナル版と2000年にWindows用に発売されたリニューアル版とで、システムもストーリーも大きく違うんです。だから、この2本は明確に分ける必要があるため、本書ではオリジナル版を『朱紅い雫(旧)』、リニューアル版を『朱紅い雫(新)』と区別して記載しているんです。

おぬ 頭がこんがらがってきました~。

編集Y 『朱紅い雫』は重要人物の生死さえ、オリジナル版とリニューアル版で違うからな。オリジナル版だと、主人公の妹のアイメルと感動の再会をした直後に、その妹が命を落としちゃうし。一方、リニューアル版は最後まで死ぬことがないし。別作品として区別するしかないだろうね。まあ、厳密に言い始めると『イース』のエンディングの演出とかも機種ごとに違うし、『ザナドゥ・シナリオII』の設定もリバイバル版の際に大きく変わったりと、細かな設定変更はいくらでもあるんだけどね。

そみん ごめんなさい。さすがに機種ごとの違いをすべて拾うことはできませんでした。

脇役まで載せすぎてボリュームアップ!→(2ページ目へ)

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データ

▼『日本ファルコム30周年公式記念本 Falcom Chronicle』
■発売:アスキー・メディアワークス
■発売日:2011年11月8日
■定価:4,935円(税込)
※B5判640ページ
 
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