2011年11月4日(金)
そみん 『イース』は“優しさ”というキャッチコピーでも有名ですが、当時の感覚としてはいかがでしたか?
編集Y 当時のユーザーの立場からすると、その時はそこまで難しいとか優しいとかを意識してなかったかな。なんていうか、個人的には“難しい=おもしろい”みたいになっちゃってて、特にそれが不自然とも思ってなかったんだよね。難しいゲームほど、クリアした時の達成感が大きいような気がしたし、難しくてなかなかクリアできないゲームほど、長く遊べてお得な気もしてたし。
おぬ そんなことないと思いますが(笑)。
編集Y そりゃあ、今はオレもそう思うけど、当時はそうだったの。オレの友人とか、最初は『イースI』に戸惑いを感じてたしね。めちゃくちゃおもしろくて徹夜してクリアしたけど、こんなに早くクリアできちゃうのはよくないんじゃないかって。当時は今よりも、プレイ時間の長さとおもしろさが同義のように語られることが多かったし。
おぬ ちなみに今回の記念本で、僕は『ロマンシア』や『スタートレーダー』も担当したんですが、『ロマンシア』ってぶっちゃけ自力でクリアするのが不可能な気がしたんですけど……。Yさんは当時、あれをおもしろいって思ったんですか?
編集Y あはは(笑)。『ロマンシア』はある意味、難しさをとことん追求したようなゲームだったからねえ。当時はインターネットが普及していないから攻略サイトなんてなくて、ゲーム雑誌の攻略記事を頼りにしていた部分はあるね。でもねえ、人間の力って不思議なもので、友人たちと力を合わせて何日も何日も同じゲームをプレイしていると、ひょっこりクリアへの道筋が見えてきたりするんだよね。膨大な時間や手間ひまと引き換えになっちゃうけど、逆にいうと1本のゲームをしつこくずっと遊んでたわけだから。
そみん でも、残りタイムの下2ケタが特定の数字の時にしか入れない隠し部屋とか、ノーヒントだと無理じゃないですか?
編集Y だから、膨大な時間をかけて偶然見つける感じ。先に進めなくて同じ場所をうろうろしていたら、たまたま隠し部屋が見つかって、そこから何が条件だったのかを推理していくとかさ。もちろん、雑誌の攻略記事に頼ったり、ゲームメーカーのユーザーサポートに質問のハガキを送ったりもしたけど。『ソーサリアン』とかの謎解きも、基本的にはトライ&エラーと、偶然や閃きに頼ってクリアしていった部分があるし。あと、当時は方眼紙を使ってマッピングするのは基本だったかな。
そみん 『ウィザードリィ』みたいなダンジョンRPGを遊ぶ時のことですか?
編集Y いや、3Dダンジョンに限らず、どんなゲームでもマップ作りから始めてたね。そうやってマップを作ると、ある場所にすき間があることがわかって、そこに隠し部屋があるんじゃないかと閃いたりするんだよね。まあ、逆に普通にマップが続いていそうに見えるのに、実は単なる背景で絶対にそこには行けないというワナがあったりすもするんだけど(笑)。
おぬ すごい時代だったんですね(笑)。
編集Y ただね、当時のオレたちにとっては、それがつまらなかったわけじゃないんだよ。友人との情報交換や謎を解いた時の達成感とか、いろいろとおもしろかったし、いい思い出になっている。まあ、苦痛だった部分はあるけどさ(笑)。
▲凶悪な謎解きが満載の『ロマンシア』についても、エンディングまでのゲームの流れをフォローしている。 |
当時のファンは『英雄伝説I』に期待していなかった!?→(4ページ目へ)
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