2011年11月9日(水)
「通好みゲームメーカー 会社案内」連載の3回目となる今回は、チーム ムラマサの考えるゲーム作りの理念や、それを支えるメンバーをご紹介いたします。快適にプレイできるダンジョンRPGは、こういった現場で作られているのです。
▲毎度おなじみ、チーム ムラマサ ディレクターの安宅元也氏(左)とプロデューサーの千頭 元氏(右)。 |
これまで第1回、第2回とチーム ムラマサを紹介してきたが、会社としてのエクスペリエンスはどのような組織なのだろうか。代表取締役としてエクスペリエンスを経営するチーム ムラマサ プロデューサーの千頭氏は、自社について「コンシューマのゲームを販売したパブリッシャーとしては一番小さいクラスの会社」と語る。これには、自分たちが作るタイトルのジャンルが“ダンジョンRPG”という、一定数の固定ユーザーがいるジャンルであるところも大きいだろう。
千頭氏(以下敬称略) 本質的なおもしろさ、ゲーム性の部分を生かしたタイプのRPGを主軸に、ユーザーと2人3脚でゲームを作っていく会社ですね。また、どこのメーカーさんでも同じだとは思いますが、ゲームを作るのも遊ぶのも大好きなメンバーが揃っています。方向性としては幅広いユーザーさんに向けてゲームを作っていくのではなく、ゲームが趣味で、長くお付き合いでき、一緒にゲームを成長させてくれるユーザーさんに向けて、できる限り最高の料理を出せればと考えています。
安宅氏(以下敬称略) 地味なんですけど、ツウのお客さんが通い続けるお店みたいなものですかね。
千頭 飲食店に例えるのはわかりやすいのかも。大行列ができるお店ではないんのですが、隠れ家的なものが好きな人にはたまらないような感じですね。
また、ゲームの開発現場では徹夜続きでロクに寝られず、家にも帰れないという状況が多々見られるが、エクスペリエンスでは残業を極力減らし、土日祝祭日を原則休みとしているという。ゲームメーカーでは珍しい勤務体系をとっている背景には千頭氏と安宅氏の2人がそれぞれ過去に過酷なゲーム開発を経験しているからだという(経緯については第2回を参照)。
千頭 最近は比較的少なくなってきたようですが、ゲームの開発現場は労働のスタイルが過剰労働になりかねない部分があると思います。また業界自体が若い業界ですから、新人さんが“誰を目指す”、“何を目指す”といった将来的な部分や、“ゲーム作りってどういうこと”という指針などをどこのメーカーさんも教えることができていないように感じるんです。自分もさまざまなメーカーさんで仕事をしてきて将来に不安を覚えたので、そういったことがない会社にしたいんです。
千頭 また、スタッフたちによく伝えているのは、現場で一生ゲームを作っていられるような会社にしたいということですね。
スタッフたちのスケジュールを管理しているのは、ディレクターの安宅氏。千頭氏によると安宅氏はそうとう口うるさいという。その理由は同じく過去の開発現場でのスケジュールの破綻によるところが大きいとのこと。
安宅 そんなにうるさくないですよ。進行を合わせようとして長く働こうとすると少しずつおかしな方向に行ってしまうんです。そのあたりはこれまでの会社でたくさん見てきましたから、うちの会社はそれをできる範囲で厳しく制限しています。就業時間についてある一定のルールを設けて、それをみんなに提示していくことで、全員で足並みを揃えて動いていこうと思っています。
千頭 就業時間をダラダラ伸ばさないという点で安宅は厳しいですね。ユーストリームでEXPチャンネルを放送しているときに、たまにスタッフが帰る姿が映りますが、あの時間に帰る人は遅くまで仕事をしている人ですからね。
安宅 うちの会社は震災以降、終業時間が17時なんですよ。ルール的にはプラス3時間まで残業をしていいことになっていますが、できるだけ遅くまで残って仕事をしないようにスケジューリングしています。基本的にうちでは残業をする=スケジュール管理、仕事ができていないという認識なんです。
千頭 いろいろな方から「すごい」と言われることがありますが、やはり体を壊されては困りますからね。
安宅 そこが一番ですね。あと体だけではなくて気持ちの問題もあると思うんです。帰る間もないくらい過密になってしまうと、体だけじゃなくて心にも負担が来るので、そういう状況にはしたくないんです。
千頭 ただ、スケジュールが緩いわけじゃないんですよ。ゆっくりダラダラと仕事をすることは認めていないので、ちゃんとスケジュールを管理して、「ここはもっと詰められるよね」というようにスタッフと話をしています。
安宅 制作にかけられる時間が限られているぶん、集中して動いてもらうという方向性ですね。
チーム ムラマサのスタッフは、開発以外のメンバーも含めて10人。それにタイトルごとにグラフィックなどの外注スタッフを加えて、2つの開発ラインで進行している。
千頭 今後の目標としては3ラインを動かしたいと思っています。
安宅 大変だねぇ、3ライン。
千頭 がんばってくださいね。そんなわけで3つの開発ラインに向けて、コンシューマ経験のあるプログラマさんを募集しています。
チーム ムラマサの掲げるゲーム作りの理念とは→(2ページ目へ)
(C)2011 Experience Inc. Published by KADOKAWA GAMES
データ
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