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2011年11月8日(火)

【日本ファルコム30周年記念企画 Vol.5:メモリアル座談会(3) 1991~95年編】日本ファルコムが家庭用ゲーム機に進出した時代

文:電撃オンライン

日本ファルコムの30周年を記念する特別企画の第5回。『日本ファルコム30周年公式記念本 Falcom Chronicle』(11月8日発売)の制作スタッフが、自分たちが作った記念本を見ながら日本ファルコムの30年の歴史を振り返るメモリアルな座談会をお届け。座談会第3回は、『ブランディッシュ』が発売された1991年から、Windows95の発売によってPC業界の勢力図が変わり始めた1995年までの5年間を振り返る!

■座談会参加メンバー

そみん
 記念本の主要制作メンバー。好きな女性のタイプは『ぽっぷるメイル』のメイル。『ぽっぷるメイル』は全機種で遊んだが、メガCD版が一番のお気に入り。35歳男性。

編集Y
 レトロPC好きの編集者。記念本の制作にはかかわっていないが、日本ファルコムの歴史を知る生き字引きとして座談会に参加。好きな女性のタイプは『ブランディッシュ』のドーラ。43歳男性。

おぬ
 主に『イース』シリーズの記事を担当した記念本の制作メンバー。好きな女性のタイプは『白き魔女』のフィリー。30歳男性。


■PCエンジンのライセンス作品におけるボイス演出の思い出

そみん 今回の座談会は、1991年から1995年について振り返っていきます。僕は1995年に大学に入学したので、主に高校生時代のころのお話ですね。

おぬ 僕は小学校の高学年から中学校に入るくらいですね。1993年にスーパーファミコン(SFC)で発売された『イースIV』や1995年にSFCで発売された『イースV』は、たしかリアルタイムに近い感じで遊んだ覚えがあります。ちなみに1995年って、アニメの『新世紀エヴァンゲリオン』が放映されて大ヒットした年でもあるんですね。

編集Y オレはすでにゲーム関係の出版業界で仕事をしている時代だな。仕事が忙しくて趣味のゲームを遊ぶ時間は減ってきていたけど、それでも日本ファルコムのゲームはほとんど遊んでいたな。いくつかの作品は仕事でも担当したんだが、画面写真の撮影が大変だった思い出がある。

そみん この時代の画面写真の撮影は、どんな感じだったんですか?

編集Y 1990年代前半における家庭用ゲーム機の撮影は、ちょうどビデオプリンタという機材を使うようになり始めた時期だったと思う。それよりも少し前だと、モニタをカメラで接写する形だったらから、本当に大変だった。明るい場所だとモニタに余計なものが映り込んじゃうから、暗室で撮影したり、モニタに布をかぶせたりして、暗くして撮影をしていたわけだ。それに比べるとビデオプリンタは、モニタに出力した画面を直接撮影できる機材だったから、いろいろと楽になったんだ。とはいえ、プリントアウトする際はそれなりに値がはるカラーインクや専用の用紙が必要だったから、ムダな撮影をすると怒られたけど(笑)。

そみん 僕がセガサターンのゲーム雑誌のライターになったころは、ビデオプリンタでしたね。当時はビデプリって呼んでました。

編集Y 今はPCソフトで簡単にゲームの動画撮影もできるから、本当に便利になったもんだと思うよ。なんだか話がずれちゃったけど、1991年から1995年はSFCの全盛期で、PCエンジン スーパーCD-ROM2(PCE)やメガドライブも元気があった、家庭用ゲーム機の人気が高い時代だった。一方、PCゲームの業界はPC-8800シリーズの時代が終わり、PC-9800シリーズが奮闘していた時代だった。これは少し先の話になるけど、1995年に発売されたWindows95によってMS-DOSの時代が終わり、PC業界の勢力図が大きく変わる前夜の時代だったといえる。そういう時代背景のもと、日本ファルコムがPCゲームだけでなく、家庭用ゲーム機にも参入したのが当時の大きなトピックスだったんじゃないかな。

おぬ 日本ファルコムのSFC参入第1弾は1994年6月発売の『ぽっぷるメイル』で、PCE参入第1弾は1994年2月発売の『風の伝説ザナドゥ』(当時の発売元はNECホームエレクトロニクス)ですね。

そみん ちなみにこの時期には、セガと合同でセガ・ファルコム(セガのハードでゲームを発売するための共同会社)の展開もしています。PCだけでなく、家庭用ゲーム機への進出が重視されていたみたいですね。

編集Y 日本ファルコム自身の家庭用ゲーム機への進出はかなり遅かったけど、それ以前にもライセンス作品での展開は多かったから、その知名度自体はかなり高かったと思う。ファミコンで発売された『ロマンシア』や『イース』、『太陽の神殿』はかなりヒットしたし。中でも多くのファンに支持されたのが、PCEでの展開だったと思う。PCEでハドソンが発売した『イースI・II』や『英雄伝説』は、そのアニメ演出やボイス演出で人気を集めて、すごく評判がよかったからな。

おぬ 僕も友だちの家でPCE版の『イースI・II』を遊んだときは驚きました! 当時はロムカートリッジが主流で、ゲームが“しゃべる”なんて夢のような時代でしたから。

そみん PCEに移植された日本ファルコムの作品は、声優の銀河万丈さんがナレーションをすることが多かった気がする。その流れは今も続いているわけだけど。

おぬ 今やドラマCDでヴァン・ジョーというオリジナルキャラクターが登場するほどで、日本ファルコム作品=銀河万丈さんというイメージがありますしね(笑)。

編集Y PCE版『イースIII』のガルバランや『英雄伝説』のアグニージャの声も銀河万丈さんだったんだよなあ。

そみん 声の力って、すごいですよね。PCE版『英雄伝説』のゲイル(掛川裕彦さん)やディーナ姫(皆口裕子さん)の声とか、セリフとセットで今でも覚えていたりしますから。PCE版『英雄伝説II』のランドー役の屋良有作さんとか、めっちゃハマってたと思うし。

編集Y 声や音楽の話になると、どうしても脱線しまくっちゃうな(苦笑)。個人的には、機種やメディアによって声優が違った『ぽっぷるメイル』のメイル役とブラッキー役の声優さんは誰の演技が一番好きだったかというお題だけで、一晩中語れるわけだし。

そみん 僕はラジオドラマ版の林原めぐみさんが演じるメイルと置鮎龍太郎さんが演じるブラッキーが好きでした!

▲『英雄伝説』のキャラクター辞典より。女神フレイアや、そのしもべのヨシュアの正体も載っている。

『ブランディッシュ』といえばドーラ様!→(2ページ目へ)

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データ

▼『日本ファルコム30周年公式記念本 Falcom Chronicle』
■発売:アスキー・メディアワークス
■発売日:2011年11月8日
■定価:4,935円(税込)
※B5判640ページ
 
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